第25話 奴隷にされるそうですよ?
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第25話 奴隷にされるそうですよ?
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ゲーニル・ゲルガを出て街道を歩いていく。鼻歌を奏で、途中で拾った枯れ枝を振り回す。なんと長閑なことか。
ゲーニル・ゲルガは意外と栄えている町なのか、街道の往来は多い。
何度か騎士っぽい一団を見たが、彼らが街道周辺のモンスターを駆除しているようだ。
夕方近くに山林へ入っていき、魔力結界を展開して野営の準備をする。
焚火に火を点け、俺が解体したアルフィンの胸肉に塩胡椒してバターと香草と共に炒める。いい香りがしてきたぞ。ご飯があれば、3杯は食べられる匂いだ。
こういった洋風の味つけもいいが、やっぱり醤油が恋しい。味噌汁も飲みたい。どこかに売ってないものだろうか。
お上品にフォークとナイフで切り分けた肉を口に持っていく。
「美味いなー。噛めば噛むほど肉の甘味が出てくるよ」
胸肉だからパサパサしているかなと思ったけど、そんなことはなかった。
「アルフィン、美味い!」
食後はモンスター辞典を読み、魔力訓練をし、星空の布団で寝る。
夜中から雲が出たようで、朝起きたら曇り空だった。風も強い。
そんな天候の下、街道を歩いていると町が見えてきた。
この町で1泊しようと、中に入ろうとしたけど止められた。
「入町税は3,000Gだ」
「え、お金を取るのですか?」
「そう言っている」
「そうですか……」
まだ物資は底をつかないから、この町は入らなくてもいいかな。
そんなことを考えていると、兵士が門の前で並び出した。
「まだいたのか、邪魔だ!」
突き飛ばされてしまった。
そして3台の自動車が町へと入っていく。あれ、この3台はあの時の?
たしか旅立ったその日に襲撃されていた3台だと思う。トラックの荷台は檻のようになっているが、中に乗っている人はいない。
あの20人の騎士が、お嬢様を取り戻したのかな? それとももう売ってしまったのか?
とにかく、この町からはさっさと離れるに限る。君子危うきに近寄らず、だ。
町から離れ、山林に入っていく。まずは野営だ。
今日はアルフィンのモモ肉を揚げ焼きにしたが、これも美味しかった。
食後はベッドに体を預け、モンスター辞典を読み、魔力訓練をする。
「明日は冒険者らしく狩りでもしようかな」
そんなことを呟き、眠りについた。
朝、起きたら冒険者っぽい9人が魔力結界を囲んでいた。1人やけに豪華な鎧を着ているので貴族かもしれないが、8人は冒険者なのか盗賊なのか判別できない。
何かを叫んでいるようだが、魔力結界の防音効果は抜群なので聞こえない。
音を通すように魔力結界を変化させる。
「おいこら、てめぇ聞いてるのか!?」
「さっさと出てこい!」
ずいぶんと柄の悪い人たちだ。
まあ、武器で結界を攻撃している時点で、人間性は知れているが。
「あのー、なんのご用でしょうか?」
「おい、てめえ! 金目のものを全部おいていけ!」
「ついでに命もおいていけよ!」
どうやら盗賊のようだ。
「どうせ魔道具で結界を張っているんだろ? そろそろ魔力が尽きて結界が解除されるはずだ。そうなったらぶっ殺してやるからな」
俺、何も悪いことしてないのに、なんでこんな目に遭うかなー。
「えーっと、俺を殺すのですか?」
「ヘヘヘ。殺さないでおいてやってもいいぞ。その時は奴隷だがな。ガハハハ!」
奴隷、か。なるほど、こいつらはクズということか。
このまま魔力結界を展開し続けることはできる。が、ウザい。こんなヤツらのために俺が我慢しなければいけないのは、違う気がする。
「えーっと、俺は本当に俺は殺されるか、奴隷落ちなのは決まっているのですか?」
「へへへ。お前は可愛い顔しているから、奴隷だな!」
「そうですか、それなら遠慮は要らないか」
俺は俯き、そう呟いた。
「あ? なんか言ったか?」
「黙れ」
「あんだとぎゃぁーっ!?」
魔力触手はすでに9人を捉えていた。あとは、俺がちょっと引き金を引くだけで、この9人の自由を奪うことができた。
「てめぇ、俺たちに何をした!?」
「そんなことはどうでもいい。お前たちはこれから死ぬんだから」
「え、あ、それは……」
「ちょ、ま、待てよ。冗談だよ、冗談。本気になるなよ」
「「「そうだ、冗談だ」」」
「俺は冗談は好きじゃないんで」
剣を抜き、ゆっくりと近づいていく。
「お、俺に指一本でも触れたらただじゃすまないぞ!」
豪華な鎧を着た男が叫んだ。
「ただじゃなかったら、いくらかな?」
俺はニヤリとその男に笑みを返す。
「俺はロイメス家のアッパスだ!」
「すみませんね、そんな家は知りませんので」
「ロイメス男爵家だ! 男爵家だぞ、貴族なんだ!」
やっぱり貴族か。
「な、なんですって!」
一応、驚いておくか。するとアッパスがニヘラと笑った。
「グヘヘヘ。分かったら、早く解放しろ!」
「いやですけど?」
「え?」
キョトーン。そんな顔すんなよ。
「あんたも成人した大人なんだ、自分がやったことの責任はちゃんととろうな」
「そ、それは……」
とりあえず、冒険者崩れの8人はボンボンの腰ぎんちゃくということか。いい思いができるから、ボンボンについているんだろうな。
「あんたたち、8人は死ぬかい?」
「「「助けてくれ!」」」




