第79話 ジャンプする時はスカートだと……
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第79話 ジャンプする時はスカートだと……
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最初の関門、切り立った崖。高さ100mほどを上る必要がある。
「ここを避けて通ると、5日ほどロスしますから、この崖を越えます」
「越えると言っても、どうやって越えるんだ?」
よくぞ聞いてくださいました、グランベルさん!
「俺がジャンプして崖の上に着地し、ロープを下ろします」
「はぁ? ジャンプって、この高さをか?」
「ええ、やってみたらできました」
「やってみたらって……とりあえず見ておくわ」
「それじゃあ、ちょっといってきますね」
飛行の要領でジャンプ。成層圏までジャンプしたことがあるけど、今はそんなミスはぜずに100mの崖の上に着地する。
崖の上の木にロープを括りつけ、崖下に垂らす。
そのロープを左手に持ち、崖を飛び降りる。ロープを持つ手のグローブが熱を持つ。途中、何度か崖を蹴って無事に着地。
「おい、おい、マジでジャンプかよ」
「風魔法の応用です。足の下で風を発生させる要領ですね」
「そんなことでこの高さをジャンプできたら、誰も苦労しねーぞ」
まあ、俺もそう思わないではない。実際にそんなことしてないし。と思っていたら、リンリーリンさんが前に出てきた。どうしたの?
「やってみる」
「おい、マジかよ?」
グランベルさんの言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、リンリーリンさんは浮き上がった。
「フーレン、お願い」
少し浮き上がってからの、ズドンッ。
砂塵を巻き上げてリンリーリンさんがジャンプした。
崖の上に着地したのはさすがだけど、スカートでそれをやると中が見えますよ。俺的には眼福ですけどね。
しかし、フーレンというのは、精霊の名前なのかな? 俺にも精霊がついてくれないかなー。
「フフフ。リンも中々やるわね」
おっと、対抗意識を燃やすプリママ登場。てか、リンリーリンさんをリンと略してるのね。たしかに言いにくいからなー、リンリーリンさんって。
「いっちょやったるかー」
プリママはグッと腰を落とした。
「うりゃっ」
衝撃波がすぐ横にいた俺を襲う。
砂塵を巻き上げプリママは上空高くジャンプ。
「無駄に高いんですけど……」
「ババー、張り切りすぎだろ」
「グランベルさん。聞こえますよ」
「ハハハ。そんなわけないだろ」
その後、ジャンプできない人はロープを使って崖を上った。
もちろん、グランベルさんはプリママに殴られていた。口は災いの門ですよ。
「師匠。何か近づいてきます」
レットン君の索敵にブルーバードが引っかかった。
「全員、警戒」
全員が崖を上がったところで、モンスターの襲来だ。タイミングがいいことで。
「空です!」
レットン君が空を指差した。
ブルーバードは鳥型SSランクモンスターで、最高級の鶏肉だ!
「プリママ。あれは最高級の鶏肉ですよ」
「ほう、それなら最高の状態で狩らないとな!」
そう言うと、プリママが飛び上がり、ブルーバードの嘴を蹴り上げる。ブルーバードは後方に数回転し、墜落。
地面の上で足掻くブルーバードの頭を踏み潰して着地するプリママ。容赦ない。
「ツキオス君とレットン君は血抜き。アリス君は肉を冷やして」
「「「はい」」」
3人は手際よく解体と肉を冷やしていく。
「今夜は焼き鳥パーティーだ!」
「それはいいわね。だけど、そろそろ風呂に入りたいんだけど、クライド」
「ここ、ジュブレール大森林ですよ?」
「クライドなら、場所など関係ないだろ?」
プリママの目が血走っている。風呂を用意しないと、何をされるか……ブルッ。
「はい、ご用意いたします」
「それでいいのよ。フフフ」
俺が焼き鳥を焼いている間に、アリス君には地面に穴を開けてもらった。それが終わったら、焼きをアリス君と交代する。焦げても俺のせいではない。
俺は47度ほどのお湯を穴に入れる。熱いくらいのお湯を入れると、風呂桶(土)が冷ましてくれる。アリス君の開けた穴(風呂桶)は、カチコチでお湯に溶け出すことはない優れものだ。
並々にお湯を入れたら、衝立を出す。
「はい、お嬢さんがた、風呂が沸きましたよ」
「うむ。よきに計らえ」
腹立つわー。いつか俺のほうが強くなってやるんだから!
「クライド君。本当にありがとうね」
「いえいえ、ミルキーさんのためなら、これくらいお安いご用ですよ」
人を見て対応を変えるのは当然のことだよ。
女性陣が風呂にいくので、アリス君と焼きを変わる。
大量の鶏肉を部位ごとに焼く。焼きというものは大事な行程だ。アリス君は焦がさず焼いてくれたが、焦げが少ない。これではダメだ。焦げも美味しさの1つなのですよ。
「君は多芸だね」
学者のヤパスさんだ。40過ぎのオジサンで護衛より護衛らしい風貌の人だで、貴族だと聞いたけど物腰は柔らかい。
「多芸と言いますか、雑用係ですね」
「雑用係、か。フフフ。それでこんな魔境の中で美味しい食事にありつけるのだ、私は雑用係に感謝しているよ」
俺は肩を窄め、返事に変えた。
もう1人の学者のパックさんは、50手前の気難しい人だ。常に眉間に皺が寄っていて、見た目は本当に学者といったものだ。
4人の護衛のうち3人はそのパックさんが連れてきた。つまり、ヤパスさんの護衛は1人だ。まあヤパスさん自身が結構強そうだから、護衛はそんなに要らないのかもね。いてもこのジュブレール大森林では、役に立たないけど。
風呂から上がった女性陣は、気分よく焼き鳥パーティーに加わった。
俺たち男は、体を濡れタオルで拭くだけ。この待遇の差は改善をしてもらいたい。
「グランベルさん、言ってやってくださいよ」
「お前、息子だろ。お前が言えよ」
「俺はこの若さで死にたくないです」
「俺も死にたくないぞ。ゴライアン、お前言えよ」
「……無理」
どうやらプリママの暴君ぶりは、高ランク冒険者の間でしっかり浸透しているようだ。




