第82話 プリママ対ボックス
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第82話 プリママ対ボックス
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巨大地下都市の調査3日目、地図作成もビル内の調査もまだまだ最初の一歩を踏み出しただけにすぎない。
「B1区画の建物に、あのちっこいのがいたわ」
報告に戻り、お茶を飲んで休憩していると、戻ってきた【炎姫】のシャインさんがボックスの存在を報告した。
「よーし、あたしがいくぞ!」
プリママが嬉々として火の中に入っていく人だと俺は知っている。だから、止めない。それどころか、ついていく。
プリママがボックスをどんなふうに倒すのか、見てみたい。どうせ力業で潰すのだろうけど、楽しそうだ。
とりあえず、ボックスの件は全く心配してないが、問題はそこじゃないんだよなー。
「建物は壊さないでくださいね」
「任せろー♪」
絶対壊すだろ、あんた!?
ボックスは7体いた。しっかりと稼働している。
しかし、この建物は……。いや、調査すれば分かる。うん、分かる。
このガラスは、どれほどの強度があるのかな? プリママが暴れても割れないでほしいな。ガラス1枚でも結構巨大なものなので、高額だと思うんだよ。
「よし、いくぞ!」
自動ドアは動いていないので。力技でこじ開ける。さすがはプリママ、莫迦力で簡単に開けた。
すると、ボックスから何か聞こえた。最初の時も思ったが、多分古代語の警告の音声なんだと思う。
パックさんがガラスにへばりついて中を見ている。あの人、最初は生真面目な学者かと思っていたが、今の印象は変態の学者だ。ま、こっちのほうが辛気臭くなくていいけどね。
ボックスの側面が開き、マシンガンが出てくる。しかも7体がプリママにマシンガンを向けている。
プリママがハチの巣になったらどうしよう、という考えは一切浮かんでこない。あの化け物がハチの巣になる未来はまったく予想できない。あり得ないよね。
マシンガンが火を吹いた。暴風のような激しい弾丸の雨を、プリママは笑いながら躱している。7体だぞ? どうやって避けているんだよ?
「やっぱ、人間じゃねぇーな、あの人」
弾丸はビル内のものを破壊するが、なんとガラスに当たっても割れなかった! これは防弾ガラスかよ!?
おかげで、ガラスの外には被害はない。俺たちは安心して見物ができる。
「何かが高速で射出されているようだが……あの数は異常だ。異常なのに、なんであのババアは全部躱しているんだよ?」
ゴーゴルさんの渇いた声が聞こえた。
「フードン、お前は躱せるか?」
「バカ言うな、あんなもん躱せるわけねーだろ」
【破壊の巨人】のゴーゴルさんの問に、同じく【破壊の巨人】のフードンさんは肩を窄め、両手の平を上に向ける。
フードンさんは、スピードだけならSSランク冒険者の中で随一だと言われている。それほどの人が無理と思える動きをプリママはしているのだ。そしてプリママはまだ本気を出していない。そんな気がするんだよ。
「なかなか速いし狙いも正確だが、その程度だな」
そんなことを言ったと思ったら、プリママは一瞬でボックスに接近した。
「ふんっ」
重い衝撃音が聞こえた瞬間、ボックスがへしゃけた。
「ふーむ。強度はなかなかだが、この程度ではな」
あの化け物は俺の想像の斜め上をいく……クソ化け物だわ。
プリママは7体のボックスをワンパンで破壊していった。無傷で。
「あのちっこいヤツの攻撃は、本当にヤバいの?」
【炎姫】のシャインさんが耳元で囁いた。ゾクゾクするので、止めてください。
「ファイアドラゴンの鱗なら貫通すると思っています」
「そう……」
そんなボックスに完封勝利するプリママは人間じゃないから、見習おうとはしないでね。特に性格面で。
破壊されたボックスを、皆で見分。【破壊の巨人】の面々が壊れたボックスを殴ったが、びくともしない。
「かてぇーな、こいつ」
ゴーゴルさんが拳を擦る。
「こんな硬いヤツを1発で潰す、あのババアが異常なんだよ!?」
「ああ。ババア、半端ねぇー」
皆が頷くが、俺はそそくさとそこから離れる。
「誰がババアだって?」
「「「っ!?」」」
皆が錆びたドアのような音を立てつつ振り返る。
そこには般若の面をつけたプリママがいた。
「「「ぎゃぁぁぁーっ」」」
あの人たちは放っておいて、このビルは今までとは違うのが分かる。
「フフフ。お宝の匂いがする」
あっちこっちマシンガンによって破壊されているが、元々エレベーターは動かない。
階段を上がって……。ガシッと肩を掴まれた。誰?
「どこにいくのかな、クライド?」
プリママだった。いい笑みを顔に貼りつけているよ。
「調査を、と思いましてね」
「ならあたしもいこう」
「どうぞ、お先に」
「おう!」
入口付近では、ゴライアンさんたち【破壊の巨人】の面々がボコボコになって倒れていた。女性陣は利口な人が多いことから、余計な一言は言わない。おかげで全員無事だ。
しかし、頭からたん瘤が3連で出ているのは、マンガの世界だけかと思ったが、本当にできるんだな。
プリママは構わず階段を上がっていく。俺と女性陣、それからパックさんと護衛がついていく。何気にパックさんもいるんだね。




