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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第94話 ダイヤドラゴン戦

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 第94話 ダイヤドラゴン戦

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 魔力触手を伸ばしてダイヤドラゴンの首に巻きつける。


「うおーっ!? 引っ張られる!?」


 大物を釣ったら、海に引きずり込まれた。そんな感じで俺は引っ張られた。

 ファイアドラゴンでさえ押さえ込んだ魔力触手でさえ止められないのか!?


「なんてパワーだ!」


 アースドラゴンはあの大きさでSSSランク下位。

 ダイヤドラゴンはSSSランク上位。

 その差は歴然だ。

 この光景を見れば分かる。


 そのパワーたるや、今の俺では止められない。

 なら、やることは1つ。


「取りつけばいい!」


 ダイヤドラゴンに一気に迫る。

 ダイヤドラゴンは何かを感じたのか、太い尻尾をブンッと振り回してきたが、それをギリギリで躱す。


「あぶねぇ」


 魔力結界があっても、ダメージ通りそうな気がした。

 遺跡にいたボックスの攻撃よりヤバいと感じた。


「ただの尻尾の薙ぎ払いがヤバいと感じるとか、さすがはSSSランク上位!」


 ダイヤドラゴンはハエでも払う感覚なんだろうが、こちらは命がけの接近だ。

 何度目かのチャレンジで尻尾を掻い潜ってダイヤドラゴンの首元の上に着地。


「これ全部ダイヤモンドか?」


 そう思うほど美しい体表だ。


 俺は魔力触手を伸ばし、首に巻きつける。

 そのまま首を落としてやろうと締めつける。


「やっぱダメか」


 硬すぎて首を落とすどころか、絞めることもできない。

 なんとかダイヤモンド装甲に隙間がないかと探したが、徒労に終わった。


「こうなったら必殺の魔力チューチュー!」


 かつて魔力チューチューされて、生き残ったモンスターはいない!

 ダイヤドラゴンの口は隙間だらけだ。そこに魔力触手を滑り込ませる。

 あったぞ、魔力だ。


「しかし、膨大だな……」


 底が見えないほどの魔力量をしている。

 ジュブレール大森林で出遭ったSSSランクモンスターはここまでの魔力ではなかった。

 さすがはSSSランク上位、といったところか。


「吸い上げろ!」


 魔力チューチュー。

 発動と同時に、魔力触手を通して俺の体内に濃厚な魔力が流れ込んできた。


「ぐっ……」


 熱い。

 かつて感じたことのない感覚だ。

 これは熱いなんてものではない。

 まるで熱せられた鉄板の上で焼かれている肉の気分だぞ。


「マジか、この野郎……それなら!」


 魔力チューチューで取り込んだ魔力を、同時に体外に放出する。

 幾分かはマシになったが、この魔力、底があるのか?


「い、いかん、弱気になるな!」


 根性とか気合とか、俺の柄ではないのだが、ここは根性だ。


「うりゃー、うりゃうりゃうりゃーっ!」


 あっつ! 熱いって、この野郎!


 その時、尻尾がしなって襲ってきた。

 辛うじてこれを躱し、ダイヤドラゴンから飛び立つ。


「あぶねーなー」


 だが、危機は続く。


 ダイヤドラゴンはアースドラゴンを追いかけるのを止め、俺を敵とみなした。

 竜種特有の縦長の瞳が、俺を睨みつけている。

 改めて見ると、寒気がする目だな。


 そんな目に睨まれた人間は、動けるのだろうか。


「動くしかないやろー!」


 尻尾が縦横無尽に襲い掛かってくる。

 止まったらお陀仏だ。

 たまに魔力結界に掠り、あっけなく抉られる。

 抉られた場所を見る暇もなく、修復して回避しまくる。

 全ての能力を反射神経に振りたいところだ。


「こんのーっ!」


 転生者は度胸だ!

 尻尾を紙一重で躱し、ダイヤドラゴンに取りつく。

 取りついたらこっちのものだ! とは言わないが、魔力をチューチューする。

 迫りくる尻尾を躱しながら、魔力チューチューを続ける。

 同時に吸い取った魔力を放出する。

 俺、意外と器用だな。


 しかし、あんな硬い外殻をしているのに、随分としなやかで柔軟な動きをする尻尾だ。

 反則だと思います!


 こっちだってせっかく取りついたんだ、簡単には離れないぞ、こんにゃろめ。

 だが、ダイヤドラゴンの攻撃は尻尾だけじゃなかった。

 ダイヤドラゴンの外殻に細かい孔が開く。

 俺は背中に冷や汗が流れた。


「ヤッバ!?」


 その瞬間、その孔からダイヤモンドが弾丸のように飛び出した。


「普通なら嬉しんだけどさぁぁぁっ!?」


 急上昇、錐もみ、急旋回。

 ダイヤモンドの弾が容赦なく魔力結界を貫通し、俺の体に傷をつける。

 幸いなことに、今の攻撃で致命傷になる傷は受けなかった。

 ただし、傷だらけだけど。


「攻守ともに完璧かよ。ウザ」


 上空からダイヤドラゴンを見下ろし、毒づく。


 その時だ、ダイヤドラゴンが口を大きく開けた。

 その口は間違いなく俺に向いている。


「まだあるのかよ!?」


 そりゃそーだ、ドラゴンといったらあれだよな。

 そう、ブレス。


 太陽光を浴びたダイヤドラゴンの口に光が収束していく。


「ヤッベー」


 大急ぎでこの場を離脱する。


「Gulalalalalalala」


 ダイヤドラゴンの雄叫びと共に、それは放たれた。

 ダイヤドラゴンの全身を使って集められた光のエネルギーが、俺に光速で迫った。


「光と人の渦が溶けていく。あれは……憎しみの光か!?」


 などとパクッてみたけど、実際にはそれどころではないのだ。




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― 新着の感想 ―
主人公の脳内声優が中尾隆聖や古谷徹になったりして忙しいなw まあ初期の数話で杉田智和だったので自分的に妙に納得した今話だった
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