ドラフト選手
私は今、ゲームセンターに居る。ここには髭カートやドラムの名人など色々なゲームがある。
若い人達や家族連れなどいろんな方がいるなか、一際大きい体でダンスのゲームしている青年がいる。
「松川選手、お久しぶりです」
松川選手は短髪だが野球少年らしくない茶髪の頭で、筋肉は服から見えるぐらい盛り上がっていて、顔はまだあどけなさが見える童顔の野球少年だ。
「うわ、びっくりした。吉田さんか、度会監督かと思った」
松川選手も度会監督は怖いみたいだ。
「松川選手、練習はしなくていいんですか?夏の甲子園大会もうすぐですよ」
私は心配そうに言った。
「いいんですよ。2年で甲子園優勝投手になったし、ドラフトもどうせ1位だし、今更野球を必死にやる意味なんてありませんよ」
燃え尽き症候群なのか、もう野球をやる気がなさそうだ。でも私も100億円なんて言って彼を取って失敗したら、宮内オーナにクビにされるし、なにより彼の才能を潰してはいけない。
私は彼にスポーツ紙を手渡した。そこには今年のドラフト選手の特集が載っている。
「2年で甲子園優勝投手でドラフト1位の評価でも、3年で評価を下げてドラフト1位じゃなくなるどころか、指名されないこともあるよ」
手渡したスポーツ紙の中の松川選手の特集では、ドラフト1位からドラフト上位に評価を変更している記者もいる。
さすがにこれを見れば練習をするのかと思われたが、特殊能力サボり癖は簡単には消えない。
「大丈夫っすよ。だって、大阪ブルーローズは自分を1位に公言しましたよね」
1位に公言するとは球団が事前に対象の選手を「1位で指名する」と外部に明らかにすることで、選手には指名すると安心させ、他球団には1位で指名したら重複するぞと指名を回避させる効果がある。
前回のスカウト会議で宮西球団社長に100億と言った為に、宮西球団社長が松川選手の1位指名をスポーツ紙に言ってしまった。
「確かに1位は松川選手で行くと宮西球団社長が公言したが、入った後サボっているとプロで活躍出来ないよ」
「大丈夫っすよ。俺の投げるボールを誰もまともに打てないもん。どうせプロでも同じっすよ」
これは何を言っても駄目だな。
「松川選手、ちょっと面白い場所に連れてってあげるよ」
そういうと私は松川選手を車に乗せて、ある場所に連れて行くことにした。
お読みいただきありがとうございました。
少しでも先が気になる、少しでも面白いと思っていただけましたら
お気に入り登録、星ポイントで応援をどうぞ宜しくお願いします。




