第26話 魔力がないと……
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第26話 魔力がないと……
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「助けてほしい?」
「「「はい!」」」
「俺のことを誰にも言わない、伝えない、そう約束してくれるなら、ちょっとした罰で許すけど、それを守れないというなら、ここで死んでもらうよ」
「「「守ります!」」」
従順だな、この8人。
「本当に俺のことは誰にも言わず、伝えないね? もし嘘なら死ぬことになるよ?」
「「「誰にも言いません!」」」
魔力結界を応用した、首輪を8人につける。
以前ゴブリンで実験して以来だから確実とは言えないが、これでこの8人が俺のことを誰かに言ったり伝えようとしたら、首輪が締まって死ぬ。
ずっと維持できるイメージをしたから、彼らが生きている間は効果を発揮してくれると思う。多分。おそらく……。
絶対の自信が持てないのは、長期間の運用がぶっつけ本番だから仕方がないよね。数カ月は効果があると思いたい。
「五男さんはどうします? 俺のことを誰かに言ったり伝えたりします?」
「だ、誰にも言わない! だから許してくれ!」
「本当にですか? 嘘なら死にますよ? それでも誰にも言わず、伝えることもしないと誓えますか?」
「誓う! 誓うから許してくれ!」
ボンボンにも首輪をつける。
これでよし。
それじゃあ、8人にちょっとした罰を与えますか。
「「「ぎゃぁぁぁーーーっ」」」
冒険者8人の悲鳴が一斉に発せられる。魔力触手をちょっと締めたことで、同時に8人の両手の親指と中指が地面に落ちたのだ。
両手の親指がないだけでも不便な暮らしになると思うし、2本ずつなくなったから冒険者は続けられないと思う。彼らは俺の命を取ろうとしたのだから、このくらいの罰はあってもいいだろう。
「はい。終了。命は取らなかったんだ、感謝してね」
そんな恨めしそうな目で見ないでよ。あんたたちが始めたことなんだから。
「お、俺の指もっ!?」
「ああ、大丈夫ですよ。五男さんは五体満足で帰してあげますから」
「ほ、本当か?」
「ええ、本当です。ですから、先ほどの約束はしっかり守ってくださいね」
「分かった! 感謝する!」
素直なのはいいことだね。
でも、守らなかったら、その命はなくなるから気をつけてね。
9人の魔力触手を解除してやると、8人は蹲って落ちた指を悲しげに見ている。
ボンボンはホッとしているのか、ひくついた笑みを浮かべている。
「それじゃあ五男さん、さようなら。護衛があれだから、早く帰ったほうがいいですよ」
俺は8人のほうを顎でしゃくってみた。
「そ、そうだな……」
ボンボンはゆっくりと後ずさり、俺と距離ができたら脱兎のごとく逃走した。
「えー……。この8人を置いていかないでほしいなー。ほら、あんたらもこんなところで血を流していると、モンスターに襲われるよ」
俺は助けないからね。
「「「ヒィィィッ」」」
ボンボンに置いていかれた8人はよろよろと歩いていった。無事に町に辿りつけるかは知らない。がんばれ。
俺もベッドなどの野営道具を回収してこの場を立ち去ろう。
「はー、朝から気分が悪いな、もー」
むしゃくしゃする気持ちを落ちつけ、俺も歩き出し山林の奥へ入っていく。
街道に戻らないのかって? モンスターを狩って冒険者っぽいことをしようかと思うんだ。
少し歩いたら、モンスターを発見。
まだ結構遠い場所にいるけど、ストーンボアというイノシシ型Cランクモンスターだ。風下から気配を消しつつ30mまで近づき、魔力触手を伸ばす。
ストーンボアの特徴は、突進と石弾を撃ってくることだ。突進は直線的だけど、かなりのスピードで巨体が突っ込んでくるのでかなり怖いと思われる。そして土魔法の石弾を使ってくるので、上空からの攻撃にも対応ができる。さらには、石のように硬い毛皮なので、こちらの攻撃が通りにくいという厄介なモンスターだ。
ストーンボアの足を魔力触手で絡めとり、石弾を撃ってこようとしたら、魔力触手で干渉してキャンセルする。
魔力触手でそのまま締め上げるのもいいが、そればかりでは戦闘のバリエーション不足になる。他のとどめを考える。
「そういえば、体内にある魔力の塊を、全部抜いたらどうなるのかな?」
ストーンボアは魔法を使うモンスターなので、魔力がなくなったら魔法は使えない。それは分かるのだけど、それ以外に何か起きるのだろうか?
人間なら魔力が尽きると、意識が混濁する。気絶する場合も多いらしい。
では、モンスターなら?
そう思ったら試さずにはいられない。魔力触手を鼻の穴から侵入させ、気道を通って奥へ。肺に入ったら、魔力触手をさらに細くして毛細血管内を通れるくらいにする。あとは体内を通り心臓の横にある魔力の塊にアクセスだ。
魔力の塊に魔力触手を突き刺すと、ストーンボアは体をビクンッとさせた。鼻から魔力触手を入れてもほとんど反応しなかったのに、魔力に刺したら大きな反応を見せたのだ。
「魔力を触られるのは嫌なのかな? それにこの感覚は……そうだ、ゴブリンをバラバラにした時に何かを感じたけど、あれは魔力の感じだったんだな。魔力触手の先端じゃないから、感じ方が違ていたので分からなかったよ。とりあえず、どうするか……そうだ!」
魔力の塊から魔力を吸収する。ストローでチューチューしている感じだ。
最初は嫌がり暴れようとするストーンボアだったが、魔力が半分になるとさらに足掻こうとした。残り1割を切ると、ストーンボアの動きが小さくなり、ぐったりする。
そして魔力を完全に吸い取ると、ストーンボアは口から泡を吹いて白目を剥いた。
気絶したと思ったのだが、どうも様子がおかしい。息をしていないのだ。
「え、死んじゃった?」
魔力がなくなったら、死んじゃうのか?
まさかの結果に、俺のほうが驚いている。
「モンスターは魔力がなくなると気絶じゃなく、死ぬのかー」
これは他にも検証が必要だな!




