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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第33話 新人強化はいい感じ

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 第33話 新人強化はいい感じ

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「はぁはぁはぁはぁ……死ぬかと思った」

「ぼ、僕も……ちょっとちびったかも……」


 2人は座り込んで肩で息をしている。


「さて、2人とも。休憩は終わりです。また今のをやりますよ」

「「えっ!?」」

「何を驚いているのですか?」

「「………」」


 再び魔力を動かすと、2人は苦しがった。だけど、その苦しみかたは、先ほどより軽いものだ。


「「アガガァァァ」」


 2人の魔力は、少しずつ動きやすくなってきた。体中の魔力の通りがよくなってきたのだ。


 何度か休憩を挟むと、かなりスムーズに動くようになった。ここまできたら、2人の意志で動かせるようになるんじゃないかな。


「次は自分で魔力を動かそうと、強く念じてくださいね」

「「は、はい……」」


 疲れ切っているけど、今動かさなくてはいつ動かすのさ? ということで、俺はあえて愛の鞭を振る。


「強く念じて!」

「「はい!」」

「もっと強く!」

「「はい!」」


 最初はレットン君の魔力が動いた。微々たるものだけど、動き始めたのだから、後はそれを持続させるだけだ。


「レットン君、その調子!」

「はい!」

「ツキオス君はもっと気合を入れる!」

「はい!」


 気合いとか根性とか、俺は嫌いなんだけど、最後は気持ちがものを言うと思うんだよ。

 その時、ツキオス君の魔力が動いた。


「いいですよ、ツキオス君!」

「はい!」


 これで魔力を動かすまではできた。今日はこれで終了だな。

 アリス君も瞬時までとはいかないが、2、3秒で発動できるくらいになった。


「よし、あとは明日です」

「「「師匠、ありがとうございました」」」


 アリス君だけじゃなく、ツキオス君とレットン君も俺のことを師匠と呼ぶようになってしまった。


「3人とも、宿に泊まるお金がないんですよね?」

「「「………」」」

「隠さなくてもいいですよ」

「グラスウルフのお金が少しありますけど、余裕はまったくないです」

「だったら、今日はここで野営をしましょうか」

「「「え?」」」

「アリス君が作ったドームで野営です」

「しかし、野営の道具もないし」

「大丈夫ですよ。毛布などは俺が持ってますし、食料もあります」


 マジックバッグをポンポンと叩くと、3人は納得したようんだ。


「ところで、アリス君。ドームは何回作れましたか?」

「あ、はい。32回です。それ以上作ると、気分が悪くなると思います」


 気分が悪くなるだけならいいが、それ以上使うと命にかかわる。


「その回数はアリス君の生命線です。他の魔法の行使もふくめ、数を把握してくださいね」

「はい、分かりました」

「少し休憩したら、ドームを作ってください。その際に、明日の朝まで強度を維持させるように強くイメージしてくださいね」

「明日の……朝、ですか。そんなに保持できるでしょうか?」

「できますよ。そのようにイメージすればですけど」

「分かりました。やってみます」

「3人はそのドームで寝てもらいますので、気合いを入れて作ってくださいね。夜中に崩れて生き埋めになったり、モンスターに壊されて3人が食われるようなことにならないように」

「こ、怖いこと言わないでください」

「それほど大事なことだということです」

「肝に銘じます」

「はい。肝に銘じてください」


 野営の準備をする。今日は何を食べようかな……そうだ、ツキオス君とレットン君が初めて魔力循環できたご褒美にライークにしよう。


「ストーン」


 窯を作り、薪を置く。


「ファイア」


 薪に火を点けて鍋を置く。


「ウオーター」


 鍋に水を入れる。


「ツキオス君は野菜を切ることできます?」

「え、あ、うん。切るくらいなら」

「それじゃあ、これらの野菜を細かく切って鍋に入れてもらえますか」

「はい」


 次は鍋の横にフライパンを載せる。


 ライークの肉に塩胡椒をして下処理をしたら、温まったフライパンに脂を載せて溶かす。

 ライークの肉を熱々のフライパンに載せるといい音がする。そこに臭みを消すハーブを入れる。


「レットン君。料理はできます?」

「少しはできます」

「だったら、肉を焼いてもらえますかね」

「はい」


 フライパンはレットン君に任せ、俺はテーブルに皿を並べパンを置いていく。


「ツキオス君。アクは小まめに取ってくださいね」

「はい」


 2人に料理をしてもらっている間、アリス君は休憩だ。

 そして料理を食べた3人は、目を見開いた。


「美味い!」

「美味しいです!」

美味びみです!」


 レットン君、なんか古風だね……。もしかして、いいところのお坊ちゃま?


「ライークは美味しい鳥ですからね」

「「「ライーク!?」」」


 何を驚いているの?


「ら、ライークってあのライーク!?」

「ライークにあれやこれがあるのですか?」

「……ない、と思う」

「じゃあ、そのライークですね、ツキオス君」

「ライークって、1㎏で8,000Gもするモンスターだよ? そんなものを僕は食べたの!?」

「あー、たしかそのくらいで買い取っていましたね、ギルドが」

「なんでそんなに平然と!?」

「ライークなら、まだ十数羽持っているからですよ。もちろん食べるために」

「う、売らないの?」

「お金には困ってませんし、これは自分が食べるために狩ったものですからね。美味しいは正義ですよ」

「「「………」」」


 さて、食事が終わったら、アリス君のドームだ。


「強度と時間を意識してくださいね。あと、空気穴を1つ開けておかないと窒息して死にますから」

「は、はい……」

「大丈夫、アリス君ならできます」


 俺は3人から少し離れた。


「……アースドーム!」


 ゴゴゴッと3人を覆う土のドームが現れた。

 俺はそのドームをコンコンと叩いてみるが、かなり硬質に感じた。

 直径5㎝ほどの空気穴もあり、問題ないだろう。


「それじゃあ、明日の朝までゆっくり休んでください」


 空気穴に向かって喋りかけると、返事が返ってきた。




 翌日もツキオス君とレットン君は魔力循環をしてもらう。

 アリス君もドームを瞬で作れるようになってもらう。


 3日目でツキオス君とレットン君は身体強化できるレベルで魔力循環が可能になった。こうなると回復力も上昇する。

 そしてアリス君も瞬でドームを作れるようになった。


 4日目、ツキオス君とレットン君は、剣と槍を使った訓練に移る。

 アリス君は魔力をグルグル循環してもらう。


「さすがはアリス君だ。いい感じに循環ができているね」


 あれほどスムーズに魔法を展開できるのだから、魔力循環もかなりの練度だ。本当は魔力循環が先なんだけど、アリス君はそこをすっ飛ばして魔法の瞬時発動を先にやった甲斐があった。


 さて、剣と槍は王都でグランベルさんに教えてもらったので、それを元にしている。本当に少し齧っただけなので、どれほどの効果があるかは分からないけど、やってみるさ。


「剣を振り終わったら、最後にピタリと止める」

「はい」

「槍は突くだけでなく、叩く攻撃があるから、腕が上がらなくなるまで振り下ろしをしてください」

「はい」


 2人にはとにかく振り続けてもらう。腕がパンパンになっても振り続けるんだ!



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