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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第91話 調査依頼

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 第91話 調査依頼

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「お久しぶりですね、エルさん」


 エルさんはお茶を飲んでいた。


「美味いお茶だ。ゴルスか?」

「え?」

「お茶の銘柄だ」

「ああ、そうそう、ゴルスですね」


 俺が用意したお茶じゃないから、知らんよ。


「知らんかったな」

「何を仰いますか、エルさん! 知っていたに決まっています!」

「これはゴルスじゃなく、アーバーグランだ」

「………」


 え、そうなの!?

 コールギウス(爺や)が苦笑している。どうやらエルさんの言うとおりアーバーグランのようだ。

 なんだ、この負けた感は……。悔しい!


「まあいい。本当に久しぶりだ。ホルトンにいるなら、ギルドに顔を出せ」


 く、上から目線で言われている気が半端ない。


「……働きすぎたので、休暇をとっていました」

「ふんっ。いいご身分だな」

「ええ、いい身分です」

「俺も休暇がほしいぜ」

「それは無理」


 そんな顔しないでよ。どう考えても、プリママが辞任してすぐに休暇は無理でしょ。悪いのはプリママですからね。


「で、わざわざギルマス様が俺の家までやってきた理由はなんですか?」

「お前に依頼だ」

「俺に? わざわざギルマスが足を運んでまで?」

「お前がギルドに顔を出さないから、こうしてきたんだ」

「休暇をとってましたからね」


 チッと舌打ちしたよ、この人。

 なんか溜飲が少し下がった気がした!


「依頼内容は調査だ」

「調査、とは何を調査するのですか?」

「アルファン高地のモンスターが騒々しい。本来であれば奥にいるはずの高ランクのモンスターが外周部に出てきている」

「その原因を調査しろと?」

「そうだ」

「他にも調査できそうな冒険者はいるでしょ?」

「お前が一番身軽だし、調査向きだろ、お前」

「そうでしょうか?」

「そうだろ。じゃなければ、ジュブレール大森林を何十日も進んだ奥にある遺跡なんか発見しねーぞ」

「あ、そうでしたね。ハハハ」


 まあ、自分でも調査向きだと思わないではない。空が飛べて、魔力フィールドで索敵もできる。さらに魔力触手は離れた場所や、狭い場所でもするすると入っていけるのだから。


「これは強制依頼だ。拒否はできないぞ」

「拒否するつもりはないですから、安心してください。準備して、明日の早朝にギルドに顔を出しますよ」

「ああ、頼む」


 エルさんは帰っていった。後ろ姿が心なしか疲れていたので、本当に休息が必要なのかもしれない。

 倒れないでほしいものだ。


「爺や。出かけてくる」

「いってらっしゃいませ」


 ある程度の食料はアイテムボックスに収納しているが、何があるか分からない。

 あとは必要ないと思うけど、念のためにロープなどの備品も買い足しておく。




 翌日の早朝。


「本来はプリママが帰ってくるまでゆっくり過ごそうと思ったが、ギルドから依頼が出た。俺はしばらく帰ってこないので、家のことは頼んだぞ」

「はい。お屋敷のことは、わたくしどもにお任せください。クライド様のご武運を祈っております」


 爺やたちに声をかけ、俺は冒険者ギルドへと向かった。

 メリンダさんに声をかけると、巨乳様の揺れを見て目の保養をする。やっぱり動く度に揺れる胸には、夢が詰まっているな。

 プリママは顔だけ(・・・)はいいけど、強さと引き換えに胸をどこかに置いてきてしまったからな……。

 あと、エルさんは受付にいなかった。ギルマスの仕事が忙しいようで、奥で書類仕事をしているのが魔力フィールドによって見えた。真面目に仕事をしているようで何よりだが、倒れないようにね。


「こちらがクライドさんに対して出ている依頼になります」


 依頼用紙を確認する。期限は最大で1カ月、目的はモンスターの異常行動の原因調査、報酬は30,000,000G、依頼失敗時のペナルティはなし。

 拘束期間が1カ月で報酬が30,000,000G。

 そんなに高いわけじゃない。ただ、ギルドからの依頼なんてこんなものだ。公共性の高い依頼だから、報酬は低めでギルド貢献度は高め、というのが常識だと以前グランベルさんに聞いたことがある。


「ここからこの辺りまで、広範囲で高ランクのモンスターが確認されています」


 簡易的な地図で大まかな範囲を示されるが、メリンダさんが言うように結構広い。


「分かりました。それじゃあいってきます」

「はい。お気をつけて」


 地図はそのままもらっていいというので、いただいてきた。

 高ランクのモンスターが多く見受けられるのは、クロディア回廊のホルトンから少し南下した辺りから、隣国の獣人国方面のおよそ数百㎞。簡易地図ではさすがに正確な距離は分からない。

 隣国からホルトンまでは結構な距離があることから、数カ所に野営ができる場所がある。これは村とか集落ではなく、往来する商隊が長い年月をかけて何度も野営したことでできたスペースだ。

 簡易地図にその野営地の場所があり、ホルトンから数えて3つ目の野営地付近までが範囲になっている。


 ホルトンの門を守る兵士から敬礼をうけて出ると、人目につかない場所に向かう。

 いちいち人目をはばかるのは面倒だ。魔力でステルス化はできないだろうか? 光学迷彩だけでいいんだけどな……。

 ま、今はやることがあるので、そこら辺は今後の課題にしようか。


 ゆっくり上昇していき、アルファン高地側へと向かう。



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