第73話 説明会
+・+・+・+・+・+
第73話 説明会
+・+・+・+・+・+
冒険者ギルドが揃えた冒険者は、【雷神の鉄槌】の5人の他に、SSランク【破壊の巨人】の6人、Sランク【炎姫】の6人だ。【破壊の巨人】は全員男で、【炎姫】は全員女だ。
うーん、男女関係の問題が起きなければいいけど……。ま、プリママがいるのだから、下手なことをしたら魔境だろうとドラゴンの巣だろうと、絞められること間違いなしだ。
そしてゾロゾロと会議室に入ってくる学者と護衛たち。邪魔だから護衛は最低限にしてほしいものだ。
全員が席に着くのだが、学者たちは最前列に陣取った。
そのすぐ後ろに護衛が立っているので、冒険者たちから黒板が見えないんじゃないか?
「おい、見えねぇだろ。邪魔なんだよ、お前ら」
【破壊の巨人】の1人、斧戦士のゴーゴルがドスの利いた声で恫喝するが、護衛たちは無視を決め込んでいる。
「無視かよ……」
ガンッとゴーゴルさんが会議机を蹴ると、数人の護衛に当たる。
「「「何するんだ!?」」」
それに対してゴーゴルさんは無視を決め込んだ。まあ、先に無視したのは護衛のほうなんで、無視されてもねー。
「貴様!?」
護衛が手を出そうとすると、ゴーゴルさんと仲間の5人がニヤリと口角を上げる。
いけ好かない護衛をぶっ飛ばすいい機会だとでも思ったのだろう。こういうのは、最初に上下関係を教えておくのが一番だ。
「止めな」
その声と同時に、殺気が会議室内に吹き荒れる。
ちょっとーやりすぎですよ、プリママ。学者たちが気を失いそうじゃないですか。
「ははい、ドウドウ。落ちつきましょうね、ギルマス」
トルテンさんがプリママを諫める。ドウドウって、ククク。
「そこの護衛は後方に。会議の進行を邪魔しますと、この調査への同行は認めませんよ」
殺気によって今にもちびりそうだった学者たちが取り繕い、手をヒラヒラと振って護衛を後ろに下げる。
これでゆっくり説明ができる。まあ、したいわけじゃないけどね。
「それではこれより遺跡を発見されました、Sランク冒険者クライド・アアメンター殿より、今回の遺跡調査について説明をいたします。クライド殿」
トルテンさんに促され、俺は黒板の前に立つ。すると、学者が騒ぎ出した。
「子供じゃないか!?」
「こんな子供が遺跡なんか発見できるのか!?」
「おい、冒険者ギルドはどうなっているんだ!?」
俺が子供なのは否定しない。
ただ、1つ言わせてもらうと、誰もお前らを呼んでねーよ。
「文句あるんだったら、こなくていいですよ。誰も貴方たちを呼んでいませんので。あと、ジュブレール大森林内を20日以上歩くので、遅れてもこちらは待ちません。勝手についてくるのは止めませんが、待つことはしないのでそのつもりで」
「な、生意気な! この私を誰だと思っているグゲッギャーーーッ」
立ち上がり唾を撒き散らして叫んだ学者にアイアンクロー、からのー、窓の外にポイッ。さすがは、我がママ、プリママ。
「「「伯爵!?」」」
「「「貴様!?」」」
「「「「「「ギャーーーッ」」」」」」
いきり立った護衛たちが【雷神の鉄槌】と【破壊の巨人】にボコられた。
どうやらこの2パーティーは、プリママの教育が生き届いているようだ。
「あたしの息子に文句あるのか? 文句があるヤツは前に出てきな」
「「「………」」」
シーン。会議室内は水を打ったような静けさに包まれた。
「文句ないね。今のヤツは連れていかない。今度あたしと息子の前に顔を出したら、この世に生まれてきたことを後悔することだろう。あんたらでよーーーく言い聞かせておきな」
カクカクと頷く学者たち。
「クライド」
「はい。それではこちらの地図を見てください」
ジュブレール大森林の地図。奥地に×が打たれている。そこまでには大きな山を5つ、深い谷を3つ越える。
「体力に自信がない人はついてこないほうがいいですよ。歩きにくい森の中を歩き詰めで、さらに山や谷を越える。体力がなければ、魔境の中で取り残されます。死にたいのなら、止めはしませんが、自分の命は自分で守ることを考えてください」
学者でフィルドワークをしているのは、多くないと聞く。そもそもジュブレール大森林内に入るのは無謀だし、遺跡Aでさえも命がけになる。
「遺跡は地下にある広大な都市です。日の光が届かない場所だったおかげで、かなりよい状態で残っています」
「「「おおお!」」」
色めき立つ学者たちだが、そこまでいけないと調査なんてできないからね。
その後、5分ほどで会議は終わった。
調査隊が出発するのは5日後、学者の多くは出発前に辞退してくれることだろう。してくれるよね? 俺は知らないからね。




