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異界転生(修正版)  作者: 七変化
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第30話

早朝、朝食の仕度が出来たらしくリズが呼びに来た。


昨夜から家の警備をどう強化しようかと考えていたせいで殆んど寝てなかったし、食事の前に濃い目の紅茶を頼み飲んで頭をスッキリさせる。


さて、今日は大改造ビフォーアフターだ!

っても見えないレベルの改造だけど。



「リズは朝食が済んだら昨日言ったようにハンソン商会に行ってくれ。それと、ノリスとターニャは家と隣家の境界線に適当に棒を立てて、目印になるよう糸を張っておいてくれ。」


「「はい!」」


「畏まりました。」


「あ、後リリィは宿に行ってキースとニアに今日は急用が出来たから夕方、家に来てくれって伝言を頼む。二人が判らなかったらマスターに聞くように。」


「はい。」


「後の皆は片付けと掃除をして家の中で待機!俺も今から出掛ける。」


「「「はい。ご主人様。」」」


言い忘れ無いな?たぶん…。


朝食の前に役割分担を済ませると、残ってた紅茶を一気に飲み干す。


そのまま一緒に食事を始めたが今日の構想を練りながら食べたせいで料理担当の三人から不安そうな目でみられた。


それに途中で気付き、これ以上ネガティブ思考になられても困るので、料理は充分美味しいと褒めて俺が先に食べ終わっても気にせず自分達はしっかり食べるように指示して家を出る。



外は朝の涼しい空気と白い日差しが眩しい。


朝市は開いてるだろうけど、店舗は微妙な時間。

まぁ、歩いて行けば開くだろうし良いか。


そんな事を考えながらとりあえず魔道具屋に向う。



相変わらずな人混みは避けて市場の一本隣の路地を通って行く途中、ギルドでも見かけた事のある冒険者達数人とすれ違った。



「いらっさい。今日は何をお求めで?」


店の前で丁度箒がけしていたお姉さんが、近付く俺に気付き和かな笑顔で話しかけてくる。



「あ、えーと…。家の防犯関係の魔道具って何かありますか?」


「防犯?」


「えぇ、最近貴族街の方に不審者が出るらしくて……。」


「あぁ、何だアンタ護衛の人かい。」


「えっ、いやまぁ…ははっ。」


防犯と口にした途端、不審そうな目を向けていたお姉さんは勘違いしながら納得し、俺も笑って誤魔化した。


「まぁ、貴族様が使う様な道具となるとー。あっ!アレがいいかな?ちょっとこっち来て。」


顎に指を当てながらしなをつくり、ちょっと考え事をしていたお姉さんは急に何か思い出したらしく、俺の手を引き店の奥へと進んで行った。


そこにあったのはいかにもってデザインの魔法の杖。

それを手にするとお姉さん、得意そうに説明を始めた。



「これは帝国の法術士が造った物の模造品なんだけね、杖を中心に「結界」って呼ばれる物理的に手出し出来ない不可視の壁を創り出す事が出来る魔道具でさー。これを貴重品の近付くに置いてこの魔晶に魔力を込めれば術式発動!解除するにはその魔晶以上の魔力を打ち込むか本人以外は無理って優れものだよ。…ただその分値は張るけどね。」


おぉー、そんな便利な魔道具があんのか!


お姉さんの説明に感心しながら値段も一応聞いてみると、なんと20シリングもしやがった。


た…高っ!



「あー、ちょっと家人と相談してきます。」


「うん!今なら上質の天然魔晶がつけれるからって言っといてー。」


そういいなら笑顔で手を振るお姉さんに見送られながら店を後にする。


うーん、お姉さんにはちょっと悪いけど一本じゃ守りきれないんだよねー。


いい笑顔だったお姉さんにちょっと罪悪感を感じながら今度は武器屋に行ってみる。


と、こっちはいかにもってって無愛想な髭モジャなおっさんが店の前で煙草をふかしていた。


そのおっさんの横に置かれた樽の中に、傘みたいに適当にさしてある杖の束を見つけ値段を聞いてみる。



「あのー、これって幾ら?」


「んんー?そりゃ調整前の杖だから10本で1シリングってとこだな。」


調整前…って何?と思いつつよく見てみるると杖の頭部に魔晶の代わりに普通の石が嵌めてあった。


んー、この石の代わりに魔晶でも嵌めて練習にでも使う量産品なのかな?


軽く振って両手で持ってシナリ具合を確認しつつそんな事を考える。



「お客さん魔術士かい?見たとこまだ駆け出しみたいだしこいつは練習するにはうってつけだぜ。今なら好きな魔石つけて一本たったの3シリングにまけとくがどうだい?」


「うーん。」


「何だ?もっと上質なのが良いなら奥にあるからちょっと待ってな。」


そういいながら奥に行ってすぐに戻ってきたおっさんは若干笑みを浮かべ、なにやら文字っぽいものが彫り込まれた如何にもファンタジー的な古い杖を手にしていた。



「魔術は杖の精度で決まるからこっちにしとくかい?」


「いや~まだまだ駆け出しだから、道具に振り回されそうだし、安いのにしとくよ。」


とりあえず、笑顔でごまかし心の中でツッコんどく。

杖の精度って何だよ?普通は魔力とか言わないか?


