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双貌日記〜天才作家 言葉紡の記録係〜  作者: pippo
真実

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59/60

事件の鍵が眠る家

 時は三日ほど遡る。


 僕は先生に呼び出されてある場所へと向かっていた。先生は集合場所の住所とマップを送ってきただけで、そこがどこなのかもなんのために行くのかも、当然のことながら教えてはくれなかった。


 しかし、ホームズさんからの「例の場所を見つけた」という連絡の後であることを踏まえると、おそらく今回の事件にとって最重要な場所であるということはなんとなく理解していた。


 僕は、スマホの地図アプリを開きながら指定された場所へと到着する。当然先生はまだいないものだろうと思っていたが、どういうわけかそこには先生の姿があった。


 それどころか、休屋警部もホームズさんもすでに揃っていて、どうやら僕が最後であったようだ。


「すみません。」


 待たせてしまったかなと、軽く謝罪しながら3人に挨拶する。


「いや、時間通りだよ。さすがだね。」


 先生はスマホで時間を確認しながら僕にそう言った。


 僕もそう言われて腕時計を確認する。確かに集合時刻の5分前を示している。どうやら遅刻はしていないようだ。


 とはいえ、いつも遅刻してくる先生のことだ。多少誰かが遅刻してきたとしてもそれを咎めるようなことは言わないだろう。たまに自分の行動を棚に上げて、叱責をしてくる人がいるが、先生はそんなことはない。先生によると、そんな人は総じて「心にゆとりがない人」らしい。


 つまり自分は心にゆとりがあるとでも言いたいんだろうか。まあ、ゆとりがあるだろうなとは思うけれども。


「みなさん、一緒だったんですか?」


 僕は休屋警部とホームズさんに視線を向けながら尋ねた。


「ああ、ワトソンくんの話からミス紡は()()()()()()だと聞いていたからね。レストレイド警部に頼んで、一緒にここまで連れてきてもらったというわけさ。」


 ホームズさんの言葉に休屋警部も頷く。


 なるほど。だから先生は今日遅刻をしていないのかと、納得して頷き返す。


「さて、行こうか。」


 先生は軽く咳払いをしながら、僕たちに言う。


「結局ここはどこなんですか?」


 僕は思わず質問する。


 送られてきた住所をマップに入れて、その指示どおりに目的地であるこの場所へと着いたわけだが、周りを見渡してみると普通の住宅街といった感じで、特に何か強い印象を受けるということはない。


 綺羅星家の本家に先生と行った時のように高級住宅街が近くにあったりだとか、厳かな雰囲気が漂っているとかということもない。普通の住宅が立ち並んでいるだけのように思う。


「ここは、今回の事件を解くための重要な鍵が眠っているかもしれない場所さ。」


「かもしれない?」


 僕は先生の言葉に首を傾げながら聞き返す。


「あくまで今は推理の段階でしかないからね。ここには確証を得るために来たっていうわけさ。」


 そう言いながら、先生は目の前の家を指差す。


 僕は指された家を見上げる。ぱっと見だと、土地の大きさまではっきりと判断できないが、おそらくは5〜60坪ほどの土地に二階建ての家が建っている。


 正直、あんまりこれといった特徴がない普通の二階建ての家に見える。


 しかし、そんな僕の心理を読んだのか、先生は指を鳴らしながらその家の表札を指差す。


『天ノ川』


 その表札には、そう書かれていた。


 天ノ川?


 今回の事件では聞き覚えのない名前に、僕は再び首を傾げる。


「天ノ川というのは、綺羅星兄妹の母親である綺羅星星歌、彼女の旧姓だよ。」


 僕は目を見開きその表札の文字を見る。


 綺羅星兄妹の母親、つまり8年前の事故で亡くなったうちの一人である。彼女らの父親が次期当主だったということは、あの家の決まり上、()()()()()()()()()()である。そうなると、必然的にその配偶者は綺羅星家の人ではない。


 ホームズさんには、彼女たちの母親の方を調査させていたということだろう。そして、ここに来たということは、8年前の事件、並びに彼女らの両親に今回の事件の鍵があると思っているということである。


「この前休屋くんが報告してくれた通り、8年前の事故には不審な点が多く見つかった。当時この事件を担当していた警察官は軒並み異例の昇進を果たしていた。休屋くんの上司にあたる松本警視正もその一人で、当時の責任者だったようだね。しかし、休屋くんと灰呂くんの捜査によって当時事件に関わりながら、何かがあって左遷され、その後自主退職した警官がいたんだ。そして、その元刑事の居場所を突き止め、事情を聞きに行った休屋くんは、当時揉み消された重要な証言を手に入れたというわけさ。」


「簡単には話してくれなかったけどな。証言してくれた内容を元にできる限りの事実確認をしたんだ。」


「そこまでは僕も聞きました。でも、その内容までは聞いていないんですが。」


「ああ、それについての続きも中で話すとしようか。」


 先生はそう言いながら、表札の隣に設置されたインターホンを鳴らす。


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