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吸血鬼が憩える保健室  作者: 坂持


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そうかぁ……。

 七月。七月といえばそう、期末テスト! とその後にある夏休み!


『なっちゃーん。分からないが分からない〜』

「だから授業はちゃんと前向いて聞いてって言ったじゃん」

『向いてたよー……』


 向いてない。それは無い。注意前と後で違いがあってもそれは五分ぐらい。誤差に過ぎない。


「アレで向いたって言えるんだ……。テスト受けれるの?」

『あっ、なっちゃんバカにしたー。自分勉強できるからってー』

「ということで勉強を始めよう。授業殆ど出てないのに学年一位の私が教えてあげますよっと」


 このままでは勉強が始まらない。私は手を叩いて、佳に勉強の合図を送る。


 佳はよくある、分からない所が分からないタイプ。それも全教科。


 ここまで清々しいと、逆に楽まである。なぜなら、全てやり直せばいいから。


「はーいじゃあ現国ね。現国はとりあえず読めばいける!」

『それしか言わないじゃん!』

「じゃあ、教科書開いて。今やってる所声出して読んで——」

「古典? 憶えたらなんとかなる。それが無理なら好みの古典作品探してそれを読むため頑張る」

「地理? 憶える。無理ならテレビ見ている風に紹介してあげるよ」


 と、佳に適当な勉強法を教えながら実践していくと、佳も分からない所が分からないから、分からないにレベルアップしてくれる。


 そして佳の良いところは、好奇心を持って学んでくれるということだ。


 そりゃあ私みたいな超絶美人に教えられているんだから、興味を持って、頑張って学んでくれるだろう。


 それと多分、こうやって佳と一対一で会話するなんて、通話をしている時だけだからというのもある。


『やっぱなっちゃん教えるの上手いよねー』

「まあ超絶美人だし?」

『かんけー無いって言いきれない……』

「ふっ、佳はラッキーだよ。私を独占できて。佳以外には教えていないからね」

『そういうの良くないよぉ……なんか最近なっちゃんそういうの増えたよね』


 少し佳をからかっていると、思わぬ返しを受けた。返されたところで私にダメージは無いし、そろそろそう言われるだろうとは思っていた。


 私の返事は決めている。


「そういうのってなに?」

『そういうのって……その……なんか、きょりちかいっていうかぁ? いまだってさぁ……』


 照れながら、もごもごと、佳の声がスピーカーから聞こえる。見えないけど、可愛らしく顔を赤くして喋っているのだろう。


「嫌?」

『いやじゃないけどぉ……』


 これが男相手ならまだしも、女の子相手だから——っていうのは私レベルの超絶美人には適用されない‼


 だから佳が私に恋する可能性は十分にある。っていうか、あれだけされて落ちない佳は凄い。


「じゃあいいじゃん」

『でも先輩も同じ事してくるし~』

「どっちを好きになればいいのか分からない?」

『違うよ‼』


 食い気味の強い否定。これは図星の可能性が高い。あまり突っつくのはやめておこう。


 そうかそうか、佳は私のことが好きになりそうなんだな。そうかぁ……。

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