第96話
「2011年12月13日
今日も学校で嫌なことがあった。
私が何をされたのか。
思い出したくないから、ここには書かない。
あの日以来、彼らの私への嫌がらせは続いている。いや、その嫌がらせはさらに陰湿なものになっていて、外からは見えないようにしている。彼らを裏で操っているのは飛鳥のようだ。彼女は決して表には出てこない。決して自分の手を汚さない。
私はいつまで耐えられるのだろうか。
どこかで壊れてしまいそうな気がする。
家に帰ると、母が夕食の準備をして私を待っていてくれた。
「おかえり」
母のいつもの声に泣きそうになりながらも、私は必死に何気ない素振りを装った。
「助けて」
その言葉が私の口からこぼれ落ちそうになって、私は必死にその言葉を飲み込んだ。絶対に母に私の学校でのことを知られてはいけない。母を幻滅させてはいけない」
「2011年12月17日
今日、授業の合間の休憩時間に、私はいつものように一人で窓際の席に座っていた。
誰も私には話しかけてはこない。
だけど、多くのクラスメートが私の方をちらちらと見てこそこそと何かを話している。嫌な笑いを口元に貼り付けながら。また、2年3組の裏サイトに私のことが書かれているのだろう。あの日以来、私はそのサイトを見ていない。見る勇気は私にはない。
私は心を粘土で必死に塗り固めながら、無視と嘲笑の中で空っぽの時間をやり過ごしていた。
その時だった。
「おい……」
突然、私は誰かに話しかけられた。
私は驚いて、「え?」とその声の方に顔を向けると、一人の男子生徒がいつの間にか私の直ぐ側に立っていた。その生徒はいつも率先して私に嫌がらせをしてくる生徒たちの中の一人だ。彼は手にゴミ箱を持っている。教室の隅に置かれているものだ。燃えるごみ、プラスチックなどと貼り紙がされているものが教室には置かれているが、彼が持つゴミ箱には「燃えるごみ」と書かれている。
「机の上が何もなくて、寂しいだろう。俺が賑やかにしてやるよ」
彼は手に持ったゴミ箱を抱え上げ、私の机の上にその中のゴミをぶちまけた。私の机の上、そして私の身体は、丸められた紙、ティッシュペーパーなど様々なゴミにまみれた。
「これで、少しは賑やかになっただろ」
私の周りで、ハハハと悪意のない笑い声が起こる。彼らには悪意はないのだ。ただ、楽しいからこのようなことをしているのだ。一つのゲームとしてやっているのだ。私にはそのことが痛いほどよく分かる。分かるからこそ、私は絶望する。
私は生気を失った眼でそのゴミを見つめていた。
そして眼を上げると、教室の廊下側の席で飛鳥と真由美が私の方を見ていることに気づいた。飛鳥は私を見て、にやにやと嗤っていた。




