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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第37話 どこにいこうかな~?

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 第37話 どこにいこうかな~?

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 ロイメス男爵家のアッパスを殺したのが、俺じゃないことが立証された。

 まあ、グレーゾーンではあるが、あれは自殺だからね。俺に責任があるわけじゃない。

 そもそも俺はアッパスを見逃してやったのだから、ロイメス男爵家から感謝されてもいいのだ。

 だから次にロイメス男爵家のヤツらが現れたら、闇から闇に葬ってやろうかと……いかんいかん、力があるからといって無暗に使ったら歯止めがきかなくなる。


「ふー、落ちつけ俺」


 もしロイメス男爵家がまだつき纏うならその時に考えるが、安易に殺すと考えるのはよくないぞ。


「さて、買い物……は、もう遅いか」


 時間帯は夕方だ。市場の露店は閉まっている時間だし、開いていてもロクなものはないだろう。


「宿にチェックインするか」


 久しぶりにクリスの宿にチェックインし、シャワーを浴びる。野営中は濡れタオルで体を清めていたが、シャワーを浴びるとスッキリする。できれば風呂に入りたいが、贅沢な悩みのようだ。


「そうか。野営の時に露天風呂を自分で作ってしまえばいいのか」


 あとは温泉を探すか。

 せっかくの旅なので、温泉を探して歩くのもいいかもしれないね。そうすると、火山の近くの方がいいのか。


「火山かー」


 クライド君の記憶には火山はない。どこかに落ちてないものだろうか。


 夕食後に魔力結界を展開し、魔力をグルグル高速循環させ、モンスター辞典を読んでから寝た。ただし、今日は念のため、あのゴルガスたちを警戒し、眠りは浅めにしておく。

 そしたら夜中にゴルガスたちがやってきた。まさかと思っていたが、本当にくるとは。


「マジでくるんだ……単純なヤツらだな」


 1人は屋根からロープを使って窓から突入しようとし、3人は宿の中に侵入して階段を上がってきている。

 窓からの侵入には、魔力触手によってロープを切ってやったら落下した。幸いなことに俺の部屋は3階だったので、落下しても死ぬことはなかったようだが、動けずに苦しんでいる。


「ロイメス男爵の家臣て、分かりやすいバカだな……」


 階段を上がってきているヤツらは、途中で寝かしつけた。ショックって便利な魔法だよね、電圧次第でかなり長く気絶させることができるんだ。

 あとは誰かがヤツらを発見すれば不法侵入で警備兵を呼ぶだろう。




 朝早く起きてみると、予想通り騒ぎになっていた。

 警備兵がきていて、ゴルガスの部下たちを連行していくところだった。

 ゴルガスは宿には侵入していないので、捕縛されずに済んだよ。部下を見殺しにするなんて、上司の風上にも置けないヤツだ。


 警備兵の横を軽く挨拶し通り過ぎる際に、捕縛されたヤツらが俺を睨んでいた。

 君たちは仕える家を間違えたのだよ。まあ、がんばり給え。


 朝のランニングを行う。ゴルガスが物陰から俺を睨んでいたけど、無視して走る。

 5㎞ほど走って宿に帰ると、警備兵はもういなかった。

 シャワーを浴びて食堂で朝食をいただく。

 美味しい朝食に満足し、市場へと向かった。

 まだ朝の早い時間なだけあって、品数は豊富だ。数種類の野菜とクラベを合計15,000Gで購入し、マジックバッグに収納。


「これでよし。変なのがいるから、さっさとおさらばしようかね」


 門へと歩いていくと、ツキオス君たち3人が丁度出ていくところだった。


「おはようございます。ツキオス君、レットン君、アリス君」

「「「師匠!」」」


 声をかけると、3人が笑顔になった。なんか尻尾を振る犬のような幻覚が見えた。


「警備兵に連れていかれたと聞いて心配していたんですよ!」

「誤解は解けたから、もう大丈夫ですよ。ツキオス君」

「師匠が市場で5人を瞬殺したって聞いた時には、ビックリしましたよ」

「瞬殺って、殺してないですからね。動けないようにしただけですよ、アリス君」

「何はともあれ、師匠が無事でよかったです」

「ありがとうございます。レットン君」

「今日は薬草採取しようと思っているんです」

「うん。地道にやるのはいいことですね、アリス君」

「師匠は旅に出るのですか?」

「はい。そのつもりですよ、レットン君」


 喋りながら歩いていると、3人が草原へと入っていく場所になる。


「「「お礼は必ずします」」」

「そんなものはいいですよ。でも、3人に余裕ができたら、真面目な新人たちの世話をしてあげてほしいかな。それが俺への恩返しだと思ってほしいですね」

「「「分かりました、師匠!」」」


 こんな世知辛い世界だ。誰かが少しの優しさを見せてもいいだろう。


「それでは、またどこかでお会いしましょう」

「「「またお会いしましょう、師匠!」」」


 爽やかな若者たちだった。彼らの未来に幸あらんことを願って、俺は街道を進む。

 そんな俺の後をつけてくるヤツがいるのは、魔力フィールドによって分かっている。

 たまたま街道を同じ方向に歩いているだけではない。こいつらは宿から出てからの俺をつけているのだから、完全にアウトである。

 そしてY字の分岐に差しかかった。左にいけば王都方面、右にいけばクロディア回廊か。

 クロディア回廊というのは、魔境として有名なジュブレール大森林とアルファン高地の間にあるわずかな安全地帯のことをいう。

 この2つの魔境は極めて危険で、浅い場所でも高ランクのモンスターが徘徊しているらしい。かつての王がジュブレール大森林を切り開こうとして、モンスターを刺激して国を滅ぼしたことがある。それほど危険な場所だ。

 クロディア回廊はそんな魔境に挟まれた道で、安全というが、それはジュブレール大森林やアルファン高地に比べてという注釈がつく。

 そのクロディア回廊を進むと他国になり、香辛料はその国から仕入れているらしい。


「たしかクロディア回廊の近く、ジュブレール大森林の中に遺跡があるんだったか」


 危険なジュブレール大森林の中にあるため、もしかしたら宝が残っているかもしれない。あの自動車も古代遺跡から発掘されたもののレプリカらしい。

 お金は適度に稼げればいいが……。


「やっぱ、遺跡の探索は冒険者の醍醐味ですよね!」


 俺はY字路を右へと進んだ。

 もちろん、追跡してくる3人も右へとついてくる。



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