悪魔の証明
先生はそう言いながら僕の方を見る。僕は頷き、先生の机の上にある茶色い封筒を先生に渡す。先生はそれを開けながら、話し続ける。
「これはあるものと君のDNAを鑑定したものだ。この結果を見れば、君が本当はどちらなのかということがはっきりする。」
月夜さんは明らかに動揺しているように見える。先ほどまでの冷たい視線ではなく、言うなら追い詰められた犯人が「そんな証拠あるはずがない!」と内心で思っている時のようなそんな表情をしているように思える。まあ、僕の主観だが。
先生は茶色い封筒から紙を一枚取り出す。細かい文字が何行か羅列している下に四角い欄があり、そこには一際大きな文字でこのように書いていた。
不一致
「あるものと私のDNA?何と比べたと?それに私のDNAなんていつ。」
そう言いながら、月夜さんは何かに気が付いたかのように僕の顔を見る。今度は確実にハッとしている表情だ。
「そう。一週間前に君が助手君と喫茶店であった時にね。君の使っていたストローから唾液を採取させてもらった。いや、紙ストローに変わってから初めて紙ストローに感謝したよ。唾液の採取がしやすかったんだから。そしてもう一つはこれさ。」
先生はポケットから小さな桐の箱を出す。その蓋には小さな紙が貼ってあり、そこには月夜と書いている。それを見た月夜さんは目を見開いている。
「それをどこで。」
先生はその箱の蓋を開ける。そこには乾燥した葡萄のようなものが入っている。
「これは月夜君の臍の緒さ。君たちの母親の実家に密かに保管されていたんだよ。それを特別にお借りした。」
「どうしてそんなものが、そんなものがあるなんて聞いていない。」
月夜さん、いや、もう鑑定からも確定しているのでここからは虹日さんと呼ばせてもらうが、虹日さんは信じられないと言うような表情で視線を泳がせている。
「そうだろうとも。これは君の母親、いやご両親の希望で存在が隠されていたのだから。綺羅星家の手が届かないように。」
「なんで・・・。」
「君のご両親の話をするためには、8年前に事故についても真相を語らなければならないだろうね。」




