ごめん
テストが終われば当然、テスト返しがある。
私は心配ないけど、佳はどうなのか。
今日も今日とて私の前に座っていても前を向いていない佳の陽に焼かれながら、私は緊張していた。
果たして佳の欠点はいくつなのだろうか。
「なっちゃん。うち今回めっちゃ頑張ったよ……!」
「とりあえずもう返されるから前向こう?」
テスト明け最初の授業でテストが返却され、そして教科によってはテストの解説をしたり、授業を進めたりする。
まず最初の授業は国語。前で先生が話をしているんだけど、相変わらず佳は前を向いてくれない。
「国語はなっちゃんのおかげでだいじょーぶ!」
大丈夫なのは分かったから早く前向いてほしい。
「サムズアップしなくてもいいよ……」
とりあえず……この時間だけは耐えよう……頑張って……。
なんとかかんとか、佳を前に向かせて(結局先生に怒られていた)テスト返却が始まる。
とりあえず私だけど、当然百点——といいたいところだけど、百点を取ってしまうとシンプルに、滅茶苦茶目立ってしまう。
陽に弱い私がそうなってしまうとしばらく教室に寄りつけなくなってしまう。だからまあ無難に、目立たない六十点を取ってみました。
「なっちゃん何点?」
テストは名前順の席で受けたから、返却は名前順。畑中佳よりも、髙橋鳴月の私の方が早い。
「六十点」
「おー! こー得点‼」
この点数でも佳は容赦なく陽を浴びせてくる。
いや……佳だけだからまだ大丈夫……くっ……。
私の意識は……佳が呼ばれたところで途絶えてしまった……。
△
「なっちゃんおはよぉ」
「……おはようございます」
一時間も持たなかったか……。この悔しさをばねにとかは考えない。
今は二限目の途中。二限目は地理、歴史の選択授業。私は地理を選択しているし、佳も地理を選択している。
これも六十点のはず。全部六十点を取ってしまうと変に目立ってしまうかとも考えたけど、全部六十点を取ったら面白いよね、ということで全部六十点に調整してみました。
「佳は、なにか言ってました……?」
私を運んだのは佳のテストが返却された直後。だからテストの結果を持った佳が運んでくれたはず。
「それについてぇ、なっちゃんに伝言を預かってますぅ」
「えっ、まさか」
どっちだ? 欠点か欠点じゃないのか。この学校の欠点は平均点の半分未満。私が百点を取ってしまうと平均点はちょっと上がってしまうから六十点で良かった。
じゃなくて、佳の点数はどうだったのか。
先生の表情を窺ってみるけど、いつも通りのふわふわ~とした感じで、分からない。ということは欠点じゃなかったのか……?
ごくりと、喉を鳴らして先生の言葉を待つ。
先生の口の動きがやけにゆっくりと見えた。そして紡がれた言葉。それは——。
「ごめん」
「いきなりかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」
いきなり欠点⁉ なんで? なんで⁉ 国語だよ? 教えたよ? 懇切丁寧に問題の解き方を! 漢字問題は仕方ないにしても、全問間違えても三十点にも満たないよ⁉
「ほんとぉに申し訳なさそうな感じだったよぉ」
その時の様子を思い出してか、先生は困った風に笑う。
「頑張って教えてましたから……地理は欠点じゃありませんように……」
次の休み時間、保健室にやって来た佳に謝られないよう祈ることにした。




