第84話 古代文明の遺物
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第84話 古代文明の遺物
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遺跡調査も2カ月。
思ったよりも長くかかっているが、その分大きな収穫があった。
それが今、俺の目の前にある。
「うひょーっ!」
パックさんが壊れた。
「これはすごいものですよ!」
もう1人の学者のヤパスさんも興奮している。
かく言う俺も、当たりを引いたことで武者震いしている。
「これは壮観ね」
「これは船なの?」
「船でしょ? でも、この辺りにはこんな大きな船を浮かべる川も海もないわよ?」
【炎姫】のシャインさんとライヒスさんが話をしているように、船だ。巨大な船だが、これはおそらく……。
「これは古代の飛空船ですよ!」
ヤパスさんの言葉に、俺の心臓が跳ねた。
飛空船といえば、ファンタジー界隈で言われているオーバーテクノロジーのものですよね!
「これほどの完品はかつて出土したことはありません!」
完品って。
まあ、見た感じ欠損はないけどさー。
本当にここまで完全な形で飛空船が出土したことはないらしい。
俺たちは飛空船の調査をした。
俺はエンジニアじゃないから分からないが、破損している部分はなく本当に完全な状態だ。
「パック殿! こんな完全な飛空船を発見するなんて、世紀の大発見ですよ!」
「うむ! 間違いなく大発見だ!」
学者たちの喜ぶ姿を横目に、俺はプリママを手招きした。
「どうした?」
「気になる場所があるので、一緒にきてもらえますか」
「ほう、気になる場所ねぇ。いいだろう。グランベル。ここは任せたぞ」
「お、おう?」
飛空船から降り、ドッグの奥へといく。そこは行き止まりだが、俺はその壁をペタペタ触った。
「その壁が気になるのか?」
「俺の勘に間違いなければ、この奥にも何かがあります」
「ほう……クライド、下がっているんだ」
「はい!」
プリママが腰をやや落とし、拳を引き絞る。
「ふんっ」
ガッ。ドッガーンッ。
壁に大きな穴が開いた。さすがは莫迦力!
「ふむ。クライドの言うように、こっちにも空間があるな」
直径1mほどの穴を通り、プリママの後に続く。
そこには多くのバイクや自動車があった。ここは倉庫なんだと思う。いや、バイクじゃない。似ているがタイヤがついていないんだよ。乗り物なんだよな? タイヤはどうした?
そんなことを考えていると、ボックスが現れた。
「自動車が傷つくので、戦闘は……」
俺が戦闘は避けたいと言う前に、プリママが10体のボックスを破壊した。マジで一瞬だった。見えませんでしたよ。本当に化け物だよ、この人。
そのおかげでバイク(仮)や自動車が無傷で手に入った。
バイク(仮)に跨ってみる。大きさ的には、最低でも750㏄の大型だ。ま、排気量なんて古代文明のバイク(仮)にはないかもしれないけどさ。
スターターはどれかなー……。
あっちこっちペタペタ触る。そしたら、モニターのようなものに触ったら、魔力が吸われる感覚があった。
「これは……」
「どうした、クライド?」
「ちょっと待ってくださいね」
そのモニターに手を置き、魔力を流してみる。俺の魔力を受けたバイク(仮)のヘッドライトが光った。
さらにモニターにも光が宿り、ホログラムが浮かび上がった。
「ママ、これは!?」
「き、どう……起動か!? だが、細かいところが読めない」
「そうだ、翻訳機じゃなかったパックさんを呼んできてもらえますか」
「分かった!」
プリママがバビューンッといなくなり、俺は魔力を込め続ける。俺の魔力の10%くらいを吸ったところで、魔力の吸収が止まった。
「クライド!」
「クライド君!」
プリママとパックさん、その他大勢がやってきた。
「これは!?」
「パックさん、この文字を読んでください」
「分かった。動力完全。起動させるか?」
「起動!? どうすれば起動しますか?」
「そこの赤いところを触ってみてくれ」
モニターの端に赤い丸がある。そこを人差し指でタッチ。
ホログラムが切り替わっり、数秒で消えた。まさか今ので起動できたのか?
「起動したぞ、クライド君」
「「「おおお!」」」
「これでいつでも走行可能だ」
「走行可能はいいですけど、どうやったら走るんですかね?」
「それは……分からん」
「ですよねー。とりあえず、弄り倒してみます。下がってください」
皆を下げて、俺が知っているバイクの操作をしてみる。アクセルをゆっくり開けると、おおお、浮いて微速前進したぞ!?
「「「おおお!」」」
なるほど、これはエアバイクか。
操縦方法は俺の知っているバイクに似ているが、足で操作するものはないか。
速度を上げていくと、ギアが自動でチェンジしたような微妙なノッキングがあった。意識してなかったら、気づかないくらいのものだ。
「オートマかよ……」
しかし、まさか浮くとは思わなかったよ。タイヤがないから、もしかしてと思わないではなかったが、そんなSFな乗り物なんてと思っていたんだよな。
早く広いところで走らせてやりたいぜ。
「よく走らせることができたな、お前」
「なんかやってみたらできてしまいましたよ、グランベルさん」
「俺にも貸してくれ」
「いいですよ」
俺はエアバイクから降り、グランベルさんが跨る。
「ここを回すんです。止まる時はここを引いて―――」
エアバイクの操縦方法を教える。
だけど、エアバイクは動かない。アクセルを開けてもうんともすんとも言わず、動かない。
「魔力を補充した人じゃないと動かせないのかもしれないよ」
俺とグランベルさんが首を傾げていると、パックさんが教えてくれた。そうか魔力の登録は十分に考えられるな。セキュリティがしっかりしているってことだな。
「それなら他のもので魔力を登録してみたらどうですか?」
「いいのか?」
グランベルさんは配分について心配しているようだ。でも、見た感じ100台以上あるのだから、ここにいる冒険者全員が登録しても問題ないさ。
「数は十分にありますから、好きなのを選んで、ここに魔力を流してみてください。それで上手くすれば動きますよ」
「よっしゃー! 俺は……こいつだ!」
グランベルさんはかなり大型の黒いエアバイクを選んだ。女性なら4人乗りができそうな、巨躯のグランベルさんでもゆったりと2人乗りできるものだ。
「あたいはこいつだ!」
ミリアさんも比較的大きい、真っ赤なエアバイクを選んだ。
「儂はこいつがいいぞ」
ドゴゴンさんはスノーモービルのような横が少し広いタイプのエアバイクだ。ゆったり乗れそうだ。
他の人たちもバイクを物色をしている。思う存分選んでください。




