外国人選手のスカウト会議
いつもと同じで大阪難波にあるホテルの1室で、スカウト会議は行われる。
スカウト会議には国際スカウト(海外の担当スカウト)全員に加え、お偉いさんはGMの福山豊さん、球団社長の宮西宗一郎さん、監督の鷲田大介さんに加え、国内スカウト会議にはいない国際部門ディレクター(国際スカウトの最高責任者)の広岡一馬さんもいる。
広岡一馬さんは50代の元プロ野球選手で、顔はキリッとしていて、現役時代は女性ファンも多く、現役から離れた後も、体はしっかり鍛えて引き締まっている。イケおじの国際部門ディレクターだ。
「じゃあ、始めようか」
スカウト会議を始めようとすると急に扉が開いて、上原さんが入ってきた。
「あの、私は国内スカウト担当ですが、海外のスカウトの事を知ることで、国内スカウトに生かせると思うので、今回の海外選手のスカウト会議を見学してもよろしいですか?」
「まあ、勉強したいのなら、いいよ」
球団社長の宮西宗一郎さんが許可を出したので、上原さんも海外選手のスカウト会議に参加することになった。
「また、担当場所を増やしやがって、俺より優遇されやがって、許せねぇ」
上原さんは私の前を通るときに、私にしか聞こえない声で言った。
国内の全国担当スカウトは譲れないけど、国際スカウトの担当はしんどいし危ないので、今すぐにでも上原さんと代わりたい。
「では、始めます。まず現在所属している外国人選手で来季契約を予定している選手は、ラトピ投手、マテド投手の2人になります」
広岡国際部門ディレクターの進行で、海外選手のスカウト会議が始まった。
「2人の年俸ですが、先発のラトピ投手が5億円、抑えのマテヨ投手が3億円を予定しています」
「そんな額で残ってくれるのか?」
福山GMがみんなが思っている、疑問をぶつけた。
「はっきり言ってわかりません。ですが、今年の外国人選手への親会社からの予算は、総額10億円になります。それ以内に納める額では、最大限評価をしています」
球団は親会社から決められた予算の中で、選手と契約しなければならない。たとえ、その選手の年俸が釣り合っていないとわかっていても、予算内に納めるために安い年俸にしなくてはならない。
「とりあえず、残ってくれると信じて、残ってくれる前提で話を進めよう」
「次に外国人野手の取得について、話していくれ」
「えー、メジャー通算200本塁打を打っている、長距離砲のケビン・アレックスの話をしたいと思います」
ダメダスが元メジャーリーガーで衰えている選手、ケビン・アレックスの紹介を始めた。
「元メジャーリーガーのケビン・アレックスですが、今期はメジャーのニューヨークの球団で、少ないですがホームランも打っています」
「ほー、メジャーでもホームラン打っているのか」
福山GMは頷いていた。能力的にメジャーでのホームランは、1本か2本ぐらいだろう。
「次にドミニカ共和国のウインターリーグでは、豪快なホームランを打っています」
パワーは今の段階でもBあるので、ウインターリーグでホームランを打つことが出来るだろう。
「良い感じだな。吉田はどう思う」
「38歳と言うのが、ネックで衰えてきていると思います。あと・・・」
正直に話したが、ダメダスが少し不機嫌そうな態度を取った。
1億円のケビン・アレックスを取っても総額9億円で、5千万のホセ・キャドレラと1千万のマキシマム・タイソンを取っても、親会社からの予算の総額10億円に収まるので、ケビン・アレックスを取っても別に問題ない。
それよりこれ以上言うとダメダスが、私の選手紹介の時に反対意見を言って、ホセ・キャドレラとマキシマム・タイソンを取れなくなってしまう方が問題なので、言わないでおこう。
「特に反対意見もないので、ケビン・アレックスと契約します」
会議室に拍手が起こった。
「他に外国人野手の候補はいますか?」
「はい」
さあ次は私の番だ。絶対にキャドレラを取得するぞ。




