ままならない。
………視線を感じる。最初はクロエかと思ったが、どうも違う。ていうか多い。あと警戒してる感じというか、敵意がこもっているというか、もしかしたらあの時殺した狼っぽい奴らがまた来たのかなとか、目を瞑ったままどうするか考える。
一応アリシアが防御魔法かけてるって言ってたけど、どんな物かは俺は知らないしだし、多分大丈夫だとは思うけど、あ”〜〜!!つーか今まだ夜中だぞ。眠気と戦いながら考えまとまるかよ!あぁもうなんかイライラして来た!なんで俺がそんなこと考えにゃあならんのや!ボケが!!
「うっとおしい!出て来いやゴラぁ!人ん事ジロジロ見やがって!こちとら眠いんじゃボケゴラぁ!!!」
立ち上がって怒鳴り散らす。すると周囲の茂みから、慌ただしく動く足音が聞こえてきた。
「そこか!てんめそこで待っとれや!ぶん殴ったるからな!」
勇み足で茂みの方に向かおうとした足を、クロエが掴んだ。
「あ、わりぃ起こしたか?」
「ううん。起きてた。それよりあれはほっといていいわ。」
「あ”?なんでだ?」
「あれ、人間だから」
「は!?人間?人間だとしても人の寝込みを茂みから見てるような奴は、盗人か変態やぞ。」
「そうかもだけど、彼らはここには近寄れないし、何も出来ないわ。そこまであまい魔法は使ってないし。視線カットの魔法を追加でかけるから寝ましょう。彼らも朝になるまで特に何もしてこないわよ。きっと。」
しぶしぶ元の位置に戻って、クロエが魔法で作った布団に入る。便利すぎるよなぁ魔法。まぁいいや、ふぁ…ねむ……ねよ……
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「よかった。寝たか。」
こちらに向かって来そうになった時、正直死を覚悟した。
「にしてもーーー」
にしてもこいつらは一体何なのだ。天災が人の姿を、しかも女子供の姿をして、更に布団を被って睡眠までとっている…真ん中には焚き火の跡もあるし、先ほどは寝ているもう一体が、立ち上がった一体を宥めていた。ほんの一瞬、こいつらは人間ではないかと思ったが、そんなはずはない。
「隊長。彼女らは本当に天災なのでしょうか?いささか奇妙ではありますが、小官にはただの旅の女子供にしか見えません。」
「いや、実を言うとそうでは無いかと私も思ったがな。それは普通の森ならばだ。ここは迷いの森だぞ?道沿いに通って来たから我等もこんな深くまで来れておるが、普通ならここに来るまでに死んでおる。そこを女子供だけなのだから、やはりこいつらは天災だ。」
「はぁ…そうでございますね。ではどう致しますか?我々はもっと巨大なのを想定していたために、その、あの様な小型を捕らえる為の装備はございませんし、何より…」
「寝ている奴を無理に起こして、藪蛇になったら目も当てられん。か…仕方ない、ジャクソン。お前は町長に連絡。フィリックス。クーパー。お前ら2人、交代で奴らを監視しろ。他の者は私と共に少し離れた地点に落とし穴と、持って来たトラップ、仕込み魔法を仕掛けるぞ。ついてこい。」
「「「は。」」」
まぁトラップなんぞものの役に立ちそうも無いが、秒でも稼げれば良い。息子たちが帰る家を守れないのは残念だが、少なくとも片親が暖かく迎えることぐらいは出来るようにはしたいからな。おそらく似た感情で部下もついてきてるのだろう。隊長として出来ればこいつらも生きて返したいな。そう思ってなるべく効果的になるように、トラップを仕掛けてる最中、警戒を知らせる魔装具が鳴り響いた。
「む。天災か?いや、違う。総員警戒態勢!中型の魔物が近くにいるぞ。」
総員が剣を構え、辺りを警戒してる中、陰が飛び出して一人を森の中に連れ去り、悲鳴がかえってきた。
「くそっ!!カーベルがやられた!」
「誰か正体を見たか!?」
「いや駄目です。速すぎて見えません。」
茂みが音を立て、また1人が連れ去られた。舌打ちしたくなるのを堪え、浮き足立つ兵達を叱咤する。ここでパニックに落ち入れば確実に全滅になる。天災の監視が任務である以上それだけは避けねばならなかった。
