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異界転生(修正版)  作者: 七変化
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第17話

依頼書


我が街の寺院から今年も高位に昇格される助祭士様が一人。来月最初の週に帝国との国境近くに建つ大寺院へと赴く時期になりました。


この行事はその年にもっとも信仰深いと認定された商会が、有能な護衛を選出するという名誉ある任を受けるのですが、今年は幸運にも我が商会がその任を承る事が出来ました。


つきましては我が商会として今後のより円滑な取引の為にも、知り得る限り最も信任の置ける者としてユージ様を推薦したいのですが、一度依頼商会にお越しいただき内容についてご相談出来ないでしょうか?

お互いにとって有益な契約となる事を約束させていただきます。


ハンソン商会

代表、ジョージア・ハンソン




ーー髭男爵はジョージアって言うの?


何と無く、珈琲のCMを思い出した。


「どうなさいます?」


「ん、ん~~っ、護衛って言われても何すりゃいいのか判らないし、手紙に書かれてたから明日にでも直接商会に行って詳しい話を聞いてくるよ。」


「かしこまりました。」


「それと、実は俺…字が読めないんだ。だから今度から来た手紙とかもリズが読んでくれない?」


「かしこまりました。」


深々と事務的に頭を下げる姿を見てると、クーデレのデレがいつになるのか若干心配になってきたが。


コンコンッ


「ご主人様、夕飯の準備が整いました。」


そんな不安を他所に一区切りついた所に扉の向こうからノリスの声が響き、スグに行くと伝えてリズと一緒に一階に降りる。


今日も肉料理がメインだが、一人分しか食事が用意されてない。しかもメイド隊の面々は何故かテーブルの奥に待機してた。


え?夕飯は俺一人で食べるの?

なんでみんな並んでるの?

みんなの食事は何処?


などなど疑問ばかり頭に浮かんだが、リリィに促されて半ば強制的に椅子に座る。


その左右からワインを注いだり、料理を切り分け小皿に盛って目の前に置かれたり、用が無ければ後ろでひっそりと待機しながら俺を見つめるメイド隊…。


ーーこれなんて羞恥プレイ?


大きなテーブルにディナーコースばりに食事が並べられ後ろからは14の瞳に見守られ、音をたてるのも阻まれる程に重苦しい空気がまわりを包んでいる。


「な、なぁ、君達の食事は?」


「はい、ご主人様の後にいただきます。」


「んと、この料理美味しいけど今日の担当は誰?」


「はい。サミアです。」


一歩前に出てきた緑のショートカットにクリクリとした瞳が特徴的なメイドがペコリとお辞儀をし、またスグに列に戻る。


お、重い…重過ぎる……

とても楽しく食事する様な雰囲気じゃね~

沈黙にも耐えられん…


ーーでも後は質問しようにも残り二人の名前を聞く位しか思い浮かばないし……うーん、どうしよう?


結局意味不明な羞恥プレイの重圧に耐え切れなかった俺は、何とも言えない雰囲気のせいで味も良く判らない料理を無理矢理詰め込み、夕飯を済ませて今日も外出しようかと悩む。


ーーでも、連日出掛けてたらこっちから彼女達を拒否してると思われるかも知れないよなぁ。


暫し悩んだ結果、妥協案としてちょっとだけ外に出て夕涼みに行こうと決め、皆の食事が済んだら声かけてくれと告げてみる。


「「「はい!判りました、ご主人様!」」」


7人がシンクロしたかの様な返事を背に、自宅の筈なのにと何故か逃げる様に外に出て思いっ切り深呼吸。


ーーはぁ、なんだかな~。


外に出たからといって特にする事がある訳でも無く、庭を散策しながら馬小屋の横にあった薪割り用の切株に腰掛け、夜空を見上げる。


視界一杯に広がるのはプラネタリウムでしか見た事の無いような満天の星空。


本当に星が落ちて来そうな程、輝いてる。


ーーはぁ…。


そんな感動的な夜空さえ俺の心を癒してはくれず、立ち上がろうと膝に両手をついた瞬間、街に続く通りの奥から何かの気配を感じた。


「誰か…いるのか?」


星明かりに照らされた夜の道奥から感じた気配に向け声をかけ、しばらく目線だけ送って様子をみる。……が、気配はいつの間にか霧散していた。


ーーひょっとして犬か猫だったかな?


