スカウト会議2
「はあーーー!野球部のマネージャ-だと。とうとう頭が狂ったか」
上原さんの声が会議室に響いた。
「吉田よ。どうしたんだ。良い病院でも教えようか」
GMの福山さんも心配そうに言った。
「大丈夫です。私の頭は正常です。安井選手の将来性に惚れました。私はいたって真剣です。アピールの場をください」
私の真剣な目によって、本気だと周りも気づき始めた。
「わかった。とりあえずその誰だっけ、安井選手の事をくわしく説明してくれ」
「わかりました。まず安井選手ですが、ちゃんとした野球経験がありません。体験入部までです」
「はあーーー!野球経験がないとか、指名する以前の問題だろうが!」
また上原さんの声が、会議室に響いた。
「落ち着いてください上原さん。今から説明します」
「安井選手は高校2年生まで、病気で入院していました。病気は治ったんですが、野球をやってなかったので、野球の能力は絶望的に低いので選手ではなく、マネジャーとして野球部に所属していました」
「はあーーー!絶望的ってなんだよ」
上原さんの声が聞こえたが、無視して話しを続ける。
「でも彼には凄い才能があるように、私には見えました」
「どこにだよ!」
私が鑑定スキルで見たとしか言えので、気にせず話を続ける。
「そこで私は彼に、陸上部に入るように話をしました」
「どういうことだよ!」
なんか上原さんが良い感じに、突っ込んでくれてるように錯覚をしてきた。
「陸上部に入る前の50mのタイムが14秒だったんですが、陸上部で走る練習をすると高校生男子の50mの平均タイムの7秒台までになりました」
「いや、平均タイムじゃだめだろ」
上原さんの言う事はもっともだ。
「50mの平均タイムかも知れませんが、彼が陸上部に入って1ヶ月しか立っていません。1ヶ月で7秒も短縮しました。彼が甲子園前、いやプロに入団するときには、どれだけ早くなっているかわかりません」
「吉田が言いたい事はわかった。でもそんな未知数な選手を指名することは出来ない」
今アピール出来ることはしたが、やはりGMの福山さんを納得させるのは無理だった。
「わかりました。福山さんに1つだけお願いがあります」
「なんだ、言ってみろ」
「うちの正捕手の山口捕手と盗塁勝負させてもらえませんか?」
やはりアピールするには、盗塁しかない。
「山口に聞いてみないと駄目だが、勝ったとしても指名するとは限らないぞ」
「わかっています。ありがとうございます」
今はこれでいい。まだ指名するための切り札は残っている。
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