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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第21話 初めての野営

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 第21話 初めての野営

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「そうだ! レンズを作ろう!」


 物質魔法でソイルが作れるなら、レンズだって作れるんじゃないか? そんなちょっとした好奇心だった。


「うーん、現実はそう甘くないかー」


 作れなかった。

 想像力やイメージが欠如しているのかもしれないが、今はできそうにない。


 高度を落とし、林の中に着陸。我ながらいい腕をしているぜ!

 籠をマジックバッグに収納し、戦闘をしている場所に向かう。

 3台の自動車のほうは5人の騎士っぽい人が守り、襲っている側も騎士っぽい人が20人くらいだ。

 また、トラックには8人の若い女性たちが乗っていた。どうやら奴隷のようだ。

 あの20人は奴隷を助けようとしているのだろうか?

 お互いに魔法を撃ち合っている。数では圧倒的に襲撃側だけど、騎士の質は自動車側の5人のほうが上だ。5人のほうが魔法の腕がよく、命中精度が高い。

 数的に20人のほうが当たりやすいというのがあるかもしれないけど、これは腕の問題だと思う。


「敵は少数だ! 1班は左のヤツに集中! 2班は中央のヤツだ! 3班は右のヤツ! 数で押していけ!」

「「「はい!」」」


 襲撃しているほうも、組織だった動きをしているのではないだろうか。個人の武では劣っていても、組織力で補っている感じだ。

 ただ、結界魔法で結構な魔法が防がれているのは、痛いところだ。


「ええい、そんな賊など早く蹴散らせ!」


 自動車の窓が少しだけあいていて、ガマガエルのような顔のオッサンが叫んでいる。

 言っては悪いが、顔だけでも少女を攫って凌辱していそうでアウトなんだけど、自分は安全なところにいて高圧的な命令を出すのはもっとアウトだ。

 俺の中で、自動車の中にいる人物が悪者で、襲撃者はその悪を討とうとする人たちだと断定された。


「うん。帰ろう」


 自動車側がいい人なら、助けるのもやぶさかでないのだけど、悪者だからなー。

 さすがに襲撃者の手伝いはできないけど、あれを助ける気にはなれない。

 俺は正義のヒーローなんかじゃないし、襲撃側が善側の人間でもこんなところで襲撃していることがアウトだから助けない。


 さらば、悪党たちよ。

 踵を返したところで、「ギャーッ」という声が聞こえた。

 どうやら流れ魔法が少しだけ空いていた窓から自動車の中に入ったようだ。

 結界魔法は護衛たちを守っていたが、頑丈な造りで魔法に耐性がありそうな自動車を守るようには展開していなかったようだ。

 わっざわざ安全を捨てて上から目線の命令を出していたら、窓の隙間から魔法が飛び込んだとは、なんとも運が悪いヤツだ。ま、悪運がよければ助かるだろう。俺には関係ないことだ。


「今だ押し込め!」

「「「おおおっ!」」」

「お嬢様を助けるんだ!」

「「「おおおっ!」

「なんとしても防げ!」

「「「応!」」」


 むむむ。今、何か不穏な言葉が聞こえたぞ。お嬢様を助ける? それってトラックに乗せられている女性の誰かってことか? 誰かは知らないが、あの車内の男性はその女性を攫ったってこと?


「やっぱりあいつは悪者だったか。俺の勘は正解だったようだ」


 俺の一方的な決めつけだけど、がんばれ襲撃者。俺は手伝わないが、陰ながら応援しているからな。

 俺は籠に乗って再び空に浮かんだ。


 あれから1時間。今度はモンスター同士の戦いの場面に遭遇した。

 巨大なTレックスのような恐竜と、これまた巨大なヘビのモンスターだ。

 お互いに一歩も引かない戦いは、なんとヘビのほうに軍配が上がった。

 巻きついたが最後、決して離さず、恐竜の骨をバキボキと折っていった。最後には丸飲みだ。あの巨体を丸飲みとか、ヘビヤベー。


 そんな感じで空から見る地上は、西部劇や怪獣映画さながらの混沌としたものだった。

 そして夕方になり、俺は地上に降りた。山の中腹の平坦な場所だ。

 魔力フィールドで周辺を確認しているが、モンスターの気配はない。ここで野営をしようと思う。


 近くにあった木の太い枝を魔力触手を剣のように鋭くし、伐り落とした。

 この木材をヒートで乾燥させ、薪として利用する。


「ロック」


 石でちょっとした窯を作ると、薪を入れる。


「ファイア」


 木材に火を点け、フライパンを置く。

 ロックとファイアで全魔力の4割も持っていかれるのは納得できないが、ヒートでもハイヒールでも消費魔力は同じなんだよなー。リザレクションとかも2割で使えないだろうか?


「今度ゴブリンで試してみようかなー」


 さて、料理なんて1カ月ぶりか。前世ではほぼ毎日料理をしていたから、それなりにレパートリーはあるのだが、この世界では調味料が少なくてあまり腕を振るえない。プロじゃないから、あるもので美味しいものを作る腕はそこまで高くないってことだな。

 オークの脂を塗って、そこでオーク肉のステーキを焼く。塩胡椒はしてある。これだけでオーク肉は十分に美味しい。

 グランベルさんが食べるような肉の塊ではなく、俺は200gもあれば十分だ。

 パンは焼きたてを買ってきた。9-5のマジックバッグに入れておけば、50日は焼きたてのままだ。

 そろそろ米が食べたくなってきたが、王都には米は売ってなかった。残念。


「オーク肉は美味いよなー」


 パンを齧り、オーク肉を頬張る。

 キャンプ飯も旅の醍醐味の1つだよねー。


 食事が終わったら、魔力結界を展開して空気だけは透過させる。

 マジックバッグから敷物を出し、さらにその上にベッドを置く。

 こういった野営のために、王都で色々買いそろえた。おかげで100万Gも使ったのだけど、それだけいいものを用意している。

 ベッドなんて疲労回復効果があるし、毛布も温度調整機能がついている。

 これで夜もぐっすり寝られる。

 魔力訓練をしつつ、俺は眠りについた。




 翌日、快眠できた俺は気持ちよい朝を迎えた。今日は昨日と打って変わって雨が降っている。これでは移動しないほうがいいな。ここで今日も野営だ。


「それにしても、ウザいな」


 俺が寝ている間に、モンスターが周囲に集まってきており、魔力結界に攻撃をしかけている。

 オオカミ型のグレーウルフというCランクのモンスターだったと思う。10体の群れで魔力結界に体当たりしたり、爪でひっかいたりしている。

 音は遮断しているので、何も聞こえないけど獣臭さは魔力結界内に漂ってきている。



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