不審者ならと念の為に探知もして周囲を探ってみたが、これといった反応も無く緊張を解いて溜息を吐きながら足元を見た瞬間、目線の先に夜の闇より黒いブーツの爪先が見えた。


「んー、昼間来たっていう人かな?」


それにさして驚かず、俯いたまま面倒臭そうに声を出すと鈴の音の様な声とはこんな感じだろうか?と思えるくらい硬質で凛とした笑い声が頭上から降り注いだ。


「ほほほっ、なかなか肝の据わった男じゃな。」


俺はその声に顔を上げたが相手は目深にフードを被っており、夜の闇と溶け合って表情までは見えない。


「誰だか知らないけど、俺に何か用?」


「ほほほっ、用と言う程のものでは無いが、どんな男かとしっかり顔が見たくてのぅ。ちぃと寄っただけじゃ。」


ーーん~?なんだか話が見えないんだけど。


「ーーで、こんな顔だけど見て満足した?」


「そうじゃの~、アヤツもたまには面白い事をしてくれる。くくくっ。」


「アヤツ?」


「アヤツはアヤツじゃ、わらわはアヤツの身内と古くからの付き合いでな、久々に面白い話を聞かされてオヌシの事を見ておったのじゃ。」


なにそれこわい。

ストーカーですか?


「まぁ、緊張せずとも敵ではない。ユージ殿。」


「へぇ、名前まで知ってるんだ。で、あんたは?」


何がおかしかったのか、女はまたコロコロと笑い出した。


「久しゅう名前など聞かれ事なぞ無かったゆえ、忘れてしもうておったわ。」


ーーまた名無しですか?

ーーメイド隊といい、この不審女性といい、名前が無いのがこの世界のデフォなのか?


女はひとしきり笑うと満足したのか、今度はやや考えるそぶりを見せた。


「ふむ、名前が無いと不便だと言うのであれば、オヌシがつけてみるかぇ?」


ーーまた名付け?これって何かのフラグなの?

ーーそれに松葉杖ちゃんといいなんで他人任せなんだよ…。


一向に真意の見えてこないやり取りに、ややウンザリしながら適当に名前を決める。


「んじゃ、リリアで!」


何とは無く頭に浮かんだ名をそのまま告げてみたが、それを聞いた彼女は暫く硬直したように身動ぎ一つせずジッと俺を凝視していたが、それも数瞬の事ですぐに何かを納得したように頷いた。


「ふむ、ならばわらわは今日から『リリア』じゃ。初めて出会ったばかりの男から名を貰うとは、いや愉快愉快。」


自分から言い出した事なのに余程可笑しかったのか、コロコロと笑いながら身を翻し街の方へ続く道を歩きだしたが、途中で夜の闇と同化したみたいに後ろ姿が見えなくなってしまった。


「……何だったんだ?今の人は?」


探知に関しては調子が悪かったの一言で説明がつくが、それを差し引いても足音どころか気配すら感じさせず唐突に現れ忽然と消えていった謎の女性に対して深い溜息をついたところで玄関が開く音が聞こえ、振り向いてみるとリズの姿が見えた。


ーーそろそろ、戻るか。


玄関からは死角になる切株から立ち上がり、リズの向かって片手を上げながら近付き食堂に戻ってみると、全員で分担しながら洗い物やら後片付けをしていたので、冷たいお茶を飲みながらそれらが終わるの見守る。


「あー、コホン。みんなに改めて言っておきたい事があるんだけど、食事は俺が居る時は必ず俺と一緒に全員で取る事!居ない時は気にせずしっかり食べていいから!健康管理は大切だから好き嫌いはしないようにね。」


「「「はい。」」」


何て言うか、どうにも命令口調でお願いしないと話を聞いてくれなさそうなところが精神的にキツい。


ーー命令じゃないんだからさ〜、もう少し楽にしようよ~。


内心、ややウンザリとしながらも片付けの済んだメイド隊それだけ告げ後は寝るだけかと考えた瞬間、ロンドの店に癒されに行こうかなんて不謹慎な思いが浮かんできた。


ーーうん!この後は特に予定も無かったし、普段ならリアルタイムで深夜アニメを観てた俺にこの時間から寝るなんて無理!

ーーだけどメイド隊はしっかり休息を取らせなくっちゃいけないよね〜♪


ピコーンと思い付いた誘惑に最もらしい言い訳も付属し、本能が理性を三角絞でがっつり絞め落とした瞬間だった。


「あ〜、うん。俺ちょっと所用を思い出したんで今から出掛けるよ。みんなはきちんと風呂に入って、しっかり体を洗ってから寝る事!以上、解散。」


「「「はい。いってらっしゃいませ、ご主人様。」」」


素直な挨拶にちょこっと罪悪感を感じるが、俺には癒しが必要なんだ~!

