入団テストVS元メジャーリーガー
タイソンは、大きく息を吸って吐いた。
気持ちを、落ち着けているようだった。
タイソンは第1球を投げた。
「遅い]
初球は真ん中低めの遅い、120km/hのチェンジアップ。
安井君との対戦の時にストレートしか投げてなかったので、ストレートに狙い球を絞っていたケビン・アレックスは、ボールを待てずに完全に空振りした。
「ストライーク」
ここでチェンジアップを投げるなんて、タイソンは冷静だ。
「ブレーキのきいた良いボールだ」
「ストレートのコンビネーションがあれば、日本でも十分通用するんじゃないか」
周りにストレートだけじゃないことを、見せれた。
「ちっ、そんな遅い球でかわすなよ。逃げずにストレート投げてこいよ」
ケビン・アレックスは、ストレートを要求した。
挑発に乗らなくて良い。抑えれば入団テストは合格なのだから。
タイソンは第2球を投げた。
「ビューーーン」
私の心の声が通じず、タイソンはインコース高めに、157km/hのストレートを投げた。
「もらった」
ケビン・アレックスは、ボール気味の球だが打ちに来た。
「ヒューー」
タイソンのストレートは、そこから大きく浮き上がった。
「うわーー」
ケビン・アレックスは悲鳴を上げると、避けるために上半身を後ろに反らした。その際にバットも止めようとしたが、止まらなかった。
キャッチャーはすぐに1塁塁審に、スイングの確認をした。
1塁塁審はスイングしたと、ジャッジした。
よし、これで2ストライクだ。あと1つストライクを取れば、勝ちだ。
「こんな球でびびってねーぞ。ちょっと打つの止めただけだ」
「じゃー、もっとベースの近くで構えろよ」
「わかったよ。やってやるよ」
タイソンの挑発に乗ってケビン・アレックスは、バッターボックス(打者が打つときに立つ場所)内で、ベースギリギリに立った。
さっき叫び声を上げていたのは、なかったことにしたいらしい。ケビン・アレックスは元メジャーリーガーだけあって、プライドが高い。だからタイソンの、挑発に乗ったのだろう。
タイソンは第3球を投げた。
タイソンは先ほどと同じコースの、インコース高めに投げた。
「うわーー」
ケビン・アレックスはまた悲鳴を上げると避けようとしたが、先ほどよりベースよりに立ったので、今度は上半身を後ろに反らすぐらいじゃ、避けられない。
ケビン・アレックスは倒れ込むように、後ろに尻餅をついた。
投げたボールは先ほどように浮き上がらず、曲がった。
「ストライーク」
「おっしゃー」
タイソンは大きな声を上げ、ガッツポーズした。
ケビン・アレックスは投げたボールはストレートと思っていたが、150km/hのシュートだった。
「くそーーー」
そういうとケビン・アレックスは、バットを叩きつけた。その後、みんなの視線が恥ずかしかったのか、その場からすぐに去って行った。
「シュートも速さがあり、良いボールだな」
「左バッターなら相手に食い込んでいくし、使えるな」
周りの評判も上々だ。
「3人目は山口銀丸捕手」
「ちょっと待ったーーー」
福山GMが3人目の山口銀丸捕手と言おうとすると、上原さんがやって来て叫んだ。
隣には、吉森政茂選手がいる。
「3人目は吉森政茂選手で、お願いします」
勝手に何言ってんだあの人は。事前に山口銀丸捕手と、決まっていた。
それに山口銀丸捕手の打撃能力ミートDパワーEに対し、吉森政茂選手はミートCパワーAで全然能力が違う。
今年の打撃成績でも山口銀丸捕手は打率240 ホームラン3本打点20に対し、吉森政茂選手は打率320ホームラン30本打点105と全然違う。
それに吉森政茂選手は野球の世界大会で、日本代表の4番も打っている。
こんなの認めるわけにはいかない。
「何言ってるんですか。3人目は山口銀丸捕手と決まっていた。何で対戦相手を代えようとしているんですか」
「入団テストで下位打線の選手を抑えれて合格は、少しレベルが低いでしょう。やっぱり日本代表の4番バッターを抑えてこそ、合格でしょう」
私の言ってることを無視して、上原さんは吉森政茂選手と勝負させようとしてくる。
「そうだな。やっぱりエースは、日本代表の4番バッターを抑えなな」
いつからタイソンは、エースになったんですか。
私の意見は通らず宮西球団社長のお言葉で、吉森政茂選手と勝負が決まってしまった。
上原さんは私に向かって、中指を立てた挑発ポーズをした。
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