表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/156

第143話 秘湯! 熱闘! 大死闘!! 8 【エミナの明日も笑顔でお料理頑張るぞ!日記」】 



 【エミナ視点】


 ふう、と私は小さく息を吐き出し、(テーブル)と、それを囲む皆を見るのです。


 お料理もデザートも終わり、お茶の時間です。私はこの最高に楽しい時間をゆっくりと反芻はんすうするのです。


 あの騒動も。



 ◇



 夢のようでした。


 あの瞬間の空気、香、そしてみんなの表情。すべてが今、私の心の中で鮮やかな絵画のように焼き付いているのです。


 私は、この旅の狩人です。そしてシュレンさんと共に旅の台所を預かる「食の守り人」なのです。


 ヴォシュでの食事。


 あの感動。私にとって単なる休憩時間以上の意味を持つのでした。


 あんなにヒヤヒヤして、でも最後には幸せな気持ちで満たされた食事は、旅が始まってから初めてでした。


 食事の途中、クローリディアさんがあんなに激昂して、どうなることかと思ったのです。でも、美味しい美味しいメロンのデザートを口にした瞬間、みんなの顔から険しさが消え、自然と笑みがこぼれていったのです。


 本当に、シュレンさんが言う通りなのです。美味しいものは、どんな騒動(トラブル)も解決してしまう魔法なのです。……そういえば、ルルさんの胸とメロンが並んでいたあの光景、私、一生忘れない気がするのです。ルルさんには内緒ですけれど。


 ルルさんは、相変わらず冷静で、でも今日はメロンのことであんなに赤くなって、本当に可愛らしいのです。ルルさんがここまで取り乱すを見たのは、初めてでした。びっくりしました。あのいつも冷静で的確な判断を下す表情(かお)の下には、私たちと同じように、か弱くて恥じらいのある女の子の心があるのだと再確認しました。


 クローリディア様は、傲慢で強引で、本当に困ったお嬢様です。でも、あんなに目を輝かせてメロンや果実酒ワインの素晴らしさを語る姿を見ると、呪われた運命と貴族の義務に縛られすぎた悲しいお方なのだと、どこか放っておけない気持ちになるのです。


 シュレンさん。いつも優しくて、シュレンさんがいてくれるから、私は料理人として精一杯腕を振るえるのです。シュレンさんは、本当に私の心から頼れる相棒なのです。


 そしてユリオ様。頭が蝦蟇(ガマ)になってしまわれて、今もその姿で一生懸命、蜂蜜のついたメロンを食べていらっしゃいました。


 正直に言うと……私は時々、今のユリオ様のお顔に少しだけたじろいでしまうことがあります。でも、あんなに一生懸命に食べて、みんなを気遣ってくださるユリオ様は、やっぱり誰よりも優しい私の御主君なのです。

 

 みんな、いろんな想いを抱えて、この過酷な大森林を歩いているのです。

だからこそ、これからの旅でも、私はもっと頑張るのです。


 呪いのこと、公国のこと、ルルさんの宿命の旅……そして、囚われの身の、私のお父様……


 誰よりも大事な、たくさんの悩みを抱えているユリオ様。そんなユリオ様を一番近くで支えるのは、主君を慕うこのエミナの役目なのです。


 これからは、このヴォシュ村で見つけた珍しい食材をたくさん荷に詰め込んで、シュレンさんと一緒に、もっともっと美味しい料理を作るのです! どんな時でも、美味しいものをたくさん食べれば、心はきっと強くなれるのです。


 ユリオ様、待っていてくださいなのです。


 今のユリオ様がどんなお姿であっても、私は、お支えするのです! ユリオ様が元気を取り戻すまで、心が折れないように、美味しいものをいっぱいいっぱい食べてもらうのです!


 そのためなら、どんなに深い森の奥地でも、私は狩人として最高の食材を追い求めるのです。料理人として、その命を最高の彩りに変えるのです。


 これからも頑張るのです。私たちの旅が、美味しい笑顔で溢れるものになるように。それが、私の――エミナの誓いなのです。明日からは、もっともっと最高に美味しくて、ユリオ様の心を元気にするお料理を、私が作って差し上げるのです!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