回想にチャレンジしてみる
私が佳に優位を取れるのは、先輩がいる時だけ。つまり部活中である。それ以外となれば、佳は私を保健室送るにしまくる。それはもう勝負にならない。
今日も今日とて、昼休みは保健室。
「いつも鳴月はどうやってやられるの?」
先輩は他に誰もいないか確認して私の質問をしてくれる。
私も耳を澄まして人がいないのを確認して、回想にチャレンジしてみる。
「そうですね。まずは朝学校に着いてから——」
朝、私はわざとギリギリの時間に登校する。それは身を守るため。
「なっちゃんおはよー!」
「おはよ」
朝一番の挨拶。それだけで私はダメージを受ける。なんとか耐えて、席に着くとチャイムが鳴る。でも油断はできない。
前の席が佳だからだ。佳だけじゃなくて、この学校の生徒はあまり真面目じゃない。授業中でも容赦なく振り向いてくる。
そう! 話しかけてくる‼
「なっちゃん、これどーゆー意味?」
「授業……聞こう……?」
それか夜。通話で教えてあげるから。頼むから授業中は前を向いていてくれと思ってしまう。
とりあえずこのコンボで一限目の休み時間には私は保健室送りだ。
そして一時間休んで復帰して、三限目には出る。でもここでだ。
「なっちゃんだいじょーぶ?」
「大丈夫、いつも通り」
はい、大丈夫じゃないです。でも佳は純粋に心配してくれるだけなんだ。それが陽でやられるとは違う部分でダメージを受ける。要するに心が痛い。
そしてまた後ろを振り向かれて私はダウン。保健室送りだ。
もちろん曜日によって授業は変わるからこうならない時もある。でもまあ基本的にはこんな感じ。
「って感じで、こうなってます。佳のせいみたいに回想しましたけど、クラスの人の陽もあるんで部活よりもキツいんですよね」
「ん。鳴月は頑張っている。よしよし」
「あっ、なんか先輩に甘やかされるのにハマってます」
「私も、鳴月を甘やかすのにハマっている」
「ははっ」
「ふふっ」
「平和ですね」
「ね」
やっぱり保健室は私の憩いの場だ。