おっぱいが、おっぱいが俺を待ってるんだーっ!


と、自己防衛の塊みたいな言い訳を心の中で叫びつつ玄関を出て、さっきの女性みたいなのを警戒して防犯用に今夜も結界を張っておく。


ーーこれも何か楽な方法考え無いと夜に出るたびってのは不便だよなー。


そんな事を二割、今夜はおっぱいがいっぱいだ~っ♪なんて事を八割考えながら街に近付くにつれ顔が自然とにやけてしまう。


ーー今夜はロンドの店で思う存分満喫してやるぜ~っ!


鼻息も荒く娼館通りをロンドの店まで一直線!

受付のおばさんに早速この前の巨乳ちゃんを指名する。


え?今日は無理なの?

じゃあ、他でもいいから胸の大きな子をお任せでっ!


巨乳ちゃんを舐めたり揉んだりパフパフしたりと、来る途中に色々妄想してたので無理だと判ると若干テンションが下がる。


そして今日も案内された部屋は……やっぱり臭くて薄汚れてました。


先に浄化しようか悩んだけどおんにゃにょ子も一緒の方が二度手間にならないしと思い直し、換気をしつつ待機。


「こんばんは~♪いらっしゃ~い♪」


部屋にやって来たのはなんて言うか、青いフェリ●ア?


大きな猫耳に膝から下はブーツの様にフサフサと体毛で覆われ、にこやかな笑顔にまだ少し幼さの残る人懐っこそうな丸い目が印象的だ。


キタコレーー!


ニアやメイア以上にリアルな獣人ちゃんの登場に俺のテンションは急上昇!


「あ、今日はよろしくね。ちょっと何かつまみながらお話したいんだけど頼めるかな?」


そう言って3シリングを手渡し、部屋を出ていく後ろ姿をガン見&尻尾チェック。


いや~俺の嫁達(PC内部)にも獣人ちゃんは居たが、まさかこんな所であんな事やこんな事が実践出来るとは………。


ファンタジーGJ!


俺はすぐに戻って来て料理とワインを両手に持った獣人ちゃんの為に、扉を開けてあげ並べられた料理からお互いの口に果物を入れたり、雑談したりと身を寄せ合ってキャッキャウフフな恋人雰囲気を存分に楽しみながらも足裏の肉球もチェック!


俺は初めからクライマックスだぜっ!


俺のジョニーが痛いほど自己主張するが、まずは耳からだ!


そっと猫耳を包み込む様に優しく掴む…。







………なんだ…とっ!


この手の平に広がる程良い温かさ。

柔らかいモフモフ感。

ヤバい手の平が気持ち良すぎて離せないっ。


少し恥ずかしそうに顔を赤らめ上目遣いに見てくる姿にたまらず、ベットに押し倒す。尻尾で撫でられた太股がビリビリと感じる。


うぉおおおーー!やってやる!

今夜はヤッてやるぜぇぇええええーーーー!!!







ーーその夜はかなり頑張っちゃいました。


あ~太陽が眩しい。


窓の隙間から射す朝日がちょうど寝てた俺の目を直撃して目覚め、猫耳ちゃんを見てみると俺の身体を抱きまくら代わりにすやすやと寝息を立てていたので、何と無く起こすのも悪い気がして微妙に体位をずらしながら抜け出し、そっと頬にキスしてから後始末に浄化をもう一回、部屋を出た。


通路にでると途中で巨乳ちゃんと出会い昨日のお詫びと濃厚なキスを受け、次は絶対空けておくからと耳元で囁かれそのまま二回戦突入したくなる衝動を抑えて店をでる。


そして足早に路地を進み、前回と同じ角を曲がったところでじわじわと賢者タイム発動!


あ~昨日はちょ〜っと、マニアック過ぎたよな。肉球は最高だったけどさー。さりげなく帰るんじゃ無くて、さりげなく(笑)が正しいだろ?俺っ!

しかもなんだよあの通路のキス、惚れてまうやろ~!


ガンガンと耳まで真っ赤にしながら四つん這いで石畳を叩く姿はきっと滑稽に周りからは見られてただろうが、それを気にする余裕は今の俺には無いっ!





こうしてーー

今日も新たな黒歴史のページが一枚、増えた。

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