プロに入る為に必要な事とは
「なんで陸上部なんですか?野球しないとプロに入れませんよ」
安井君の言うように普通にプロ野球を目指すなら野球するのが普通だが、オールGの選手に普通に野球をしていたらプロにはなれない。
「今から普通にプロ野球選手を目指しても、ドラフトで指名されません。野球をして平均的に能力をあげても、他の平均的な高校球児の能力を超える事は出来ない」
現在高校3年生である安井君がどれだけがんばっても、オールEにもならないだろう。そのような能力の選手はプロでは指名されない。
「プロで指名されるには、何かひとつ突き抜けているものがあれば、指名されます。打撃、走力、守備のどれでもいいですが、ここで1番あげやすいのは、走力です」
「走力ですか。なんで走力なんですか?」
安井君が疑問を持つのは当然だ。
「まず1番難しいのは、守備です。守備を良く見せるには、走力、肩、捕球の3つの能力を別に上げないといけない」
「4つも上げないといけないんですか」
「うん。走力を上げないと守備範囲が狭くなってしまい、そもそも守備機会がなくなります。肩を上げないと打球を捕っても、打者を1塁でアウトに出来ません。捕球能力が低いとはじいてしまうので、エラーをしてしまう回数が増えます」
「守備以外の3つの能力をあげないと打球に追いつけず、打者をアウトに出来ず、エラーもする選手になる。つまり守備が下手に見えると言うことですね」
安井君は飲み込みが良くて助かる。
「次に打撃ですが、当てる能力つまりミートが良くてもなかなか指名されない。高校生には実力差があり高打率を残す選手はたくさんいる。また甲子園でヒットを打ちまくっても、たまたま調子が良かったように思われる場合が多い。なによりヒットはインパクトが薄い」
「確かに高校野球の試合を見ていても、サヨナラやチャンスの場面で打ったら印象に残ってましたけど、その他の場面で打ってもあまり印象に残ってない」
安井君はハッとしたようだった。
「次にパワーは当てれないと力を発揮しない。つまりパワー以外にミートの能力も上げないといけない。能力を上げるにはバットを振ったり筋トレなど、体を使う練習を中心にしないといけないので、疲れると練習できないし同時に練習出来ないので効率が悪い。はっきり言ってそんな時間ないし、試合でホームランなんて絶対打てる物でもないし、打てなかったらインパクトはない」
「確かに当てれずに三振なら、イメージ悪いですね」
安井君も納得した。
「最後に走力は打撃や守備を鍛えなくて良く、走力さえ鍛えれば良いので、今の時間がない安井君に1番合っている。試合でも出るかわからないホームランと違い、代走ででたら必ず1回は盗塁をすることが出来るので、アピールするチャンスは必ずある」
それに安井君の未来の能力で、1番高いのは走力なので1番合っている。
「僕は走力だけ鍛えれば良いんですか?」
「走力を鍛える時間がほとんどだが、1つだけ上げないといけない能力がある。それは盗塁技術だ。2つ上げないといけないと思うかも知れないが、盗塁技術は体を使う練習もいるが、上手な選手の映像を見るだけでも上がる。走力の練習で疲れていても出来るし、ランニングマシンを使えば同時に練習を出来るので他の練習より効率が良い」
千葉のある選手は盗塁技術を上げるために、兵庫の球団の選手の映像を見て盗塁技術を学び、盗塁王を取った。
安井君にも今は走力を上げるのが1番なので、盗塁は映像で上げてもらおう。
盗塁を成功させるのが、走力を1番アピール出来るので上げない選択肢はない。
「僕が走力を鍛えないといけないのは解ったんですが、本当に走力と盗塁を上げるだけでプロに入れるんですか?」
確かに心配になるのは解る。
「プロには野球する前に陸上部に所属していた選手は一定数いる。その選手達は、打撃がない選手が多く、たまに守備も良くない選手もいる。でも走力を見込まれプロで指名された。それほど走力には威力がある」
実際に福岡の選手が日本代表で、何回も走力で日本を勝利に導いた。
「わかりました。陸上部に行ってきます」
よしこれで安井君に能力を上げるのに必要な事は、ある程度理解してもらえた。
次はスカウト会議。球団のお偉いさんに安井君の指名を納得してもらう番だ。
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