2人ほど仕留めた事で余裕だと勘違いしたのだろう魔物が私の前にぬらりと現れた。こいつは昔見た事がある。ハウンドベアー。似た見た目でデスベアラーがいるが、あれに比べてこいつはふた周りほど小さいく、脚も速い。が、こいつはその分脆い。頭蓋骨を除けば普通に剣も突き刺さる。だがそれは通常ならだ。今連れてきてる連中は、軍に徴収されなかった余りから選んだ奴ら。とても対応は出来ないだろう。
「お前ら全員固まって退却しろ。こいつは俺が倒す。ヤマムラ!後はお前が指揮しろ!行け!行け!」
さて、
「待たせて悪いな。悪いが殺らせてもらうぞ。」
最盛期に比べたるんだ腹に腹を空かしたハウンドベアーが舌舐めずりをする。人ってのは人が食うと不味いらしいが、どうやらこいつには美味しいらしいな。
初撃から首を狙って飛びついて来るのを剣でいなし、体制が崩れたところを蹴り飛ばす。最盛期であればこのままトドメを刺せなくもなかったであろうが、後方にまわって長く、かつ一連の動作のみで息が上がってしまう様ではそれは叶わなかった。こいつは油断出来ないと思ったのだろうさっきとは打って変わって慎重にこちらを観察する様に周りをまわり始めた。このままでは埒があきそうに無い。そこであえて隙を見せて襲わせてカウンターを狙ってみたのだが、運悪く足を挫いてしまいなす術無く押し倒され、喰われる寸前でベアーの体が割れた。
「おじさん。大丈夫?」
助けた人物は逃した部下で無く、先ほどまで観察していた天災だった。
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睡眠魔法で暴れだしそうになったアリシアを寝かしつけた後、周囲を囲う人達1人1人に監視魔法を掛ける。
成る程ねぇ。この人達、私が化け物の類だと思ってるんだ。まぁ私の存在を知ってる人なんてもう殆ど居ないはずだもんねぇ。仕方ないけど。
覗いていると、道の最中に罠を仕掛け始めた。な、なんて古典的な…こんな罠を使うほど文明が退化したの………そう言えば彼らの服装もだいぶ見っともないわね。いささか自分もこの惨状に貢献したのかと思うと頭が痛くなる。目頭を押さえていると、監視魔法の1つが消滅した。一瞬、範囲外に転移したかと思ったがどうやら違うらしい。同じ所にいた人達が襲われた見たいな事を言っている。
とっさ、何万年も動いていない体でもとっさに動いてしまった。自分でも馬鹿だと思うが動いてしまったから仕様がない。周りで監視していた2人を眠らせ、道を走って、倒れた人を今にも喰おうとしてる魔物を目視で捉え、半分になる様分離させる。血が飛び散らない綺麗な殺し方だ。
「おじさん。大丈夫?」
手先の魔法を解いて、倒れている人に手を差し伸べる。が、
「なっ!ばッ!ちぃィィィイ!!!」
助けようとした相手は、戦闘で転がった剣をとって斬りつけようとしてきた。本来なら私の身体を斬ったはずの刃は私の防御魔法に当たって原子に還る。
「いや、私は別に敵じゃないです。落ち着いて下さい。魔物は倒しましたから。」
慌てて錯乱状態(だと思う)の相手を宥めるが、剣がダメだと理解したら今度は拳で殴ってきて、彼の腕が無くなる。
片手が無くなったらもう片方で、もう片方が無くなれば足で、そうこうしてるうちに、先ほど離れていった連中が戻ってきて同じように襲いかかってきた。
「だから!私は!敵じゃないのよ!やめなさい!死にたいの!?」
後ろから組み伏せようとしてタックルをかまして来た相手が消える。そうやって5分も経たぬうちに襲って来た人の殆どが腕や足を無くして倒れた。
なんなんだろう。なんでこうなるんだろう。そう思いながら、苦しんでる人達を1人1人と介錯していく。無論、彼らの腕や足、怪我病気を治してあげる事も出来るが、そうはしない。恐らくそうしてもまた彼らは襲って来るだろうから。最後に最初に助けた人の瞳を閉じ、アンデット化しない様に火をつける。生焼けの匂いを嗅ぎながら、防御魔法を消せば彼らは死ななくて済んだのではないかと思う。……いや、そうはいかない。そうしてはならないんだ。私は。今さら。
ふぅ…まだ反応は3つ程ある。多少は何か聞き出せるだろう。
無駄にキャラ増やすと管理しきれないから、この先も男女平等にポンポン殺してく予定です。




