第96話 闇の先に
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第96話 闇の先に
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暗い。
俺は死んだのだろうか。
また転生するのだろうか。
それともこのまま闇の中に溶け込むように消滅するのだろうか。
そんなことを考えていた俺の前に、一本の光の筋がさした。
その光源へと吸い上げられていく。
徐々に闇が晴れていき、そして眩いばかりの光の海に浮き上がった。
「ぶっはーっ」
跳ねるように上半身を起こす。
「………」
ひりつくような太陽の日差しを浴びている。
喉が無性に渇いている。
「ウォーター」
空中に浮かべた水の玉に口をつけ、喉を潤す。
人心地ついたら、周囲が見えてきた。
俺はダイヤドラゴンの上で寝ていた。
そのダイヤドラゴンは、息絶えている。
どうやら俺は勝った、ようだ。
最後に生きていたものが勝利者なのである!
「ッシャーッ! 俺氏、勝ったぜ!」
生き残った喜びと、強敵に勝てた喜びで、俺はガッツポーズを決めた。
ダイヤドラゴンが激しく暴れたせいで、地形が変わっている。
そんな地面に降り、ダイヤドラゴンを見上げる。
見れば見るほどデカい。
「あの攻撃を無傷で躱せるようにならないと、SSSランク上位モンスターとの戦いは厳しいか……」
SSSランクといっても、ピンからキリまである。
ダイヤドラゴンは恐らくピンのほうだ。上位の上位、もしかしたら異常個体だったのかもしれない。
こんなのと戦うには、ある程度の武術を身につけておいたほうがいいはずだ。
回避行動にしても、攻撃の間合いにしても、俺は素人に毛が生えたようなものだ。
「魔力操作の次は武術を本格的にやるかー」
ダイヤドラゴンはアイテムボックスに収納。
あってよかった、容量無限アイテムボックス。
これがなかったら、持ち帰ることはできなかったと思う。
とりあえず、そろそろ期限なのでホルトンに帰るか。
ダイヤドラゴンが異常の原因だった可能性は高い。
討伐したので、これからはモンスターが外周部へ押し寄せることはないはずだ。
ただし、すでに外周部に押し出されたモンスターが元の縄張りに帰るかどうかは、俺では分からない。
その場にとどまり、縄張りにする可能性は否定できないだろう。
「そこら辺を踏まえ、報告だな」
それはいいのだが、あれだ。
「俺、下半身露出してヘンタイじゃん!?」
まずはお着替え。
身だしなみは大事。
ヘンタイはあきまへん。
「よし、完璧だ」
防具にも少しはお金をかけたほうがいいのだろうか?
だが、あの攻撃に耐えられる防具なんてあるのか?
「あるようには、思えないなー」
青い空を見上げ、あの極悪な攻撃の数々を思い出す。
今思い出しても身震いがするよ。
「よし、帰るか!」
空を飛んで、ホルトンを目指す。
ホルトンの冒険者ギルドに入ると、受付にエルさんがいた。
今日も暇しているようだ。
俺が何度も死ぬかと思うような目に遭ったというのに、呑気なことだ。
「エルさん、帰りましたよ」
「おう……ん? お前、何か変わったか?」
「はい? どこがですか?」
「いや、なんか雰囲気みたいな?」
それは死の淵を何度も越えそうになったからだろうか。
それとも、ただ単に俺が成長したからか。
「まあいい。報告を聞こう。こっちへこい」
会議室へ入った俺は、エルさんにダイヤドラゴンがアースドラゴンを追いかけて食っていたことを報告した。
「そのダイヤドラゴンがモンスターたちを追いかけまわし、外周部へと追いやった可能性は否定できないな。で、討伐したのか?」
「はい。滅茶苦茶苦労しましたよ」
「フフフ。これでお前もSSSランクだな」
「そうなりますね」
「そのダイヤドラゴンを見せてもらえるか」
「デカいですから、広い場所があれば構いませんよ」
「訓練場では?」
「入らないでしょうね」
「そんなにデカいのか」
「はい。全長は200mくらいありますから」
「は? 200?」
「ええ、200mです」
「そりゃー王城の訓練場でも入らないな」
「そうなんですか?」
「知らんのか?」
王城の訓練場なんて知るわけないよ。
「まあいい。それなら町の外……いや、止めておこう。大騒ぎになる」
それが賢明ですね。
「外周部の高ランクモンスターの討伐はグランベルらにさせる。お前は王都にいって報告をしてこい」
「いいんですか? 結構広範囲ですよ」
「これ以上増えないのなら、構わん。徐々に沈静化させればいいんだからな」
「そうですか。了解です。俺は王都に向かいます。ああ、そうだ。プリママとアリス君らは帰ってきていますか?」
「いや、まだだ。だが、Sランク昇格試験には合格したと報告がきている。今頃は王都でショッピングでもしているのだろうさ」
帰ってないのか。ダイヤドラゴンを引き連れてこなくてよかった。
俺の選択は間違いではなかったようだ。
家に帰った俺を、コールギウスたちが迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、クライド様」
「「「お帰りなさいませ」」」
「今帰ったよ。留守中、何かあった?」
「特に大きなことはありません。細かいことは後程ご報告いたします。まずはお休みくださいませ。今、風呂を入れます」
「ああ、頼むよ」
ご愛読ありがとうございます。
これからも本作品をよろしくお願いします。
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