お話
ペースがどんどん遅くなってきててすみません。
ここは……?ぼんやりとする頭を振って考える。ええっと…たしか、天災が現れたとかで連れ出されてんで、なんか見てろって言われて…えっと
「よぉフィリックス。起きたか?」
横を見ると俺と同じ様に見張ってる様命令を受けたクーパーが、縛られて、逆さまに吊るされていた。よく見りゃ俺も縛られている。逆さまに。
「ん?おーい。クロエ。こいつら起きたぞー」
目の前には両手にロープを握ったどこにでもいる少女がいた。ってこいつ!て、天災じゃあねぇか!ど、どうなってんだ???
「落ち着けフィリックス。暴れない方がいい。あいつが握ってるロープ。俺たちのに繋がってる。現にお前が目覚める前に暴れたジャクソンが落ちてほら。」
顎で指した先では同じ様に縛られて頭から血を流してる友の姿があった。
「ど、どうする?俺たち殺され、殺されるのか?」
「そんなもの、俺が知るか。天災に聞け天災に。最悪言葉は話せるみたいだからな!」
「聞けるわけねぇだろう!人間じゃねぇ奴らに。助けてー!って言ったら助けてくれると思うのか!このバカ!」
「だったら黙ってろ。もう1体が来た。」
もう一体の方は、銀の髪に緑の瞳、耳に赤いピアスをし、人の形をしていた。
「ごめんなさいね。あなた達を傷つける気は無かったんだけれど、質問するにあたって見せしめっているでしょ?」
にっこりしてそう言った。
「それで、聞きたいんだけれど。なんであなた達は私達の事を覗き見て、しかも道中にあーんな罠を仕掛けていたのかな?教えてくれると嬉しいな?」
これが酒場で酔った状態だったら、口説きにかかっていただろう。そんな魅力をもった声だった。
「さぁ?なんの話かわからないな。俺たちは散歩していただけだからな。」
嘘丸出しの言葉をクーパーは命を握ってる相手に向かっていけしゃあしゃあと言ってのける。昔から命知らずだとは思っていたが、こいつに巻き込まれるのは勘弁してもらいたい。
「へぇー灯りも持たずに森を散歩かぁ。お兄さん達って夜目が効くんだね。」
「あぁ。すごいだろう。それよりお前らの方こそこんな森で何をしてるんだ?」
「うん?あぁそうねぇ…人探しかなぁ?」
「へぇー人探し。それなら俺たちも手伝ってやるよ。どうだ?この縄解いてくれないか?」
「はははぁ。それは素敵ね。アリシア。」
「へーい。」
アリシアと呼ばれた方が、左手に掴んでる縄を離し、クーパーが頭を割る直前に掴み直して止める。
「もう一度だけチャンスをあげるね。この質問に答えてくれたら助けてあげる。あなた達はなぁに?」
質問されたクーパーは、天災の顔に唾を吐きかけた。
「ただの人だよ。」
「そっか。」
顔にかかった唾をぬぐいながら、天災はクーパーの顔を蹴り飛ばした。
ロープが離されクーパーの体がどさりと地に堕ちる。
「さて、あなたは話してくれる?それとも?」
こちらに向いてまた微笑んだ。
そうしたい。でもそうしても殺されるんだろう。た、隊長とかがどっかにいるはずだ。あの人ならきっと、助けてくれる。それまで、それまで時間を稼がないと。
「わ、わかった。話す。話すから一度地面に降ろしてくれ。頭に血が上ってクラクラして来たんだ。」
スルスルと降ろされ、地面に寝転ばされ、アリシアと呼ばれた一体が俺の上に腰かけて、押さえ込んだ。できるだけ、できるだけ長く話すんだ!俺!
