第78話 カニが美味い
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第78話 カニが美味い
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ジュブレール大森林を順調に進んだ3日目。とうとうSSSランクモンスターに遭遇する。
「ギガントスパイダーですね」
巨大な蜘蛛のモンスターだ。ちょっと背筋に寒いものが走る。蜘蛛は苦手じゃないけど、ここまでデカいのはさすがにね。見た目で少し気圧されるものがある。
「おいゴライアン! やるぞー!」
「応よ!」
【雷神の鉄槌】と【破壊の巨人】が共同でギガントスパイダーと戦うようだ。さすがにSSSランクのモンスターを1パーティーで戦うのはキツいようだ。
「ツキオス君、レットン君。周辺の警戒をしてね」
「「はい!」」
ギガントスパイダーと2パーティーの戦いは激しいものになった。ギガントスパイダーは体の大きさに比べ細い足で、グランベルさんの巨体を弾き飛ばす。
「ぐあっ」
「だらしねーぞ、グランベル!」
「う、うるせーよ!」
木に激突したグランベルさんは、槍を杖代わりにして立ち上がる。ダメージがあるようで、少しふらついた。
そこにミルキーさんの回復魔法が飛ぶ。
「この野郎、よくもやってくれたな!」
グランベルさんが戦線復帰。
戦いは一進一退だ。
「手伝わなくていいのですか?」
プリママに声をかける。
「あの程度のモンスターを倒せないようじゃ、SSSランク昇格は難しい。これはあいつらの試練。SSSランクになるためには、通らなければいけいものだ」
登竜門かー。ただ、2パーティーで狩ってもSSSランクには昇格できないでしょ?
1パーティーなら別だけど。
それから30分。ギガントスパイダーも【雷神の鉄槌】も【破壊の巨人】も皆ボロボロだ。
後衛のミルキーさんも疲労困憊で、肩で息をしている。
そんな戦いに決着の時がきた。
ギガントスパイダーの細い足から力が抜けていき、その巨体を支えることができなくなった。
「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「勝ったーーーっ!」
グランベルさんとゴライアンさんの雄叫びがジュブレール大森林にこだまする。
あんまり大きな声を出さないでほしい。だた、あれほど激しい戦いがあり、戦闘音もかなり派手だったのに、他のモンスターは近づいてこなかった。この辺りがギガントスパイダーの縄張りだったからなのかもしれない。
しかし、2パーティーがここまでボロボロになったら、今日はもう進めないな。
「トルテンさん、今日はこれ以上進めないので、ここら辺で野営をしましょうか」
「そうですね。野営の準備をさせます」
トルテンさんは眼鏡をクイッとやり、無傷の【炎姫】と学者たちにそう通達する。
「ツキオス君、レットン君。こいつを解体するから手伝ってくれるかな」
「ぎ、ギガントスパイダーを解体するのですか?」
「これ、美味しいらしいよ」
「「………」」
見た目はあれだけど、ちゃんとモンスター辞典に美味しいと記載があるんだよ。
蜘蛛はエビやカニの遠縁らしいから、美味しいのも頷けるというものだ。見た目はあれだけど……。
カニ、カニ、カニ、カニ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、カニ、エビ、カニ、エビ、カニ、エビ、カニ、エビ、カニ、エビ、カニ、エビ。
解体後、先ずは足を茹でてみる。
味見……うっま!? これ、カニだわ! 甘いカニだ!
「カニ~♪」
「「師匠?」」
「2人も食べてみな……」
「「……美味しい!」」
そうだろ、そうだろ。これはとても美味しいものだ!
「息子よ」
振り返ると、プリママがいい笑みを浮かべていた。でも目は笑ってない。
「もちいろん、あたしの分もあるんだよな?」
「も、もちろんですよ。はいどうぞ」
「……うっま! 何これ、美味しいんだけど!」
そこから俺はカニをじゃなかった、蜘蛛を茹でまくった。
そして酢に酒、塩、砂糖などを混ぜてたタレを作る。カニ酢にはほど遠いが、それでも美味い。
「お、これいいな!」
プリママはなんちゃってカニ酢が気に入ったようだ。
「クライド、お代わりだ!」
「はーい」
「こっちもお代わりね、クライド君」
「はいはーい」
俺は給仕ではないのですがね。まあいい。ツキオス君、レットン君、アリス君、できた分から運んでちょうだいな。
大鍋3個でとにかく茹でまくった。俺の食べる分を残してくれるんだろうな? そんな勢いで、食べるヤツらはお代わり以外では喋らない。
カニって食べる時無口になるよね。
1時間後、どこに入ったのかというくらい、食いやがった面々が腹を擦っている。
俺の分は残った。ククク。カニ味噌は俺のものだぜ。お前らはカニの身だけで満足しておきな。
しかし、あの巨体なのにカニ味噌はたったこれだけか。まあ、俺1人で食べる分には十分だがな!
うっま! 思わず声に出そうになったよ。あぶねー。声に出したら、ハイエナのようなプリママが聞きつけてくるところだ。
かー、うめーなー。酒をちょっと垂らして、ジュルル……最高だぜ!




