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双貌日記〜天才作家 言葉紡の記録係〜  作者: pippo
10 名探偵ホームズ

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見つかる体

「虹日君の体の場所を見つけたかもしれない。」 


 先生はそう言いながら、自分のスマホをテーブルの真ん中に置き、その画面を僕たちに見せる。その画面は一枚の写真を表示していた。


 なんてことはない、血溜まり。血が地面に広がり、まだ液体として残っている様子だ。だが、


「ここだ。」


 先生が示したのは、血溜まりの中でも端っこの部分。その部分だけ地面に血がよく染み込んでいる。他の部分はさっきも言ったように液体として地面の上に残っている。なのにそこだけは地面に吸収され、地面が薄暗い血の色をしているのである。


「なるほど。」


 ホームズさんもわかったようで、その画面を見ながら頷く。僕はまだよくわからずに質問する。


「どういうことですか?」


「見てわかるようにこの端っこの部分だけよく血を吸収しているだろう?」


「はい。」


「逆に他の部分の血の吸収が遅いのはこの地面が硬いからだ。桜の樹の根っこは地中の浅いところにあるという話はしたかな。その部分の土は根っこによって硬くなっている。そして、桜の付近の土は人が多く通ることにより踏み固められ、水分の吸収が遅くなるんだ。君、川の土手に桜がよく植えられているのは知っているかい?あれの理由は、一説には花見をする人たちが多く訪れることにより地面が踏み固められて川の土手が強化されるからという説があるんだ。それと同じくこの桜の樹の付近の土も硬くなっていた。一昨日君と一緒に行った時にもそれは確認しただろう?」


 確かに、一昨日桜の木を見に行った時、桜の樹の下にの話の流れで土が硬いことを確認した。写真も撮っているから見比べればすぐにわかる。


「なのにこの部分だけ、血の吸収が早い。つまり、この部分の土だけ他と違って柔らかかったということだ。一昨日は堅かったはずなのに、昨日は柔らかくなっていた。それが示すことはつまり、」


「その部分が掘り起こされた?」


「そう考えるのが自然だろう。この土の中に虹日君の体が埋められている。」


 先生はそう言いきった。


「まさか、死体の下にも死体が埋められているとはね。警察としても陰君の死亡した現場を荒らさないようにしないといけないから手をつけるにつけられない。盲点だったということかな。」


 先生は立ち上がる。どこに行こうとしているのかは説明する必要もないだろう。ホームズさんと僕も一緒に立ち上がり、現場へと向かう。


「ミスター虹日の体が見つかり、私の予想が当たっていれば、いよいよ事件は解決に向かうだろう。」


 庭に向かって歩きながら、ホームズさんは僕にそんなことを言った。



 例の桜の樹に着くと数人の警察官がいた。休屋警部の姿はここにはない。先生は事情を説明し根元近くまで行くと写真と現場を見比べながら、血が染み込んでいたエリアを特定する。


「ここかな。」


 先生が示すと、数人の警官は先生の指示通りにそこを丁寧に掘っていく。


「ん?何かあるぞ。」


 男の警官が何かを発見し声を上げる。一部分だけ姿を出したのは、この宿の浴衣だった。ここに浴衣だけが埋まっているはずはない。ようやく虹日さんの体は発見されたようだ。


「ちょっといいかい?」


 ホームズさんは、掘るのには参加していなかった女性の刑事を呼び、何かを伝えている。その女性刑事はホームズさんの言葉に頷き、わかりましたと言ってその場を離れる。その間に虹日さんの体はその全貌を明らかにしている。


「ようやく見つかったようだね。」


 先生も予想があたり安心しているようだ。だが、事件は解決したわけではない。何ならここからが本番というところだろう。僕は引き上げられる虹日さんの体を見ながら、自分にもう一度気合を入れようとする。


「では、()()()といきましょうか。」


 ホームズさんがおもむろに言い始める。虹日さんの死体を運んでいる刑事に近づき、二言三言話す。


「レストレイド警部を呼び戻してもらいました。皆さんも大広間に集めてもらいます。」


「ほお、ホームズ君。事件は解けたのかい?」


「私の仮説は、ほぼ立証されました。証拠は徐々に揃いつつあります。」


 ホームズさんは頷きながら先生と僕に話す。これからが本番だと思っていたのに、体を見つけた瞬間、解決編かと少しの肩透かしを食いながら、ホームズさんに従って大広間へと移動する。


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