第92話 黒だかり
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第92話 黒だかり
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強制依頼を受けた俺は、ホルトンからアルファン高地沿いを飛んだ。
今回の強制依頼は、数百㎞にもおよぶ地域の調査になるため、時間がかかる。
「まったく気軽に言ってくれるよね、エルさんも」
アルファン高地は赤茶けた大地だが、ゴツゴツとした大小の岩があっちこっちにあるため、モンスターが身を隠す場所は多い。
魔力フィールドを展開しつつ低空飛行をしていると、すぐにモンスターの反応があった。
「ロックリザードマンの群れか」
ロックリザードマンは個体だとBランクのモンスターだけど、上位種に率いられるとAランク相当の強さを発揮するらしい。
そのロックリザードマンが100体ほどいて、Sランクのロックリザードマンジェネラルに率いられている。
「これだけの規模のモンスターがクロディア回廊に出てきたら、ただでは済まないか」
とはいえ、俺の仕事は討伐ではなく、調査なんだよな。
とはいえ(しつこい)、これを放置したら、犠牲者が出るだろう。
「仕方がない。討伐するか」
ロックリザードマンは槍を装備しているが、中には魔法を使う個体もいると聞く。
集団との戦いで重要なのは、頭を潰すこと。俺はそう考える。
今回の場合、ロックリザードマンジェネラルを最初に潰す。
上空から一気に下降し、ロックリザードマンジェネラルに体当たり。こっちは魔力結界によって守られているのでダメージはないが、ロックリザードマンジェネラルは「グベボッ」と吹っ飛んでいった。
およそ200m吹っ飛んだロックリザードマンジェネラルにとどめのライダァァァパーンチッ!
ライダーではないが、細かいことは気にしない。
ロックリザードマンジェネラルは顔面が陥没して後方から脳が飛び出した。グロいのでこれ以上は言わないが、討伐完了。
いやー、Sランクモンスターを力業で倒すとか、俺も人外になったものだ。
ま、プリママほどではない(あんな化け物にはなれません!)が、これくらいはできるくらいに身体強化も魔力結界も成長したってことですね。
「残りのロックリザードマンを掃討っと」
両手の10本の指から魔力触手を伸ばした、バッタバッタとちぎっては投げ、投げてはちぎってと八面六臂の大活躍だ。
「ふー、やっと終わったか」
100体ものロックリザードマンを倒すのは、骨が折れたよ。ただ、危なげなく倒せたので、疲れただけだ。
「休憩したら、また調査に戻るか」
早く調査を終わらせて、ゆっくりと過ごしたいものだ。
調査開始から3日。
調査依頼のはずなのに、毎日多くのモンスターを討伐している俺であった。
高ランクモンスターを放置できない俺の気質が恨めしい。
その夜、俺は地図とにらめっこをした。
ここまでにモンスターと戦った場所と、その密度を考える。
「こっち方面から流れてきているのか?」
明日はそっちを調査してみるか、と思いながら寝入った。
翌朝は暗かった。
アイテムボックスから取り出したサンドイッチをパクパクと食べ、優雅にハーブティーを飲んで目を覚ます。
「さてと、やりますか」
魔力結界の外では、モンスターたちが群がってきており、アリ塚のようになっている。アリのモンスターが魔力結界を覆っているため、光さえ入ってこずに真っ暗だったわけだね。
「てか、普通にキモいんですけど!?」
魔力結界を覆っているのは、ディザスターアントの群だ。数千、下手をすれば10,000を超えるディザスターアントが、俺を獲物と定めて群がっているのである。
地面もちゃんと魔力結界で覆っていてよかったよ。そうじゃなければ、地下から侵入を許していたはずだ。
ディザスターアントは単体ではAランクのモンスターだけど、数が多いのでSランク、場合によってはSSランクでさえも食われてしまうモンスターだ。簡単にいうと、質より量というヤツだね。
「こいつらを殲滅するのはできると思うけど、途中で心が折れそうだ……」
コツコツやるレベル上げは嫌いじゃないが、さすがに数が多い。だけど、やらないと誰かが被害に遭う。
場合によってはホルトンまで押し寄せるかもしれない。ホルトンには守るべき人たちがいるから、ここで殲滅するけどさ。
魔力結界から魔力触手を伸ばす。10本の魔力触手をワイヤーのように丈夫で細い糸化させる。
その糸の魔力触手でディザスターアントを絡めていき、引き絞る。
スパンッと硬い甲殻が切れる。魔力製の最強の糸は、Aランクモンスターの甲殻も容易に切り裂いた。
とにかくスパンッスパンッスパンッとディザスターアントを切り裂いていく。バラバラになっても次から次に群がってくるから、ウザい。
「まだ1割くらいか。もう、見飽きたんですけど」
1,000体は切り裂いていると思う。まだまだ先が見えない。空も見えない。魔力結界内は暗い。俺の心も暗い。はぁー。
やっとのことでディザスターアントを殲滅した。地面はディザスターアントの死体で埋め尽くされている。
「俺、やったよ。褒めてくれ」
誰に言っているのか、自分自身でも分からない。
もうね、目から光が抜け落ちてますよ。
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