第76話 遺跡調査にいくぞ!
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第76話 遺跡調査にいくぞ!
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「さて、ツキオス君、レットン君、アリス君。準備はいいかね?」
「「「はい、師匠!」」」
「それではいこう」
3人を連れて家を出た。
顔見知りから声がかかると、愛嬌を振りまいておく。クライド君の容姿はいいから、笑顔を浮かべ手を振っておくと、色々サービスしてくれるんだよね。
冒険者ギルドはすでに混雑の時間帯は終わっているが、今日はたくさんの人でごった返している。
遺跡調査隊だけじゃなく、それをひと目見ようと集まった冒険者までいるから、本当に人が多い。
なんとか受付にいき、メリンダさんに声をかける。
「すごい人ですね」
「皆さん、遺跡調査隊を見ようと集まっています」
「上、いるよね? 上がるよ」
「はい。皆さん、会議室にいます」
「ありがとう」
人を掻き分け、階段に到着。
ツキオス君たちが遅れている。冒険者たちを押しのけるのに苦労しているようだ。
揉みくちゃになった3人が、やっと階段までやってきた。
「そういう時に身体強化を使わずしてどうするの」
「「あっ!?」」
「お兄ちゃん……」
気まずそうにするツキオス君とレットン君。そんな2人を髪を直しながら呆れた顔で見るアリス君。
会議室に入ると、見知った顔があった。
「エルさんじゃないですか。どうしたんですか?」
「ここのギルマスとサブマスが長期でギルドを開けるってことで、俺が代理のギルマスに指名されたんだよ」
「あー、なるほどー」
「このままギルマスの座を譲ってやるぞ」
「勘弁しろよな……」
プリママの本音は、エルさんにはシャレにならないようだ。すごく嫌そうに顔を歪めている。
「お前は第3のギルマスなんだ、立場は変わらないじゃないか。何が不満なんだ?」
「王都に家があるんだよ、俺は!?」
「そんなものは引っ越せばいい。金なら腐るほど持っているだろうに?」
腐るほどお金を持っているんですね、エルさん。俺も人のことはいえないけど、お金があるなら王都以外にも家を買ってもいいんじゃね? ただ、それでプリママが自由の身になるのは勘弁してほしい。絶対連れまわされるよ、俺。
「娘にも友達がいるだろ!」
「そんなものは、お前だけホルトンに引っ越してくればいいんだよ」
「ひでーな、あんた!」
酷いのは否定しないが、単身赴任なんて珍しくないだろ? まあ、前世の話だが。
「それじゃあ、皆が揃ったことだし、出発しようかね!」
エルさんの非難を無視したプリママは皆を連れて会議室をでていく。
俺はエルさんの肩に手を置く。
「気にしたら負けですよ」
「お、おぅ……そうだな……」
納得はいかないが、飲み込むしかない。絶対的暴力の前にしたら、俺たちは無力なのさ。
エルさんと悟り合う。
「それではいってきます」
「ああ、気をつけてな」
プリママを先頭に、遺跡調査隊が階段を下りていくと、モーゼの十戒のように冒険者たちが道を開ける。
何これ、便利なんですけどー。
フロアから外に出る。自動車が並んでいるが、俺は自前のトラックを出す。プリママに確認したら、闇ギルドは盗賊扱いだから、そいつらが使っていたものは全部討伐者がもらえるのだとか。
おかげでこのトラックは俺が使っていいことになった。ちゃんとホルトンの警備隊にも報告はしたよ。盗賊が使っていたものだって。
「よし、出せ」
「なんでグランベルさんが乗っているんですか?」
「いいじゃねーか」
「まあ、いいですけど」
俺が運転手、グランベルさんが助手席、レットン君たち3人と、他の【雷神の鉄槌】の4人は荷台に乗っている。
トラックだけど思った以上に乗り心地は悪くない。それにエンジンがないので、静かだ。
この自動車は遺跡から発掘されたもののコピー(レプリカ)なんだとか。遺跡に眠っていた本物の自動車の性能の10%も出てないらしい。
それでも、エンジンなしでよく動くものだと感心するよ。
町の門を素通りし、俺たちはジュブレール大森林の間際まで進んだ。
冒険者側は、俺、プリママ、トルテンさん、前回顔合わせした【雷神の鉄槌】を含めた3パーティー、そしてツキオス君らだ。
学者側はかなり人数が減って、学者2人と護衛4人になった。あの無駄に多かった学者一行が10分の1以下になったのはいいことだ。あんなに連れていったら、モンスターたちのいい餌でしかないからね。
ああ、そうそう。ツキオス君ら3人のパーティー名が決まった。Aランクに上がったことで、サブマスのトルテンさんに決めておけと言われていたものだ。
最初【師匠の愉快な弟子たち】にすると言った時は、思わずツキオス君とレットン君をぶん殴ってしまった。いや、マジで。アリス君は女の子なので、殴るのは勘弁してあげた。
鼻血ブーの2人とアリス君を正座させ、こんこんと説教をしたよ。
そして決まったのが、【ポリテンクス】だ。意味は空に浮かぶ3つの月の1つで、一番大きな赤い月のことだ。