「それじゃあ話して。」
「よ、よし。まずは俺の名前、いや知っても仕方がないかも知れないが、一応覚えておいてくれ。あ、名前ってのはわかるよな?君達がお互いに呼び合ってるだろ?クロエとかアリシアとか。そう言うのも人間にもあってね。それの事を名前って呼ぶんだ。んで、俺の名前はフィリックス=ド・アイドール。これ全部がおれの名前で、厳密に言うと「お前。馬鹿にしてんのか?それとも時間稼ぎ?」い、いやそう言うわけじゃないんです。はい。それぐらいは分かりますよね。」
「そうだぞ。あまりおちょくってると酷いことするぞ。」
上に乗ってる一体が体を揺さぶって、殿部の方に手を伸ばして軽く叩いた。
「ごご、ごめんなさい。いえ、あ、はい。私達がえと何故貴方方を監視していたかと申しますと、ええと。上司に貴方方を監視する様に命令されたからなんです。ホントです。ホント。えぇまぁそう言うわけでして、詳しいことは俺には分からないと申しますか、出来れば上司に聞いて頂ければと思うんですが…ダメですか?」
「いや、聴けてたらあなた達に聞いたりなんかしないわよ。あなたの上司さんもお連れさんもみーんな。死んじゃったもの。」
さらっと銀髪は言った。今なんてった?死んだ?あの隊長が?どんな事をしても飄々と生きていたあの隊長が死んだ。こいつは今そう言ったのか?
きょとんとした状態で見つめていると、
「も、ダメね。飽きてきたわ。やっぱり昔ながらのやり方で聴いた方が早いか。それじゃ、あなたの記憶見せてもらうわ。あぁ。安心して、暫く腑抜けになるだけだから。」
そう言って銀髪は俺の顔に殴った。
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「まぁ野蛮なこって。よくもそんなにポンスカポンスカ人を殴れるな。」
「いや、人の上に躊躇いなく乗る人が言うの?それ?」
「まぁ、それはそれ。これはこれ。んでこの人達生きてんの?血とかダバダバ出てたけど。」
「その点は大丈夫。やると同時に蘇生と回復魔法かけてあるから。」
ふーん。器用だなぁ。っと思って見てると、クロエが何処からか機械を取り出して、倒れてる奴の額にペタペタと吸盤を貼り付けて行き、手元の機械をいじる。
「出た。出た。んーと、なになに?あーはいはい。ふーん。へー。」
「何してんだ?」
「この人の脳から情報引き出してるの。面白いよこれ。あんな事とかこんな事とかわかって。」
「あ、俺それ欲しい。今度ちょうだい。」
「いやよ。っとまぁこの人の隠し事はどうでもよくって、先に襲ってきた理由よね。」
「そうだな。何でなんだ?」
「そうねー、一言で言えば、この人達は私達の事を化け物だと思ってて、この先にある街の避難の為に私達を監視してたみたいよ」
「なんで、いきなり俺たちが化け物呼ばわりされて、ってわーかった。これ。この道が原因か。」
「正解。ちょっとやり過ぎだったみたいねー。」
「んじゃあどうする?元に戻すか?」
「そうねぇ。そうしたいけど、そうするには遅かったなぁ。もう何か色々やられてるみたいだし。いっその事、投降した方が安全に接触できるかな?倒される心配は無いわけだし。」
「え、なに?俺、犯罪者になるの?牢屋に入れられるのはお断りなんだけどなぁ。」
あーそう言えば、昔駄菓子屋でスったりした事あったっけか?んじゃあ今更かな?しかしまぁこいつに関わってるとロクでも無い事に、延々と付き合わされそうだな。実際この襲撃もこいつのせい。俺がここに居るのもこいつのせい。………どうせ1日あった程度の人間だし、いっその事殺してまうか?いや、魔法についての知識が足りない。殺して蘇られたらそれこそ面倒だ。まだ良いか。まだ早い。
「他に手が無いでも無いけど、逐一要らぬ誤解を持たれても困るし、ここは捕まるしか無いわね。それじゃあ一旦レッツゴー!!」
あらやだ。無駄に元気。
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森を抜けた先で、襲撃してきた人達が
乗ってきた馬車(引いているのは馬っぽいけど、どう見ても俺の知っている馬では無い)を手に入れたはいいものの、お互い馬なんぞ扱えないから、結局荷車をクロエの魔法で車に変えてもらい、俺が運転する事となった。
シートに座るとまぁ背が足りないのだが、そこらに転がってる石を使って代用する。さて、無免許運転だ。あ、もちろん元の世界ではした事ないっすよーホントだよ。ホント。
エンジンを掛け、いざ出発!!これから冒険だ!!!




