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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第28話 アルガードの町

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 第28話 アルガードの町

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 ロイメス男爵家の捜索隊が俺を探していることなどまったく知らない俺は、数日ぶりに街道に出て歩いていた。

 視線の先には町の防壁が見えている。


「今度の町は入るだけで税を取られないといいんだけどなー」


 まだ物資に余裕はあり、町に寄らなくてもいい。それでも消費した分は早めに補充したい。心配性な俺であった。

 門の前で並び、冒険者証を見せるとすんなり通してもらえた。


「あの、入町税は要らないのですか?」

「ん、ああ、プレンサス伯爵家では、入町税は取ってない。隣の領のロイメス男爵家は取っているようだが、取るほうが珍しいからな、この国では」

「そうなのですね。あ、そうだ。お薦めの宿とかありますか?」

「おう、クリスの宿ってのがいいぞ」

「ありがとうございます。これはお礼です」


 情報のお礼にレッドボアの肉を渡す。


「いや、もらえないぞ」

「大したものではないので、どうぞ」


 1㎏程度の肉を遠慮する兵士に、まあまあと言いながら肉を押しつけた。


「そ、そうか。悪いな……」


 門を守っていた兵士は皆も気さくな人たちで喋りやすかったよ。


「それでは通らさせていただきます」


 俺は兵士に聞いた宿に向かった。

 どうやらあの町が特殊で、普通は入町税を取らないものなんだな。

 ああ、そうそう。これも兵士に聞いたのだけど、この町はアルガードの町というらしい。王都方面に向かう2つの道が交じり合うポイントに近い町として物流の拠点として栄えているのだとか。


「雰囲気のいい町だ」


 宿にチェックインしようと歩いているが、町には活気がある。

 クリスの宿にチェックイン。

 貿易で栄えている町だけあって物価はやや高めで、宿泊代は15,000Gとなっている。

 クリスというのは先代の女将のことで、今は娘さんが女将をしているらしい。

 部屋はちゃんと清掃されていて清潔で、食事も美味しかった。泊まって正解だったよ。


「明日は冒険者ギルドにいってモンスターを卸さないとな。いい加減マジックバッグがいっぱいだよ」


 空きがなくなったので、途中で狩ったモンスターの死体を捨ててきたくらいだ。

 魔力結界を展開し、光魔法のライトで室内を照らし、魔力訓練をしながらモンスター辞典でお勉強。

 デコルンをチビチビやり、眠くなったらライトを解除し眠りにつく。





 翌日、冒険者ギルドにいく。午前の遅い時間は、どこの冒険者ギルドも空いている。

 解体所でモンスターの買い取りを頼む。


「ちょっと多いのでカウンターに乗せられないのですが」

「む? そんなに持ってきたのか?」

「はい。これで」


 俺は9-5のマジックバッグをポンポンと叩く。


「こっちへこい」


 マジックバッグだと分かったようで、作業場に案内してくれた。


「ここに出せ」


 俺は狩ったモンスターを出した。俺自身で解体できる小型のモンスターで、食べる用は残したが、かなりの量を放出した。

 こんなことなら、新しいマジックバッグがほしいな。王都の革物店で買っておけばよかったよ。


「これはBランクのアイスリザードか!?」

「こいつの肉は美味しいそうですね。腹の肉を10㎏は俺が回収したいのですけど、大丈夫ですか」


 アイスリザードは皮が高額で取り引きされるモンスターだけど、肉も美味しいとモンスター辞典に書いてあった。


「10㎏だな。分かった。査定とこいつの肉を切り出すのには、少し時間がかかる。1時間くらい待ってくれ」

「それじゃあ、酒でも飲んで待っています」

「おう。これが預り証だ」


 飲食スペースのカウンター席に座り、マスターにエールと軽い食事を頼み、5,000Gを渡した。

 エールはすぐに出てきたが、相変わらず大きな木のジョッキだ。1.5ℓくらい入っているんじゃないかな。

 一杯やりつつ、待っているとドーンと肉が出てきた。

 王都冒険者ギルドのオーク肉ほどではないが、軽い食事という枠には収まらない大きさだ。500g以上はあると思う。

 味はオーク肉に似ているが、ちょっと違うか? 美味しいけど、オーク肉のほうが旨味が強かった気がする。


「マスター、これは何の肉ですか?」

「それはボンバーラットの肉だ」


 ボンバーラットといえば、ネズミ型のEランクモンスターか。食用としてよく狩られるモンスターだ。


「こんな味なんですね、ボンバーラット」

「一般的に流通している肉だな」


 考えたら、一般的な肉ってあまり食べたことないよ。クライド君は肉なんて入ってない塩水とパンだけだし、冒険者になってからはオーク肉やちょっとお高めの宿の料理を食べていたからね。


 肉は食べきれなかったので、半分ほどマジックバッグに収納して持ち帰る。

 エールはがんばって飲んだが、お腹がタップンタップンだ。


「待たせたな。査定表だ」

「ありがとうございます」


 先ほどの解体所の職員さんから査定表とアイスリザードの腹肉10㎏を受け取る。

 肉の分を引いた総額で5,253,800G。よい金額になった。

 受付で査定表と冒険者証を出したら、受付嬢が驚いた顔をした。


「あの、Dランク冒険者のクライドさんですよね?」

「はい。Dランク冒険者のクライドです」

「えーっと、査定表にはBランクのアイスリザードがありますが?」

「狩りましたけど、何か?」

「そ、そうですか……」

「お金は全部ギルドに預けます」

「承知しました」


 DランクじゃBランクモンスターを狩れないと言いたげだね、この受付嬢は。

 まあ、一般的にはそうなので、そういった目を向けられるのも仕方がない。これで支払いを拒否されるのならそれなりの対応をするが、そういったことなく処理は済んだ。


 冒険者ギルドの後は市場に寄る。物資の補給だ。


「へー、果物もあるんだー」


 いかにも南国っぽいピンクの果物を発見。


「これは南から輸入しているクラベというんだよ。美味いから食ってみなよ」


 《《熟お姉さん》》に勧められ、3個を1,000Gで購入してみる。


「そのまま齧っても美味しいよ」

「そうですか。それなら……」


 服で軽く磨き、齧りついてみる。あ、これ美味い。食感はリンゴに似ているけど、味は甘味の強い蜜柑だ。


「美味しいです」

「そりゃーよかった。また買いにきてね」

「はい」


 今度は数種類の野菜を10,000Gで購入。たくさん買ってしまった。


「毎度ありー!」


 王都では見なかった青梗菜ちんげんさいやネギみたいな野菜もあったので買ってみた。

 今度の野営で何を作ろうかなーと思いつつ、次の町へ向かうのだった。



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― 新着の感想 ―
こう、のんびり旅しつつ美味しいもの食べてたまにバトル… 的なストーリーが読んでて一番楽しいです。普段しんどいのに苦労話とかわざわざ読みたくないですもん。 あ、でも実家や前回の様な非常識貴族は消えて欲し…
花粉アレルギーの症状に効きそうな名前の町ですね。
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