第77話 ジュブレール大森林の野営
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第77話 ジュブレール大森林の野営
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ジュブレール大森林に入っていくのは、俺、【ポリテンクス】、プリママ、【雷神の鉄槌】、学者、護衛、トルテンさん、【炎姫】、【破壊の巨人】の順番だ。学者たちを護るような体制だ。
「師匠、何かが近づいてきます」
「了解」
俺は手を上げ、後方から続く人たちに警戒を上げるように示唆する。
俺の魔力フィールドでは、カマキリ型Sランクモンスターのデスマンティスを捉えている。
低い羽音が聞こえてきた。そして【雷神の鉄槌】のグランベルさんとミリアさんが動いた。
鎌を重厚な盾で受けたミリアさんによって、デスマンティスの動きが止まる。そこにグランベルさんの槍が襲い掛かる
すかさずミルキーさんの強化魔法がミリアさんを、さらにドゴゴンさんが大槌を打ちつけるが、これは鎌に阻まれた。しかし、その隙にリンリーリンさんの風魔法が羽を斬り飛ばした。
SSランクなだけあって、【雷神の鉄槌】の皆はさすがだね。まったく危なげなくデスマンティスを倒した。
グランベルさんなんか、最後に槍をオーバーに振り回す演出までしていたよ。まったく、子供なんだから。
「不合格」
「なんでだよ!?」
プリママが不合格を通達したら、グランベルさんが叫んだ。
「最初の一撃は首の弱いところを突けたが、指一本分横にずれた。おかげで一撃で終わっていたはずなのに、戦いが長引いた。修業が足りん」
「うっ……」
そうなんだ? 俺にはまったく分からなかったよ。そんなわずかな誤差をあの一瞬で見分けるとか、やっぱりプリママの実力は本物だな。
それからもモンスターの襲撃を受けたが、冒険者組が活躍して退治している。冒険者組にも学者組にも被害はなく、夕方前になったので野営の準備に入る。
レバニラ炒めと焼肉を用意するのだが、なんで料理担当が俺だけなんだろうか? プリママが家事壊滅なのは知っているが、誰も手伝ってくれないんだけど?
「おう、クライド。美味いのをたのむぜ」
「グランベルさん、手伝ってくれないのですか?」
「俺に料理ができると思うか?」
そんなこと言われると、手伝えとは言えないじゃないですか。
「自慢じゃないが、うちのメンバーは誰も料理なんてできないぞ」
【雷神の鉄槌】のメンバーを見ると、目を逸らされた。ミルキーさんまで目を逸らすなんて……。
マジかー。
「野営とか、今までどうしていたのですか?」
「買い溜めてマジックバッグに入れておいたのを食うか、あとは非常食の干し肉とかだな」
「……【破壊の巨人】と【炎姫】の皆さんは?」
「ガハハハ。俺たちもグランベルのところと同じだ」
「このむさ苦しい人たちと一緒なのは不本意だけど、私たちもよ」
【破壊の巨人】のリーダーのゴライアンさんと、【炎姫】のリーダーのシャインさんが気まずそうに答えた。
冒険者組は壊滅状態か。いや、まだあの人がいた!
「トルテンさん!」
「私はいつも外食ですので」
「おぅ……」
なんてこったー。
「ツキオス君」
「すみません、師匠。僕たちもです」
「うん、知ってた」
以前に一緒に野営した時も、3人の料理はダメダメだった。
「はぁー……」
ため息を吐いて学者組を見る。目を逸らされた。あんたらもか!?
いいよ。俺が作ればいいんだろ! 作ってやるよ!
材料はたくさんある。大きな鍋や鉄板もある。
「アリス君。この鉄板を置ける竈を造って」
「お任せください!」
アリス君は一瞬で土を盛り上げ、竈を造った。ドームを一瞬で構築する訓練がこういう時に役立つ。
「どなたか、この薪に火をつけてください」
「それなら私がしよう」
シャインさんが竈の薪に火を点けてくれた。さすがは【炎姫】の代名詞となっている人だ。息をするように自然な流れで火魔法を使ったよ。
レバニラ炒めと焼肉は大盛況だった。
「クライド、エールはないのか!?」
「あるわけないでしょ。ここをどこだと思っているのですか?」
うちのママには魔境も庭のようなものかもしれないけどさ。
また、あえて言わないが、エールはないけど他の酒ならたくさん仕入れている。
「ちっ」
舌打ちしたよ、あの人。輩かよ。輩のほうが可愛いけどさ。
「しかし、うめーなー、クライド。今からでも【雷神の鉄槌】に入らねーか?」
「それなら【破壊の巨人】んとここいよ!」
「いいえ、【炎姫】のところに! うちは若くてピチピチの女性ばかりよ!」
各パーティーのリーダーから勧誘を受けたのだが、【炎姫】のリーダーのシャインさんの言葉に、ミルキーさんとミリアさんの目が剣呑なものになった。
「あら、まるで私たちが年を取っていると言っているみたいですね」
「喧嘩なら買うぜ」
「あら、嫌ですわ。お2人に年寄りと言ったつもりはないのです」
ピキッ。空気が凍りつく。
俺はそそくさとその場を離れる。ミルキーさん、いつもの妖艶さが消え、般若が見えるよ。
「うるせーぞ、小娘ども! こっちとらエールがなくて苛々しているんだ、静かにしろってんだ!」
「「「はいーっ!」」」
うちのプリママが、ただのアル中にしか見えない件。飲んでないけどね、この人。