そう答えた途端、無愛想そうな表情に戻ったオッサンに樽の一山幾らの杖を適当に30本買ってお勧め杖と同じ金額を払い店を出る。


さて…次は……。


まとめ買いした杖はバックに連結しておいた木箱に放り込み、嵌っていた石の代わりを買いにアクセサリー屋を目指して人混みにうんざりしながら市場の中ほどまで何とか歩いていく。



「すいませ~ん。魔晶に似た石ってありませんか?」




………無事目的の物をゲットして家路に向っているとハンソン商会の馬車を見つけたので、小走りで駆け寄って御者にジョージアさんは乗っているのか聞くと中から髭男爵が顔を出した。



「これはこれはユージ様。今から自宅へ向かおうとしていたのですが、よろしければご一緒にどうですか?」


二つ返事で馬車に同乗させてもらう事にすると、バックからさっき買った杖と偽魔晶を取り出し、杖の石を付け替えながら話を切り出す。



「俺が出張に行っている間、頼んでた護衛なんだが誰だったか判る?」


「もちろんですが、何かございましたか?」


作業をしながら話を続け、以前頼んだ護衛がメイド隊に手を出そうとした事を伝えると髭男爵はやや困惑しながら表情を曇らせた。



「ユージ様の奴隷に対する考えはわかるのですが、万人がその思想に賛同してくれるかと言えば残念ながら難しいでしょうね。」


そう言葉を選びながら答える髭男爵。

多分、彼の言ってる事の方が正論で俺の怒る理由の方がこの世界ではおかしいのは理解してる。


だが、理解したからといって納得するかどうかってのは別問題だっ!


「ジョージアの言いたい事は俺もそれなりに理解してるつめりだ。だから俺は違犯したとかなんとか、いちゃもんを言うつもりはない。護衛に来たのが誰だったのか知りたいだけだ。」


「……判りました。商店にまだ契約書が残ってますので戻り次第すぐに確認しお教えします。」



「なら、早急に頼む。この話はこれで終り!んで、今日の用事なんだが………。」


馬車に乗せてもらったお陰でかなり早く家につき、まだ外に居たノリスとターニャに頼んだ糸張りが済んだのか聞いて、髭男爵と一緒に境界線を出て無いか確認をしながら軽く一周歩いて回る。


確認が済むと家の中で髭男爵に待ってて貰おうとしたが、俺が今から何をするのか興味があるらしく、そのまま見ている言い出し邪魔にならない入口付近に立つ。


俺はターニャとノリス、髭男爵の三人に見守られながらバックから嵌め変え済みの杖を取り出し、地面に半分ほど差し込みながら等間隔になるように一周して、代わりに糸張りをしていた棒を抜いて行く。


家の外側の四隅にも同じ様に差して四本程余った杖を馬小屋にしまうと、また馬車が来た。



「ユージ、何かあったのか?人手が要るなら手伝うぞ。」


商会の横に馬車を止め御者台から飛び降りたニアが小走りでやって来ながら話しかけ、キースは馬車を降りて初めて見る俺の家を見上げ呆然としていた。



「夕方でもかまわなかったのに。」


「お前のあ、相棒としては気になってな。」


何故か照れてるニア?

何か体調悪いのか?


まぁ、一応下準備は済んだので皆でお茶にする事にし呆けて固まってるキースの背中をニアと二人で押しながら家に入る。



「「「「「「「お帰りなさいませご主人様。いらっしゃいませお客様。」」」」」」」


ホールに入った所で俺達を出迎え挨拶してくるメイド隊と俺の顔を交互に見ながら何故かキースが口をパクパクさせる。


お前はコイか?


そのまま食堂に行き、お茶の用意を頼んでニアとキースに出張中の出来事を説明して今回の家の改造について話す。


今ここに居る人間を基本出入り自由にする魔法をかけるために集まってもらった事にして、家の中には俺かメイド隊が認めない限り入れない様に魔法に細工をするからと説明。


杖は魔法の効果を増幅させる為だとごまかす。


すると、髭男爵と二人は固まったまま不思議そうな表情で俺を凝視してきた。



「ん?今のじゃ説明不足だった?」


「い、いえ、そう言う訳では無いのですが……何とか言うか…。」


「そんな法術は聞いた事も無いが可能なのか?」


「俺、これからも此処に来ていいの?」


………キースはほっとこう。


「前にも言ったけど、俺の国では割と普通の魔法なんだ。」


もう、面倒臭いからこれでごり押ししていこっ。



「で、どんな魔法なんですか?」


「え?う~ん、『アルソック』?」


防犯と言えばセコムかアルソックくらいしか思いつかなかったので、適当に答える。


そして未知の法術を是非見たいと髭男爵とニアに言われ、仕方なく前にやった応用で杖を外周にした巨大魔法陣を空中に浮かび上がらせ、聞いてきた「結界」をイメージしつつ『アルソック』と唱えると魔法陣が一瞬だけ眩くひかりそのまま地中に消えていった。


一応上手くいったか確認の為に一度キースを不許可にして外から家の扉を開けてもらうと、必死になってドアノブを掴もうとするが掴めないみたいだ。


それを見ていたメイド隊にもこれが「結界」だからと説明したら全員不思議そうな顔をしながらも納得してくれた。


まぁ、これで留守中の問題は解消だな。

メイド隊も一安心だし、俺も悩み一つが減ってよかった、よかった。

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