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神罰デバフ100連発 vs 天才ゲーマーのハメ技100選。無能運営の嫌がらせを全て最強バフに変えて世界を完全攻略する  作者: ヨグー
第1章:サバイバル・初期エリア編

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第9話:回復がダメージなら、それはただの最強の攻撃呪文だ

 卵嚢らんのうからドロップした超希少素材をポケットに仕舞い、次のエリアへと足を進めた、まさにその時だった。


 ──ゴォォォ……ッ!


 天から生暖かい、いかにも聖なる雰囲気の光が降り注ぎ、俺──切磋拓磨せっさ たくまの身体を包み込んだ。

 だが、その光が皮膚に触れた瞬間、ジリジリと肉が焼けるような激痛と、内臓を裏返されるようなおぞましい拒絶反応が全身を駆け抜けた。


「ぐ、あ……っ!? ガハッ……!」


 たまらず膝を突き、激しく咳き込む。

 ステータス画面に、血のような赤色で新たな神罰のログが上書きされた。


【警告:神罰第007号『反転する慈愛』が発動しました】

【効果:本個体に適用されるあらゆる『回復効果(ポーション、回復魔法、自然治癒)』のベクトルが完全反転します。効果量に応じた確定の『神聖属性ダメージ』へと変換され、肉体を内側から破壊します】


「ぎゃーーはははは! これぞ逃れられぬ絶望よ!」

 天界のモニターの向こうで、クソジジイ神が腹を抱えて大爆笑している。

「この世界で傷を癒やす術は全て失われた! そればかりか、そのエリアの最奥には、周囲に無差別に癒やしの波動を振りまく聖なる魔物が守護しておる! 貴様にとっては一歩近づくだけで肉体が消し飛ぶ地獄の領域! さあ、どうする下等生物ぅ!」


 神の言う通り、ゲームにおいて『回復反転』は、ゾンビなどの不死者アンデッド系モンスターにのみ適用されるお約束の弱点仕様だ。それを生身のプレイヤーに押し付けるのは、規約違反レベルのクソ運営の嫌がらせである。


 だが、俺は口から漏れる煙を冷ややかに見つめながら、システムの解除条件を即座にスキャンした。


【神罰第007号・解除条件:本効果が適用されている状態で、自身に反転適用された『回復ダメージ』を利用し、敵個体を1匹以上討伐する】


「……ハッ。相変わらずガバガバな判定基準だな、クソジジイ」


 普通のプレイヤーなら、回復が使えない恐怖で立ちすくむだろう。

 しかし、俺の脳内は、この致命的なクソ仕様をどう『悪用』してやるかで完全に満たされていた。


「おいクソ運営。お前、RPGの基本システム(ロジック)を理解してねえだろ。回復がダメージに反転するってことは、俺が持ってるポーションや回復魔法は、防御力無視の『必中・確定ダメージの壊れ攻撃呪文』に化けたってことなんだよ」


 俺は『瞬歩』を使い、クソ神が言っていたエリアの最奥──『聖泉の守護地』へと一気に踏み込んだ。


そこにいたのは、美しい純白の毛並みを持った巨大な鹿の魔物『聖骸鹿せいがいしか』。

この骸森において、近づく者を無差別に癒やす聖なる結界を張る、極めて特異な固有種レアモンスターだ。


「シャアァァァッ!」

突如として現れた俺を排除すべく、聖骸鹿の角が輝き、周囲一帯に濃密な『広域ヒール(光の波動)』が優しく放たれた。


普通の人間なら傷が癒える光。だが、今の俺が浴びれば、十回は確実に即死する即死兵器の波動。


「──以前手に入れた『絶対無敵』、発動」


キィン……!


俺は光の波動が肉体に触れるジャストのタイミングで、無敵スキルを展開した。

あらゆるダメージを完全に無効化する一瞬のフレーム。聖なる光が俺の身体をすり抜け、ダメージ判定が完全にシャットアウトされる。


そして俺は、無敵時間を利用して聖骸鹿の目の前まで肉薄すると、アイテムボックスから天界での初期支給品だった『最高級ハイポーション』の瓶を3本、一一に一気に取り出した。


「お前へのプレゼント(特大デバフ)だ、受け取れ」


俺は『魔力操作』で手のひらに衝撃を込め、3本のポーション瓶を、聖骸鹿の開いた口の奥へと強引にブチ込み、そのまま粉砕した。


ガキィンッ!


「ブルルゥッ!?」

突如として口内に大量の、本来なら自らを癒やすはずの聖水ポーションを流し込まれた聖骸鹿が、困惑の声を上げる。


だが、世界のシステムは、俺の肉体に適用されている『回復反転』の呪い、そしてログにある『自身に適用された回復ダメージを利用し』という条件を冷徹に処理し始めていた。


そう、この世界のシステムは、拓磨が『使用トリガー』した回復効果を、一律で「反転ダメージ」のプログラムに変換して出力する。それが、たとえ敵の体内で発動したものであっても。


ドグォォォォンッ!!!!!


「ガ、アァァァァーーーーッ!?」


聖骸鹿の体内から、凄まじい黄金の爆鳴が轟いた。

内側から肉体を激しく破壊する、防御力無視の確定神聖ダメージ。

本来なら数万のHPを瞬時に全回復させる最高級ポーション3本分のエネルギーが、そのまま『最強の内部爆破呪文』へと反転し、聖骸鹿の巨体を内側から木っ端微塵に吹き飛ばした。


ドササササッ……!


光の粒子となって消え去るエリアボスの残骸。それと同時に、脳内に神聖なシステムエラー音が鳴り響いた。


【聖骸鹿の討伐を確認しました】

【条件達成:神罰第007号『反転する慈愛』が完全解除されました】

【個体名:切磋拓磨の魂に、神格の剥ぎ取り(逆接続)を実行します】

【解除ボーナス:常時アクティブスキル『反転魔導(初級)』を獲得しました】


全身を焼いていた生暖かい不快な光が霧散し、清々しい空気の感覚が戻ってくる。

さらに、新たに手に入れたスキルは、今後の戦闘において、敵からの属性攻撃やデバフのベクトルを任意で反転させて送り返すことができる、最高に凶悪なカウンターの起点となるものだった。


【適用中の神罰デバフ:残り93個】


静まり返った聖泉のなか、天界のモニターの向こうから、「な、ななな……何が起きたぁぁぁ!? なぜ回復アイテムでおれのボスがワンパンされるのだ……!? 反転の呪い(デバフ)を、そのまま最大火力の攻撃手段バフに変換したというのか……あ、頭がおかしくなるぅぅぅ!!」という、クソジジイ神の完全にプライドが崩壊した絶叫が響き渡っていた。


俺は新スキル『反転魔導』の紋章を右手に浮かべながら、天を冷酷に見上げて言い放った。


「システム(仕様)のバグを突くのはゲーマーの基本だろ、無能運営。──さあ、お前の用意した嫌がらせ、全部俺の武器にしてやるよ。次、持ってこい」


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