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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第29話 パーティークラッシャー?

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 第29話 パーティークラッシャー?

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 アルガードの町を出て草原の中の街道を歩いていると、悲鳴が聞こえた。

 遠目にゴブリンに囲まれている冒険者たちが見えた。どうやら新人冒険者のようで、かなり苦戦しているようだ。

 街道をいく商隊や旅人は、冒険者を助けることはしない。仕方がない。俺がいくか。

 走ってその場に向かったら、途中で息があがった。運動不足ではないが、鍛えてもいないからな……。


「はぁはぁ、た、助けは、はぁはぁ、要るか?」


 息を整えながら冒険者たちに聞いたのだが……。


「お前の方が死にそうじゃないか!?」


 気の強そうなやんちゃ坊主といった少年Aにツッコまれてしまった。

 はい、ごもっともです。


「助けは……要らない?」

「助けてください!」


 少女Aが叫んだ。彼女は倒れている少年Bに回復魔法を施しているようだ。


「お願いします! 助けて!」


 少年Cも助けを求めてきた。


「了解」

「「「グギャッ」」」


 魔力触手をすでに伸ばしていたので、拘束。そこから魔力にアクセスして5体のゴブリンが糸の切れた人形のように倒れた。でも、まだ死んでないよ。


「「「え!?」」」

「動けないだけなので、とどめを刺してね」

「え、あ、おう……」


 あとは倒れている少年Bの状態を確認する。出血が酷い。

 少女Aが必死に回復魔法を使っているが、傷が深いのと塞がる速度が遅いため危険な状態だ。


「落ちついて、彼の生命力に活力を与えるようにイメージして」

「え、あ、はい」


 少し回復力が上がったかな。でもまだ足りない。今の彼女ではこれが精一杯のようだが、ここでがんばらないでいつがんばるのさ。


「そう、もっとイメージを強く、明確に」

「はい」


 彼女のヒールの練度を上げるように、指導をしてみる。

 なんとか少年Bの傷は塞がった。血を流し過ぎたので顔色は悪いが、様態は安定した。

 一応、俺のほうで殺菌と異物排出はしておいた。今の彼女にそれを求めるのは厳しいようだから。

 少年の目がゆっくりと開くと、少女Aが抱きついた。


「お兄ちゃん!」


 カップルじゃなく、兄妹だったか。あまり似てないね。


「怪我はちゃんと治ったけど、血を多く失っているからしばらくはまともに歩けないと思うよ」

「あ、助けてくれて、ありがとうございます! お兄ちゃん、この人が助けてくれたのよ!」

「助けてくれてありがとう」

「いえいえ、大事に至らずよかったです」


 そこで俺は串に刺したライークのレバーをマジックバッグから取り出した。


「これを食べてください。即効性はないけど、貧血にはいい食材ですよ」

「いいのですか?」

「ええ、構いません」


 ライークのレバーは新鮮なら生でも食べることができるけど、大怪我をした後だから念のために火を通したものを出した。味つけは塩胡椒だけなんだけど、これが結構いけるんだ。ビールが飲みたくなる味だね。


「お、美味しい!」

「それはよかった」


 ちゃんと下処理しているから、臭みもなく美味しいのは俺がすでに食べて知っている。

 そこで気づいてしまった。他の3人もレバーに目が釘付けだった。


「食べます?」

「「「食べる(食べます)」」」


 3人の声が揃った。

 うん、若い子はこれくらい元気じゃないとね。

 3人にもレバーを提供する。いい笑顔で食べているよ。こういう笑顔を見ると、もっと提供したくなるじゃないか。


「肉も食べます?」

「「「「はい!」」」」


 いい返事だ。オジサン、そういう元気な子は嫌いじゃない。

 ライークの焼き鳥も提供する。


「しかし、ゴブリンですか。この辺りでは多いのですか?」

「この辺りじゃゴブリンなんて滅多に見ないぜ。今日に限って出てくるなんて、ついてないぜ」


 少年Aがゴブリンの死体を憎々しげに見つめた。


「おい、レットン! お前がゴブリンに気づかなかったのがいけねーんだぞ!」


 少年Aが気の弱そうな少年Cに詰め寄った。


「で、でも僕は……」

「レットンのせいじゃないわ。ゴブリンがやってきたのは、ボーマンが見ていたほうよ!」


 少年Aがボーマンで、少年Cがレットンね。


「そうだな、ボーマンが見ているほうからゴブリンはやってきた。それをレットンのせいにするのは、よくないぞ」

「ちっ、ツキオスもアリスも、いつもレットンの味方だな!」


 少年Bがツキオスで少女Aはアリスということか。

 今の話を聞いていると、ボーマン君が悪いな。ちゃんと索敵範囲を決めていたのに、ゴブリンの接近を見落とし、さらにはレットン君にその罪をなすりつけようとする。はっきり言ってクズだ。


「気の弱いレットンに悪いことは全部なすりつけるなんて、最低よ」

「ああ、今日という今日は、僕も我慢ならない。レットンに謝れ。そうじゃなければ、ボーマンをパーティーから追放する」

「けっ。なんで俺が!?」

「あ、あの、僕は……」


 勝気というか、性格に難のあるボーマン君に、ツキオス・アリス兄妹が噛みつき、レットン君はあたふたしている。

 正直言ってボーマン君の分が悪い。それは自業自得なんだから、素直に謝るべきだろう。

 俺は下手に介入せずに見守ることにした。

 4人……レットン君を除く3人はヒートアップしていく。ツキオス君は死にかけたのだから、収まりがつかないのだろう。もちろんアリス君も兄が死にそうになったのだから、簡単には引き下がれない。

 それに対して悪びれることなく強気に2人と言い合うボーマン君。


「あー、分かったよ! 抜ければいいんだろ! 抜ければよっ!」


 最後にはボーマン君が吐き捨てるように脱退を告げて立ち去っていった。

 助けた俺はまさかパーティークラッシャーなのか?



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