第23話 魔力触手網
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第23話 魔力触手網
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パルクラスとの戦いは、長期戦になった。ヤツの魔法や攻撃は魔力結界で防げるのだけど、俺の攻撃が当たらないのだ。
「パルクラス、速すぎだって……」
目で追うことも難しいくらいのスピードで、魔力フィールドでなんとか反応している。
「このままじゃ埒が明かないな」
どうする? どうすればいい?
あのスピードを捉えるには、何をするべきか。
魔力結界を展開して拘束しようとしても、ヤツはそれをあざ笑うように魔力結界を置き去りにして飛んでいくんだよなー。
ダメージは受けないが、ダメージを与えることもできない千日手だ。
「困ったね、こりゃ」
その時あることがふと脳裏によぎる。
「そうか! 網だ!」
網を張って待ち構えていればいいんだよ。あいつをおびき寄せる餌は俺だ。
魔力触手を蜘蛛の巣のように編んでいく。それをヤツが飛んでいく軌道に仕掛けておけば準備はOK!
「さあきてみろ、絡み取ってやるぜ!」
網の強度はこれでもかと強化しておいた。これで破られたら打つ手はない。
ヤツの軌道を網に誘うため風魔法で気球を動かす。魔法も発動させた際にしっかりイメージを乗せれば、一瞬で終わりではなく持続させることができる。ただし、魔力の消費量は相変わらずの2割だ。
「オラオラー!」
網へ誘う動きって、どうすればいいんだ? まあ、なんとかなるか!
風魔法を操って、気球を動かす。俺の動きがバッチリ決まり、パルクラスは俺の張った魔力触手の網に飛び込んだ。
グワッと網が伸びる。同時に魔力触手がパルクラスの体にまとわりついていく。
本来であれば、ここで「勝った!」と言うところだが、そんなフラグは立てない。俺はフラグはポッキリ折って安全第一に戦う、安全戦士なのだ!
魔力触手に絡みつかれ、パルクラスは足掻く。風魔法を発動させようとするが、魔力触手でその魔力に干渉して発動を邪魔する。
「フフフ。この状態で魔法は使わせないぜ」
魔力触手を引き締め、パルクラスの翼を折る。
「キューッ」
これでヤツの最大の武器である機動力は使えない。もっともこうなった状態からその機動力を使わせるつもりもないけどね。
あとは2つある首を絞め上げる。暴れれば暴れるほど、魔力触手はパルクラスの体に食い込んでいく。
これでジ・エンドだ。
動かなくなったパルクラスはそのままマジックバッグに放り込んだ。重量が数百㎏もある巨体だが、9-5のマジックバッグの容量はまだ余裕がある。
パルクラスとの戦いを終えた俺は、籠の中で座り込んだ。
「ふー。なんとかなったー」
Aランクモンスターを倒した。
魔力結界はパルクラスの魔法を防ぎ、魔力触手は超高速飛行をするパルクラスを受け止めた。
俺は生き残った。
がんばって魔力訓練を続けてきた甲斐があったよ。
しかし、魔力触手で網をはるとは、我ながら冴えているなー。俺氏、偉い!
「とりあえず休憩しよ」
高度を下げて森の中に着陸。
その際に鳥が飛び立ったので、魔力触手を編み上げて鳥を捕縛しようとしたが、残念ながら遅かった。
さすがに鳥が飛び立ってから魔力触手網を編むのは、時間的に無理があった。さすがにあの複雑な網を作るには、それなりの時間がいるのだ。
「だったら、先に作っておけばいいわけで」
魔力フィールドで発見している鳥が、わざと飛び立つように火球を破裂させる。
バーンッと大きな音を立てれば鳥は飛び立ち、魔力触手網に絡めとられる。
「うん、いい感じだ」
5羽の鳥を捕縛した。2種類で3羽と2羽を捕縛。
3羽のほうがアルフィンというEランクモンスターで、2羽のほうがライークというDランクモンスターだ。
アルフィンは大きな鳩で、ライークは大きなアヒルだ。アヒルなのに飛べるらしい。まあ、モンスターだからね。
共に美味しいらしいので、俺も解体を覚えようかな。そしたら、自力で解体して肉が食える。さすがに鳥を一から捌くのは無理だよねー。
30cmくらいの魚なら俺でも捌けるから、小型のリフィナンテスとトーリルーンを食べたけど、美味しかった。
でも宿で出てきた料理のほうが美味しかった。やっぱりプロの味は違うと思ったよ。
腹ごなしをしたら、移動をする。ここからは歩きでいこうと思う。
この森の先に町があったから、空からいくと騒ぎになりかねない。それに、空を飛べる(浮く)ことができるのは知られたくない。
森の中で歩きながら、魔力触手網で鳥を捕縛していく。
結構捕縛できたので、何羽か自分で食べたいな。どんな味がするのか、楽しみだ。
さて、もうすぐで森を抜ける。冒険者の姿が多く見られるようになったので、鳥の捕縛はお終いだ。
森を抜けると、町が見えた。
町は防壁で囲まれており、華やかな王都とは違う重苦しい感じだ。門にも兵士がいて、厳重な警備をしている。
俺は兵士に冒険者証を見せ、声をかけた。
「お疲れ様です。この町はなんという名称ですか」
「ゲーニル・ゲルガだ」
町は山間の盆地にある。つまり、モンスターに囲まれているというわけだ。この物々しさも分からないではない。
「ありがとうございます。あ、お薦めの宿とかありますか?」
この兵士さんは人がよさそうなので、さらに聞いてみた。
「このまま真っすぐいき、お袋の宿という宿がある。そこにいけ」
「はい、ありがとうございます」




