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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第95話 我慢比べ

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 第95話 我慢比べ

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「うおぉぉぉー」


 ソーラー・●イが迫る。

 背中を逸らせてなんとか躱すが、さらに追ってきやがった。


「こなくそぉぉぉっ」


 左右上下をランダムで方向転換し、狙いを定めさせない。

 やっとソーラー・●イが止まった。

 ヤツから距離をさらに取る。

 安全圏がどれほどか分からないが、とりあえず10㎞は離れただろうか。

 俺からはダイヤドラゴンが見えるが、ヤツからは見えないはずだ。


「なっ!?」


 ピカッと光ったと思ったら、正確無比なソーラー・●イ!?


「あの野郎!?」


 緊急回避。

 10㎞じゃダメかよ、まったく。

 岩山を盾にしても、ソーラーー・●イはその岩山を融解させて貫通して俺を正確に狙撃しいてくる。

 どうやら俺は完全にダイヤドラゴンを怒らせ、ロックオンされたみたいだ。

 しかし、見えないはずの俺を、しかも超超超距離で狙撃するとか、ソーラー・●イは半端ないな。


 そんなことを考えていると、ソーラー・●イが岩山を貫通してくる。

 まったく止む気配がない。


 防御力も近接戦闘も遠距離戦闘もできるなんて、卑怯だろ。


 どうするか。

 一旦逃げるのも手だ。幸い、あいつの移動速度はそこまで速くない。飛べる俺なら問題なく逃げることは可能だ。

 だが、俺が逃げたらどうなる? あいつは俺のいる場所を正確に狙ってくるヤツだ。

 もし匂いか何かを感じているのであれば、俺の匂いの濃いほうへ向かわないとは限らない。

 つまりはホルトンだ。

 プリママは帰っているだろうか?

 もう帰っていてもいい時期だが、絶対じゃない。

 あの人ならダイヤドラゴンをぶっ飛ばせそうだが、いなかったらどうする。

 もしプリママがいなかったら、ホルトンは壊滅するぞ。

 そんなことになったら本末転倒だし、俺のせいで多くの人が死ぬのはさすがに目覚めが悪い。

 不確定なことを実行できる危険度じゃない。


「そうなると、ここで倒すしかないか」


 ソーラー・●イを回避しながらも思考をまとめた俺は、覚悟を決める。

 まずは正確無比なソーラー・●イを回避しないといけない。

 悔しいが、魔力結界などなんの役にも立たない。

 これまで最強とは言わないが、多くのモンスターから魔力結界を貫通する攻撃をされたことがない。

 屈辱だが、ダイヤドラゴンは強い。そう認めてやる。

 だが、勝つのは俺だ。


「男は度胸、女は愛嬌って言うからな。一発かましてやるぜ!」


 岩山の陰から飛び出し、一気に加速。

 ソーラー・●イを間一髪で躱して、躱して、距離を一気に詰める。

 怖くて泣けてくるが、男の子は我慢だ。


 何度か掠り、足や肩が溶けた。

 その都度パーフェクトヒーリングで、瞬時に治す。

 痛いのは涙を流しながら我慢するしかない。

 我慢なら得意だ。


「うおぉぉぉっ」


 スピードなら俺のほうが上だ!

 ズガンッと、ヤツの横を通り過ぎる。

 そして急ブレーキ。

 すれ違いざまに魔力触手をヤツに絡ませておいた。


「くっ」


 超高速からの急停止は内臓が全部尻の●から出そうになる。

 ピーンッと張った魔力触手により俺は止まり、ダイヤドラゴンの背中に乗り移る。

 走って首元まで進むが、今度は尻尾が襲ってくる。

 それをヒョイッヒョイッと躱し、走る。

 しかし、自分の体に尻尾を打ちつけて痛くないのかね?

 平然としているから、痛みはないのかもしれない。これだから巨体鈍感系モンスターは嫌なんだ。


 ヤツの口から魔力触手を挿入して魔力チューチューを発動。

 同時に魔力を放出。

 魔力結界全開。

 さらには孔と尻尾を警戒。


 すぐに尻尾がハエ(俺)を叩きにくる。

 避ける。

 避ける。

 孔が開く。

 ダイヤモンドの弾が射出。

 こいつは受ける。

 躱そうとしても躱せる数じゃない。

 心臓と頭だけは受けてはいけないが、2、3発食らうのは覚悟している。


「痛ってーっ」


 5発食らった。

 体中に穴が開いた。

 ダイヤモンド弾は全部貫通した。

 飛び散った血を魔力結界で絡み取り、体内に戻し、穴を塞ぐ。

 さらにパーフェクトヒーリングで治す。

 これで血を失うことを最低限に抑える。


 俺が怪我の対処をしていると、尻尾が迫る。

 躱しきれず左足が潰される。

 同じように飛び散った血を魔力結界で絡み取り、体内に戻し、穴を塞ぐ。

 さらにパーフェクトヒーリングで治す。


「こんちくしょうめ、舐めんじゃねぇーぞ! ゾンビプレイでもなんでもやってやるぜ!」


 何度も体に穴を開け。

 何度も体を潰され。

 俺はそれでも魔力チューチューを止めなかった。


 体が無意識に反応し、回避行動をとる。

 治癒行動をとる。

 俺の命の火を消さないように繋ぎとめていく。


 魔力使いと粋がっていても、結局は魔法に頼る。

 情けなさを覚えるも、使えるものはなんでも使わないと、こいつは倒せない。

 俺の全べての力を使ってもこいつに勝てるか分からない。


 だが、俺は勝つ!




 どれほどの時間が経過しただろうか。

 俺はまだ生きているのだろうか?

 生きていると思うが、痛みはまったく感じなくなった。


 ここまでやって、途中で投げ出すわけにはいかない。


「最後、まで、つき合って……やるよ」


 ダイヤドラゴンの命の火が消えるのが先か。

 俺の命の火が消えるのが先か。

 我慢比べだ。


 決して負けない、そんな意志だけで俺は戦い続けた。




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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 まるで最終回間近のような、肉弾戦ですね! 肉弾戦が激しすぎて、『肉弾戦』の意味が、肉(体)とダイヤモンド弾の戦いに思えてきた……(しっかりしろ)
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