オールG(最低能力)の選手を説得しよう
まずお偉いさんを納得させる計画に、安井君も納得してもらわないといけない。
「安井君はマネジャーまでするなんて、野球が好きなんですね」
「はい、大好きです。病院で入院した時の1番の楽しみが、野球中継だったんです。選手が打つ姿が格好良くて、僕も病気が治ったら野球をして、絶対にプロ野球選手になるんだと思って、苦しい治療に耐えてきました」
凄く安井君の目がキラキラしている。本当に野球が好きなんだ。
「でも野球は僕が思っていたより、簡単ではなかったです。体験入部させてもらったんですけど全然ついて行けなくて・・・。だからマネージャーなったんですけどやっぱり野球がしたい」
安井君は少し涙ぐんだ。
「こんな事を唐突に言うのもおかしいんだけど安井君、私を信じてもらえるかな。信じてもらえるなら、大好きな野球をプロで出来るようにするから」
「本当ですか。でも僕は野球の才能ないし、やっぱり無理です」
最初は喜んだ安井君だったが、沈んでしまった。僕も同じ立場なら、無理と思ってしまうだろう。
「そんな事はない!君には野球の才能がある。プロスカウトの私が言うのだから間違いない。私を信じて欲しい」
「本当に信じていいんですか・・・」
安井君の目からは涙が溢れている。
「ああ、必ず君をプロにしてみせる」
「宜しくお願いします」
安井君は深々と頭を下げた。
「任してくれ」
私は右手で胸を叩いた。
「まず、監督を呼んできてもらっても良いかな」
「わかりました」
安井君が呼びに行ってから、すぐに監督がやってきた。
「どうしたの。吉田君、私に何かよう」
「監督にお願いがあります。安井君をどうか私に下さい。必ず良い野球選手にします」
私は監督に深々と頭を下げた。
「いや、下さいって言われても困るよ。安井はマネージャ-であって、野球選手じゃない。プロに行く以前の問題だよ」
確かに今の能力では、ここにいるPP学園の高校球児、いや全国の高校球児で一番下手だ。
「私は彼が野球で凄い選手になる姿が見えたんです。私のスカウトの目は、監督も知っているでしょう。どうか信じてください」
「うーん、そこまで吉田が言うなら解った。安井を君に託そう。安井もそれでいいか?」
「はい。頑張ります」
私の真剣なお願いに、監督も納得してくれた。
「これからよろしく安井君」
「こちらこそ宜しくお願いします」
安井君は満面の笑みで返事した。
「それではまず最初に陸上部に入部してください」
「はあーーー!」
安井君の声がグランドに響き渡った。
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