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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第38話 ホルトンの町

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 第38話 ホルトンの町

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 もうすぐ夕方という時間になり、山林の中に入っていき、早めの野営をすることにした。

 まだ解体してないライークを解体する。汚れた手はウオーターで洗い流す。魔法が使えると、水や火をすぐに使えるから便利だね。

 俺の場合、魔法は生活が便利になる方向で使っている。戦闘などは魔力触手と魔力結界で済んでしまう。

 約束したら、魔力首輪でその効力を担保できるし、魔力は万能だよなー。


 先ほど解体したライークの肉に下味をつけて油でカラッと揚げる。

 野菜を洗ってサラダで食べる。ドレッシングはないけど、このライーク揚げがあれば十分だ。


「美味そうだ!」


 ライークの揚げを手で掴み、豪快に齧りつく。


「美味いなー!」


 野菜も合間に食べつつライーク揚げを食べ進める。

 以前はか細かった食が、最近は量を食べられるようになってきた。さすがに1㎏もあるオークのステーキは食えないけど、これもランニングをした効果かな?

 素の体力が上がっているのも感じるし、ランニングはこれからも続けよう。


 夜はライトで光を確保し、モンスター辞典を読む。もちろん、魔力訓練は欠かさない。


「俺をストーカーしてもいいことはありませんよー」


 遠巻きに俺を窺う3人のストーカーは、携帯食で食事を済ませていた。味気ないよねー。


「ふわー。寝ますかねー」


 毛布に潜り込んでライトを消す。毒を警戒して魔力結界には空気を通さないようにしている。

 でも、安心してください。ちゃんと地面に穴を掘って地下に大きな空間を確保しています!

 二酸化炭素は空気より重いから、地下に空間を開けていたらそちらに落ちていくはずで、酸欠にはならないと素人考えで穴を掘ってみた。

 魔力結界も六畳間くらいの大きさにしているので、それだけで大丈夫だと思うけど、念には念を入れてみた。

 気づいたらあの世だった、ではシャレにならないからね。




 ゆっくり寝たー。清々しい朝だー。

 今日は真っ青な青空が広がっている。酸欠にならずに済んだ喜びを噛みしめる。


「さて、朝飯でも作りますか」


 鼻歌を奏でながら昨夜のライーク揚げを細かくちぎって野菜と共にパンに挟む。


「サンドイッチも美味いよなー」


 そういえば、マヨネーズくらいは作れるかな。材料は卵と油と酢と塩だっけか。どれも市場で手に入れている。


「問題は卵の鮮度だよなー。腐りかけの卵を使って食中毒になってはシャレにならないからなー」


 産みたての卵が手に入ればいいんだけどな。


「ふー、美味しかった。さて、いきますか」


 ベッドなど全てを回収し、魔力結界を解除した。


「た、たす、けて……くれ」


 ん? 何か聞こえたような? まあ、気のせいだろう。空耳はよくあることだ。

 魔力結界の周囲には落とし穴を設置してあったけど、ちゃんと立札を立てて警告していたから、人が近づくことはないだろう。ちゃんと文字を読めない人用に、絵も描いてあるし。


「うん、獣だな」


 俺はその場を立ち去った。

 鼻歌を奏で、街道を進む。


「今日は風もなく気持ちいい日だ」


 寒いのは変らないと思うが、俺には温度調整機能つきマントがあるから大丈夫。

 あ、いい句が浮かんだぞ!


「旅歩き 稜線くっきり 冬の山」


 フフフ。俺もいっぱしの俳人だな。




 旅は順調に進んで、俺はクロディア回廊を入った先にあるホルトンの町へと至った。

 歩いて旅してきたし、森の中で何日も籠ったりもしたし、途中の町で数泊したりなど、到着したのは季節が春に差しかかる頃だった。

 このホルトンの町で物資の補充したら、いよいよ遺跡探索だ。


「ん……あれは獣人か」


 ホルトンの町はクロディア回廊の先にある隣国との窓口でもある。その国が獣人の国ということで、ホルトンの町には獣人の商隊が多く出入りしている。

 さすがは魔境に挟まれたクロディア回廊を通ってくる商隊の護衛だ、強そうなクマやオオカミの獣人が多いようだな。目つきが悪いよ、あんたら。

 入門の列に20分ほど並んで町へ入った。

 先ずは冒険者ギルドでモンスターを放出だ。マジックバッグの空きがないので、切実な問題だ。

 時間が早いため、解体所は空いていた。並ぶことなくカウンターごしに職員に声をかける。


「ちょっと多いのですが、広い場所はありますか?」

「多い? そんなにか?」

「ええ、カウンターの上には置けないくらいには、多いですね」

「……こっちへこい」


 作業場に案内されると、出せと言われる。そこでモンスターを出していく。

 BランクのミノタウロスやAランクのパルクラス、Sランクのランページバッファロー、同じくSランクのジュベール。

 それらのモンスターを山積みにしたら、職員の口が外れそうになっていた。


「あの、査定をお願いします」

「え、あ、おう……」


 職員は顔を両手でバチンッと叩き、気を入れた。


「査定するから、フードコートで待っていてくれ」

「はい」


 引き締まった顔で、通常業務に移れるところはさすがは魔境の近くにある冒険者ギルドホルトン支部解体所の職員だ。


「おい、お前ら! これを査定するぞ! さっさと動けよ!」

「「「はい!」」」


 解体所の職員はどこでも体育会系のノリだな。俺は帰宅部なので、このノリにはついていけないよ。フー。



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