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神罰デバフ100連発 vs 天才ゲーマーのハメ技100選。無能運営の嫌がらせを全て最強バフに変えて世界を完全攻略する  作者: ヨグー
第1章:サバイバル・初期エリア編

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8/11

第8話:ドロップ率が最低なら、判定回数(試行回数)で殴るだけだ

 無敵スキルの感覚を馴染ませながら次のエリアへと進もうとした、その時だった。


 ──チリーン……。


 脳裏に、錆びついた古い鉄の鈴が鳴るような、ひどく不快な音が響き渡った。

 同時に、全身が薄暗い灰色のモヤのようなものに包まれ、世界から完全に拒絶されたかのような酷い孤独感が俺──切磋拓磨せっさ たくまの身を包む。


【警告:神罰第006号『見捨てられた者の不運』が発動しました】

【効果:本個体の幸運値がマイナスに固定されます。適用中、魔物討伐時の獲得経験値が『一万分の一』に激減し、アイテムのドロップ率はシステム上の最低値である『0・001%』に固定されます】


「がーーはははは! これぞ究極の詰み仕様ロックだ下等生物!」

 天界のモニターの向こうで、クソジジイ神がこれまでの屈辱を晴らすかのように大爆笑している。

「どんなに知略を尽くして魔物をハメ殺そうが、経験値は手に入らず、武器も素材も一切ドロップせん! レベル1の初期装備のまま、いずれジリ貧になってなぶり殺される未来しか残されていないのだ! くははは!」


 神の言う通り、ゲームにおいて『経験値カット』と『ドロップ率実質ゼロ』は、プレイヤーの努力を全て無に帰す最も邪悪なクソ仕様だ。


 だが、俺は自分のステータスに上書きされた灰色のモヤを冷ややかに見つめ、システムの解除条件を即座に読み取った。


【神罰第006号・解除条件:本効果が適用されている状態で、魔物から『0・001%』の確率でドロップする超希少素材を1つ以上入手する】


「……なるほど。宝くじの一等を引き当ててみせろってか」


 普通のプレイヤーなら、ここで心が折れてキャラデリートを選ぶだろう。

 しかし、俺の唇は、今日一番の冷徹な三日月形に歪んでいた。


「おいクソ運営。お前、本当に確率論の基礎を学んだことあんのか? ドロップ率が『0・001%』に固定されてるなら──その判定を、1秒間に数万回同時に発生させれば、ただの『確定ドロップ』に変えられるんだよ」


 俺は周囲を見渡した。

 ここ『見捨てられた毒蜘蛛の骸森』の最奥に近づくにつれ、霧は濃くなり、ある特異な環境オブジェクトが目に入るようになっていた。


 それは、大樹の枝から無数にぶら下がっている、直径数メートルもの巨大な『骸蜘蛛の卵嚢らんのう』だ。


 一つの卵嚢の中には、親指ほどの大きさの最弱モンスター『孵り立ての骸子蜘蛛むくろこぐも』が、数万から数十万匹という単位でぎっしりと詰まっている。

 一匹あたりの攻撃力は皆無に等しいが、触れれば一斉に孵化してプレイヤーを呑み込む、初心者お断りの侵入不可オブジェクト。


「子蜘蛛のドロップ率は一律で最低値固定。だが、あいつらはHPがたったの『1』しかねえ。……要するに、範囲攻撃(広域処理)の絶好のカモだわ」


 俺は卵嚢の真下に立ち、体内の魔力を練り上げた。

 先ほど解放した『魔力操作(初級)』によって、手のひらに圧縮した魔力の波動を凝縮していく。魔法としての形は成していなくても、純粋な衝撃波としての指向性を持たせることは今の俺なら容易だ。


 狙うのは、頭上に並ぶ十数個の巨大な卵嚢。


「──吹き飛べ」


 ドンッ!!


 俺が放った魔力の衝撃波が、頭上の卵嚢を一斉に破裂させた。

 破片とともに、空を覆い尽くさんばかりの数万、いや数十万匹の骸子蜘蛛が、黒い雨となって俺の頭上へと降り注いでくる。


「ひぎゃあああ!? 何をしている、自殺か!?」

 天界のクソ神が悲鳴のような声を上げる。


「自殺? これはな、ネトゲの基本テクニック──『範囲乱獲(まとめ狩り)』だよ!」


 俺は降り注ぐ子蜘蛛の群れのド真ん中で、両手を広げた。

 そして、体に降りかかる子蜘蛛たちを、以前手に入れた『瞬歩』による超高速の摩擦の衝撃と、肉体表面に展開した『魔力操作』の衝撃波で、触れた瞬間に一斉に圧殺デリートし始めた。


 プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチッ!!!!!


 バグったミシンのような凄まじい連続破裂音が森に響き渡る。

 1秒間に数千匹の命が消え去り、システムログが恐ろしい速度でスクロールしていく。


【骸子蜘蛛を討伐:経験値+0・0001】

【骸子蜘蛛を討伐:経験値+0・0001】

【ドロップ判定:失敗】

【ドロップ判定:失敗】


 ドロップ率0・001%。それは確率に直せば『十万分の一』だ。

 ならば、十万匹を同時に、一瞬で処理すればどうなるか。それはもはや確率ではなく、ただの『一回分の確定枠』としての処理に格下げされる。


 前世のブラック企業で、数百万件の膨大なゴミデータをマクロ(自動処理)で一瞬でクレンジング(一括消去)してきた俺だ。この程度の物量によるサーバー負荷(処理数)の力押しなんて、基本中の基本だ。


 数秒後、足元が子蜘蛛の光の粒子で完全に埋め尽くされた、その瞬間──。


 ──ピコーン!


 脳内に、これまでの錆びついた音とは違う、神聖なシステムエラー音が鳴り響いた。


【ドロップ判定:成功】

【超希少素材『骸蜘蛛の魔王眼(ドロップ率0・001%)』を入手しました】

【条件達成:神罰第006号『見捨てられた者の不運』が完全解除されました】

【個体名:切磋拓磨の魂に、神格の剥ぎ取り(逆接続)を実行します】

【解除ボーナス:常時パッシブスキル『幸運(初級)』を獲得しました】


 全身を覆っていた灰色の不快なモヤが、ガラスのようにパリンと弾け飛んで消滅した。

 同時に、世界からの拒絶感が消え去り、それどころか周囲の空気の流れすらも俺に味方するような、言い知れぬ全能感が体中を満たしていく。


【適用中の神罰デバフ:残り94個】


 死体すら残さず消え去った静寂のなか、天界のモニターの向こうから、「そ、そんな……馬鹿な……っ! 十万分の一の確率を……力技(まとめ狩り)で一瞬で突破しただと……!? あ、確率の概念が壊れる、我がシステムが……あばばばばっ!!」という、クソジジイ神の完全に脳のキャパシティを超えた狂い声が響き渡ってきた。


 俺は手の中に転がり込んできた、妖しく紫に輝く小さな宝石『魔王眼』を弄びながら、天を冷酷に見上げて言い放った。


「乱数(確率)に頼ってドヤ顔してんじゃねえよ、無能運営。試行回数を増やせば、どんな低確率(クソ仕様)だって100%の確定イベントになるんだわ。──さあ、ゲーム(デバッグ)を続けようか」


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