第14話 奴隷少女を思いのままに御奉仕させるのは、難しいですか?
琴見咲良を恣に蹂躙する。その純潔を散らす。力ずく腕ずくで。
そうしたら、咲良はどうするか。
強い衝撃を受けるだろう。本性剥き出しにしたユリオ=忌木信太朗に、愕然となるだろう。何しろ助けてもらったと思っているんだ。それが一転、天国から地獄へ。
「このケダモノ! 忌木君、あなたってこんな人だったの? 最低! 信じられない!」
そう言って泣き叫ぶだろうか。
うむ。絶望と屈辱で苦痛で泣き叫ぶ琴見咲良。それを見下ろすことができれば……心地よい。グヘ……もともと、〝嫌がる女の子を無理矢理〟というシチュエーションばかりひたすら脳内妄想シュミレーションしていたのだ。
誰もが仰ぎ見るスクールカーストの頂点、誰よりも清楚な潔癖症の琴見咲良を底辺の俺が踏みつけ、踏みにじる。徹底的に。これ以上はない屈辱を味わせるのだ。絶望の淵に突き落とすのだ。
そういうのがしたい。したかった。究極の悪徳外道鬼畜。それを目指してたんだ。グヘヘ、俺は魔王なんだぜ。遥か格下の同級生に蹂躙された咲良さんがどんな顔をするか……想像するだけで、ニヤニヤしてくる。
ユリオは思いを遂げることができる。コト初めは間違いなく大成功に終わる。
で、咲良は、どうするだろうか? その後。
心優しい同級生による自由解放が夢だったと分かり、おとなしく奴隷の境遇に甘んじるだろうか。なんでもユリオの命令を聞くようになるだろうか? ご主人様の玩具になってくれる?
なるか?
咲良が従順なペットに……
いや、そうはなるまい。
琴見咲良である。潔癖症で、正義感が人一倍強い。勉強もスポーツも抜群の優等生。力ずくで従わされるなんて、絶対受け入れようとしないだろう。何があろうと運命に抵抗しようとする。そういう子だ。
抵抗……必死に運命と戦う……
どうするんだろう?
脱走逃亡する? それともユリオに逆襲してくる?
「あなたのような鬼畜は許さない! 女の子をこんな目に合わせる悪魔は、もう私の同級生じゃない! 成敗よ! 正義の刃、受けてみよ! 覚悟!」
ユリオが夢中で咲良の肢体を貪っているときに、隠し持っていた短剣でグサリ、とか。
「いやいや、まさか」
微妙にユリオの頭から、血の気が引く。でも、
「咲良さんなら、やりかねないかな」
簡単に誰かの玩具になるクラス委員長じゃない。異世界へ来て、まだ3ヶ月なのだ。21世紀日本の高校生の感覚をそのまま持ってきている。奴隷の身に落とされたからといって、その境遇に甘んじるつもりはないはずだ。
「咲良さんに、俺が寝首をかかれる? 夢中になって天国を味わっているときに、いきなり刺されて昇天。そういう〝腹上死〟もあるってこと? それはさすがに……対策を考えなきゃ……それに」
咲良は、「奴隷として売られることになって、本当に絶望してたの。もう先の人生なんてないって思ってた」と、話していた。人生に先がない……ユリオは、はっとした。
「そうだ。俺に蹂躙され純潔を散らされたら……汚されたら……絶望と屈辱のあまり、自害しちゃうかもしれない。自害……それもあったんだ」
奴隷である琴見咲良を暴力で支配し捻じ伏せることができる。しかし、奴隷は主人を刺す。自らの命を断つ。奴隷にも対抗策はあるのだ。どんな状況でも、抵抗はできるのだ。ユリオもやっとそこに思い至った。
「なんてこった」
ユリオは、前世の美少女ゲームの世界を基本に考えていた。なんだかんだ美少女とはうまくいくものなのである。いや、いかせることができるものなのである。でも、現実の世界なら。もっとやばいバッドエンドもあり得るのだ。最悪のバッドエンド。
またまた考え始めるユリオ。この展開は、今まで全然考えてなかった。
「どうしよう。俺が咲良に逆襲され殺される? 咲良さんが自害しちゃう? ダメ。それはダメ。そんなバットエンド絶対避けなきゃ。それを防ぐには……」
拷問部屋にいろいろ道具がある。拘束具もいっぱい。おかしなことをしないように、縛っておくか。体を自由にさせなきゃいいんだ。ナイフだ短剣だは扱えないようにする。身動きできない玩具にしちゃえば大丈夫、かな?
