第35話 こいつら強盗です
+・+・+・+・+・+
第35話 こいつら強盗です
+・+・+・+・+・+
俺は再び旅に出るのだが、その前に野営で消費した物資の補給だ。
3人と一緒にアルガードに戻り、冒険者ギルドでアルフィンなどのモンスターを卸す。
アルフィンだけで396,000Gになったけど、もちろん1Gももらっていない。3人で分けてもらう。
「そのお金で装備を買うといいよ。絶対に無理はしないこと。命あっての物種だからね」
「「「はい、師匠! ありがとうございました!」」」
手を振って3人と別れ、市場へと向かう。
冒険者ギルドを出て市場に入ると、5人の男たちが俺の前に立ち塞がった。身なりからすると、どこかの騎士か?
「何かご用でしょうか?」
「貴様を捕縛する」
「捕縛? 俺にはまったく心当たりがないのですが、理由をおうかがいしてもいいですか?」
「黙れ。こいつを捕らえよ!」
「「「「はっ!」」」」
「身分も明かさず、いきなり乱暴をするのはいただけませんよ」
「うるさい!」
やれやれだな、これは。
人間の姿をしているのだから、話くらいできると思うんだが、まったく話にならない。
4人が俺を囲み、剣を向けている。
「町中で強盗なんてシャレになりませんよ」
「黙れと言っている!」
飛びかかってくる男の剣を躱し、カウンターで拳を顔面に入れる。男は吹っ飛び、地面を転がった。
「おのれ!」
問答無用なので、無力化することにした。
幸い、こいつらの動きはよく見える。まったく問題なく4人を気絶させることに成功。残ったのは司令塔の男だ。
「この!」
まったく脳がないのか、ただ飛びかかってくる。躱して足を引掛け転ばし、顔面を蹴り上げて意識を刈る。
「この騒ぎは何事か!?」
警備兵がやってきた。
「俺はDランク冒険者のクライドです。こいつら、強盗です。いきなり襲われましたので、無力化しました」
俺は剣さえ抜いていない。手を上げて警備兵に無実を訴える。
「俺はアルガードの町の警備兵士長をしているオルガノだ。とりあえず、詰所にきてもらおうか」
「分かりました」
警備兵は男たちを縛り上げ、担ぎ上げて連れていく。俺もそれについて詰所に入った。
しばらく取調室のような個室で待たされていると、3人の兵士が入ってきた。
「市場の者らから話を聞いたところ、冒険者クライドは襲われたのを撃退しただけだと分かった」
「それなら問題ないですよね?」
「そうもいかないんだ」
デスクを挟んで俺の前に座ったオルガノさんは苦笑をした。
「クライドを襲った者らは、ロイメス男爵家の者で、クライドがロイメス男爵家のアッパス殿を殺した犯人だと主張している」
ロイメス男爵? アッパス? ……ああ、あのボンボンのことか。あのボンボンは死んだということだね。それで俺に辿りついたようだけど、どうして俺のことが分かったのかな?
魔力首輪が機能しなかった? いやいや、それならボンボンが死ぬことはないはずだ。だったら、なんで俺のことを知ったのか?
まさか適当に当たりをつけて? うーん、分からん。だが、ボンボンが魔力首輪によって死んだのなら、俺のことは知られてないはずだ。
それに、ボンボンは俺が殺したわけじゃない。ボンボンが魔力首輪によって死んだのなら、それは自殺だ。俺との約束を守らず、勝手に自滅したに過ぎない。
うん、俺は悪くないな。
「まったくの言いがかりですよ」
「君の主張は聞くが、相手は貴族だ。俺たちもしっかり調べないと、いけないんだ」
「では、しっかり調べてください。ただ、あの5人が調べるのは、勘弁してください。あの人たち、まるで理性がないので、会話が成立しないんですよ。さすがに冤罪で犯罪者に仕立てられるのは我慢できませんので」
「もちろんだ。ロイメス男爵家が何を言おうと、ここはプレンサス伯爵領だ。好き勝手はさせんさ」
ニカッと笑みを浮かべるオルガノさん。いい男だ、俺が女なら惚れてしまいそうだよ。
俺はしばらく身柄を拘束されることになった。まったくもって不本意だけど、警備兵士長のオルガノさんは誠実そうな人だったので、我慢することにした。
もちろん、殺されそうになれば、抵抗するけどね。
しばらく個室で待っていると、オルガノさんと兵士が2人、そして襲撃者の司令塔の男が入ってきた。
「これから冒険者クライドによるロイメス男爵家のアッパス殿殺害疑惑について詮議をする」
デスクの上に何かが置かれた。マジックアイテムのようで、魔力を感じる。
「これは嘘を見抜くマジックアイテムだ」
つまり、嘘発見器ということか。
ギルドの登録機といい、自動車といい、色々便利なものがあるよねー。
この嘘発見器は、前世にあったようなものなのかな? 呼吸、血圧、心拍、発汗などで嘘見破る感じ?
「先ずはゴルガス殿が使って、正常に反応するか確かめてくれ」
「なぜ私が」
「確認しなくても構わんが、あとから異議は認めないぞ」
「……分かった」
嘘発見器は金属板の端に水晶がはめ込まれているもので、ゴルガスと呼ばれた襲撃者が金属板の上に手を置いた。
「嘘を言えば、この水晶が赤く光り、本当のことなら青く光る。ゴルガス殿は私の質問に全て「はい」で答えてくれ」
「ああ」
「では始める」
嘘発見器を起動させたようで、水晶が黄色に輝いた。
「貴方はプレンサス伯爵家の家臣か?」
「はい」
水晶が赤く輝いた。つまり嘘ということだ。
「では、ロイメス男爵家の家臣か?」
「はい」
今度は青色に輝いた。本当のことだな。
「貴方の名前はポロン・ゴルガスか?」
「はい」
今度も青色だ。
「もういいでしょう。今のでこのマジックアイテムが正常に動いていると分かってもらえたかな?」
手を離したゴルガスが頷く。
「では、クライド。今見ていたように、このプレートの上に手を置いてくれ」
「はい」
俺は右手を置いた。
「一応、左手はデスクの上に置いてくれるか」
「はい」
さて、俺への尋問が始まるぞ。




