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プロ野球スカウトは、鑑定スキル(野球ゲームの能力画面が見えるスキル)で優秀なドラフト選手を発掘する  作者: 犬兎ゆん
オールG(最低能力)の選手を指名したい

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ライバルは女性スカウト

 「おーい、吉田」


 ドラフト会議が終わり、岡田君と一緒にホテルから出ようとすると、誰かに呼び止められた。


 声を掛けられた方を見ると、兵庫のスカウトの蛇目寅子さんがいた。


 蛇目さんは髪は黒髪の長髪で首まで伸びていて、体はほっそりしていて凄く美人だが男っぽい性格で、目は蛇の目のように冷酷そうな目つきの、40代の女性のスカウトです。


 女性初のプロ野球スカウトとして、話題になった人です。話題だけで終わらず、女性の視点から選手をスカウトし、数々の名選手を発掘しています。


 近年の兵庫のドラフトが神ドラフトが多いのは、蛇目さんのおかげと兵庫ファンから言われています。


 「お久しぶりです蛇目さん」


 「はじめまして、岡田零と言います」


 「おう、久しぶり吉田。それに岡田君もはじめまして」


 まずお互い挨拶したが、目の奥が恐い。


 「今年のドラフトの育成6指名の大阪のPP学園の安井まさおって、君が担当やろ」


 呼び止めてまで何で安井まさお君の事を、聞きたいんだ。


 「そうですけど、それが何か」


 「やっぱりそうか、走力だけの選手を普通は指名しないが、君なら指名すると思った。君の目で見て選んだ安井まさおの、今後が楽しみやね」


 蛇目さんは嬉しそうに笑った。特に深い意図はなさそうだ。


 「支配下指名の7位指名の世界生命の伊藤浩人投手って、蛇目さん担当の選手でしょう。伊藤浩人投手は、今年の公式戦ほとんど投げてませんよね」


 「ああ、わたしの担当だよ。世界生命には名古屋の球団が指名した、ドラフト1位の小川仁海投手がいたから、伊藤浩人投手は良い感じに隠れていたんで、今年のドラフト3位で行く予定だったんだ」

 

 プロ野球のドラフトではドラフト1位の大半が、大学生の指名になる。社会人の選手がドラフト1位で指名されるのは、毎年1人の事が多い。ドラフト1位以外でも上位は大学生が占める割合が多い中で、ドラフト3位で社会人を取るのは、非常に評価が高い選手である。


 「でもうちの今の監督が、独立の選手を上位で取る事にすると言い始めた影響で、ドラフト3位で取るはずだった伊藤浩人投手が、小川仁海投手に隠れていた影響もあり、ドラフト7位に変更されてしまったんや」


 兵庫は監督が代わり、独立の選手を支配下で多く取るようになった。


 「笑ってしまうやろ、上手いこと他球団にバレないように隠せていたのに、それが仇になってドラフト7位にされてしまったんやから」


 蛇目さんは悔しそうに言った。


 「そんな順位ではさすがに取れるわけないので、仕方ないので伊藤浩人投手と世界生命の監督と話し合い、ドラフトで必ず指名すること、契約金をドラフト3位相当にする事などを条件に交渉して、試合の登板数に、制限をかけた。登板数を増やせば、吉田や他のスカウトに、見つかるリスクは上がってしまうからな」


 登板数が少なかったので、私は調べなかった。そのせいで、見落としてしまった。


 「ちょっと待って下さい。良く監督がそんなこと許しましたね」


 社会人野球には日本選手権など、大きな大会もあるのに、プロにいける投手の温存など、普通はしないだろう。


 「ああ、高校球児でわたしが目をつけている、プロにこれるかも知れない選手を、世界生命に推薦する事を条件に納得して貰った。あとわたし、長いことスカウトしているから、監督の弱みの1つや2つ知っているしな」


 蛇目さんの、眼光が光った。


 怖えーーー。これがあるから、このおばさんは恐いんだ。


 高校から社会人野球に入った場合は、3年間はプロに指名されない。監督も1年でいなくなる選手より、3年いる選手を取ったと言うことか。弱みも何かあったんだろうが・・・。


 「吉田、じゃな。今後、指名選手が被らない事を祈ってるよ」


 「こちらこそ祈ってますよ」


 蛇目さんと選手が被るとか、恐怖しかない。


 「岡田君もドラフト選手の事で何かあったら、わたしに相談においで」


 「はい、宜しくお願いします」


 しおらしい声でそういうと蛇目さんは、去って行った。


 「岡田君、蛇目さんとドラフト選手の事を話してはいけませんよ」


 「何でですか」


 「まず、大前提に他球団のスカウトに、ドラフト選手の情報を話してはいけません。特に蛇目さんには、話してはいけません。以前、蛇目さんにドラフト選手の話をした他球団の新人スカウトが、その球団のドラフトのすべての情報を抜き取られ、首になりました」


 蛇目さんと関わるとあの鋭い目や女性特有の口のうまさで、新人スカウトは鴨にされやすい。


 「気をつけます」


 岡田君は凜々しい顔で言ったが、足は震えていた。



お読みいただきありがとうございました。


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