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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第30話 溺れさせてみる

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 第30話 溺れさせてみる

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 ゴブリンに囲まれていた冒険者4人を助けたと思ったら、いきなり仲間割れしてボーマン君がパーティーを脱退してしまった。

 俺は何を見せられているのだろうか?


 残った3人は、俺に頭を下げた。


「「「助けてくれて、ありがとう(ございます)」」」


 3人は礼儀正しいね。

 頭を上げたら、ツキオス君がふらついてアリス君とレットン君が左右から支える。この3人はいいパーティーだね。この3人は。

 こういのを見てしまうと、放っておけないのはなんでだろうか?


「えーっと、ゴブリンの左耳を持っていくと、常時依頼がクリアできるから持っていったらいいですよ」

「でも、それは貴方のものですから……」

「そういえば、名乗ってなかったですね。俺はクライド。旅をしている流れの冒険者ですね」

「僕はツキオスです。自己紹介が遅くなって、すみません」

「私はアリスです。よろしくお願いします」

「僕はレットンです」


 俺が自己紹介すると、3人もちゃんと自己紹介をした。


「俺はゴブリンなんて不要だから、3人が討伐部位を持っていけばいいですよ」

「本当にいいのですか?」

「いいですよ、ツキオス君」


 ただし、耳を切るのは3人でしてね。俺はゴブリンに触りたくないんだよ、臭いから。

 3人がいそいそと左耳を切っていると、オオカミ型のモンスターが近づいてきた。ゴブリンやツキオス君の血の臭いに誘われたかな。


「モンスターですよ」

「「「え!?」」」

「グラスウルフです」


 グラスウルフはオオカミ型Eランクモンスターで、緑色の体毛をしている。


「大変だ、逃げないと!?」

「クライドさん、逃げましょう!」

「ヒィィィ」


 ツキオス君、アリス君はともかく、レットン君の悲鳴はどうなの? 冒険者なんだから、もう少し気を強く持とうよ。


「大丈夫ですよ。こっちにきてください」


 3人を集め、魔力結界を展開する。

 魔力結界を展開しなくても魔力触手で捕縛や殺すことはできるけど、結界に守られているという安心感が今の3人には大事だと思うんだ。

 そこでグラスウルフが草むらから姿を見せた。


「「「3体も!?」」」

「大丈夫ですよ、結界を展開してますから」

「え、あ、本当だ」


 ツキオス君が魔力結界に手をペタペタさせる。


「これが結界……?」


 レットン君も魔力結界に触り、不思議そうな表情だ。


「いつのまに結界を……?」


 アリス君は首をかしげている。何か疑問があるのかな?


「どうかしましたか?」

「あ、いえ、いつ結界魔法を使ったのかと思って、詠唱をしてませんでしたよね?」

「魔法に詠唱は不要ですよ」

「え、それはどういうことですか? 私は詠唱しないと魔法が発動できないと聞きましたけど……?」

「魔法は強い意志と明確なイメージを持てば、瞬時に発動が可能ですよ」

「そうなのですか!?」

「ええ、魔法に必要なのは、発動させるという強い意志と、魔法が発動した後の明確なイメージです」

「そうなんですね!」

「「うわっ!?」」


 俺とアリス君が話をしていると、ツキオス君とレットン君が叫んで尻もちをついた。

 グラスウルフが飛びかかってきたのに驚いたようだ。いくら魔力結界で守られているとはいえ、無色透明だからグラスウルフの迫力はそのまま視覚に伝わってくるよね。

 グラスウルフは魔力結界に阻まれ、立ち往生している。それを理解したツキオス君が、魔力結界ギリギリに立つ。なるほど、恐怖を克服しようというのか。やるねー。


「お兄ちゃん、大丈夫?」

「ああ、結界のおかげでグラスウルフの動きがよく見えてきたよ」

「アリスさんは回復魔法以外に何が使えますか?」

「私は土魔法と水魔法が少し使えます」

「なら、水魔法で攻撃してみましょうか」

「え?」

「さっきも言いましたよね、魔法は意志と明確なイメージだ、と。それに今なら結界で阻んでいますので、失敗しても大丈夫ですから」

「……お願いします! 私に魔法を教えてください!」


 引き締まったいい表情だ。


「でも、水魔法でどうやって攻撃するのですか? 大量の水で押し流すのですか? 私にはそんな大量の水を出すことはできませんが?」

「そんなことはしませんよ。アリス君は水の中で息ができますか?」

「魚じゃないので、そんなことできません」

「そうですね、人間もグラスウルフも水の中では息ができません。つまり、あのグラスウルフの顔を水で覆ったら、息ができなくなり、やがて死にいたります」

「なるほど、分かりました。やってみます!」

「はい。魔法は強い意志と明確なイメージです。それを忘れずに、やってみてください」

「はい!」


 アリス君がうんうん唸り出した。強い意志と明確なイメージというのは、言うほど簡単なものじゃないと思う。簡単にできていたら、クライド君だって魔法を使えていたはずだからね。

 それでもアリス君は30分後には、無詠唱で魔法を発動させた。

 元々魔法を使えていたのだから、やってみれば簡単にできてしまうのだろう。


「で、できました!?」


 顔を覆う水により、グラスウルフは苦しそうにのた打ち回る。

 1体がのた打ち回ると、他の2体が距離を取った。

 その1体は1分ほどすると、ぐったりとして動かなくなった。


「本当に倒せました……こんなに簡単に……」

「この水魔法は、息をしているモンスターには有効ですね。しかも大概のモンスターは息ができないと苦しみ攻撃どころではなくなりますよ」

「いい魔法を教えてもらえました!」

「それじゃあ、次は土魔法で防御をしてみましょうか」

「はい、お願いします!」


 いい返事だ。

 1つの成功事例が、その後のやる気に関わってくるいい例だね。



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