咲良さんが泣く泣く自分にご奉仕する姿を想像して興奮していたけど、それはちょっと甘いか。何かあったらされたら大変だ。用心には用心を。でも。きっちり拘束して……身動きできない玩具された咲良さんはどうする? さらなる絶望から、「こんな屈辱の中、もう生きていられない!」と、やっぱり舌を噛んで自害しちゃう? 食べ物飲み物を全て拒否して、衰弱死とかもあり? 手足を拘束しても、それだけじゃダメか。
「うーむ。確かに、あの咲良さんが俺の思いのままになる。すんなりそうはいかないか。すんなりいく方がおかしいよな……ここはちょっとよく考えなきゃ。力ずくであの肢体を愉しむ……それはできる。でも、それで咲良さんが壊れちゃったらーー」
前世で見た昔の時代劇で、悪代官だが悪商人だかが、借金のカタにものにした娘を手篭めしたら、舌を噛まれて死なれてしまい、「やれやれ、これで貸した金が戻ってこなくなりましたねえ」とうそぶくシーンがあった。
咲良さんに自害されたらーー
「20万パナード(約20億円)がパアだ! せっかくブン投げたあの大金が」
たった1度の愉しみのために、20万パナード(約20億円)。また貯めるのは大変だ。一体何年かかるだろう。
「さすがにそれは……まずいな……」
青ざめるユリオ。咲良の死と言う可能性に、震える。
「ダメだ! ……それは絶対にダメだ! 20万パナード(約20億円)をドブに捨てるなんて……いや、金の問題じゃない。この女神は、値の付けられないな運命からの贈り物だ。絶対に、絶対に、失くしてはいけない。手放してはいけない。あの世にもどこにも行かせてはいけない」
琴見咲良。それは一度失くしてしまえば、もういくら金を積もうと買うことはできないのだ。唯一無二の美少女。ユリオにとって、絶対の女神。
「とにかく、今の咲良さんは、俺に奴隷奉仕をするつもりなんて全くない。いきなり手荒なことをして……壊したりしては、死なせたりしては、絶対にいけない。咲良さんに死なれたら、俺は永久に後悔する。この先たとえどんな女が手に入ったって、咲良さんの代わりにはならない。満足することができない。当然だ」
ユリオの内心の煩悶のことなど何も知らずに目の前で、「助けてもらってよかった!」と、にっこりしている琴見咲良。この子をどこにもやってはいけない! 絶対に失ってはいけない!
慄くユリオ。
「今の咲良さんは、俺のことを信用している。ご主人様とではなく、心優しい高校の同級生としてたけど。カンチガイ……とりあえず、そのままにしておいてやろう。いや、そうしなくちゃ。大事な大事な玩具……咲良さんを壊しちゃ大変だ。で、どうすればいいんだ? 完全に咲良さんを俺のモノにして、言うことを聞かせる方法。その前に絶対に自殺させない方法調べなきゃ。異世界じゃ、『完全自殺防止マニュアル』とか売ってないのかな……」
そんなものは、売っているはずもないのだが。
「力ずくでモノにする。やろうと思えばいつでもできる。慌てるな。慌てちゃいけない。何だっけ『金の卵を産む鶏』だっけ。そうだ。死なせちゃいけない。そのことをまず考えるんだ。きっといい方法があるはずだ。いずれ必ず俺にひれ伏させてやる。美味しい果実だ。絶対2度と見つけることのできない、奇跡の果実。でっかくてたわわんとした……じっくりしっかりずっと味わってやらなければいけない。味わいたい。愛でていたい……いきなり貪っちゃいけない……咲良さんは、今、俺のことを信用している。心優しい同級生に、奴隷の身から助けられたと思って。ありえないカンチガイ……だけど、とりあえずのところ、そのままにしておこう。今は、逃げたり、逆襲したり、死んだり、絶対しないはずだ。安心して喜びに浸っている。俺のことを微塵も疑っていない。なんて無邪気な笑顔をしているんだ。ふふ、この勝負、やはり札を握っているのは、この俺だ。魔王ユリオ様だ。俺は必ず勝負に勝つ。お前を恣にする。待っていろよ、咲良よ」
巡らしに巡らし、ねじれにねじれた考え、やっとまとまった。何回転もした挙句、やっぱり、「まずは優しく接しよう。女の子は扱い方が大事」モードに。
ユリオは、一呼吸して、いった。
「咲良さん、しばらくここにいなよ。ここなら安心して住める。僕のこと、信用して。絶対護ってあげるから。これからの事は、ゆっくり相談していこう」
「ありがとう。本当に助かる! 忌木君は救世主だね!」
キラキラしたまばゆい笑顔の琴見咲良。ユリオを信じて疑わない。
純粋無垢な瞳。それは本当に、値の付けられないな美しさだった。
ユリオのドス黒い欲望の炎は滾る。
「ふふ、可愛い咲良さん、至高の女神……前世でも異世界でも、お前ほど美しい女はいない。究極の美女……お前は魔王の贄なのだ。お前こそが贄にふさわしいのだ。頭のてっぺんからつま先まで、お前は俺のものだ。どこにも逃げられない。逃さない。絶対にお前を、この魔王がモノにしてやる。心も肉体も。心優しい汚れなきクラス委員長を蹂躙。たとえ世界が目を背けようとも、俺はやる。2度目の人生、それが俺の生きる意味だ」




