超絶美人バリア的なもの
「ほらぁ、見て佳。こんな超絶美人二人に挟まれてるんだよ?」
「——————————————————————————————」
「魂抜けてない?」
翌日から、私と先輩は協力して佳に超絶美人攻撃を仕掛けていた。
今日は全身鏡の前で、私と先輩で佳を挟んで耳元で囁いている。ちなみに昨日は吐息がかかる程の距離でのハンドマッサージ。
抜け出た佳の魂を戻して、とりあえず佳の体を預かる。私も私で、動けない。
そもそも私一人だけじゃ陽にやられて返り討ちにされるから、先輩に佳を弱らせてもらうという作戦。それでも佳の陽はかなり弱くなるだけでゼロにはならない。つまりこう密着し続けていると、私もダメージを受けることになる。そしてその結果今のように私は動けない。
「先輩……」
「ん。お疲れ様」
先輩に佳を運んでもらって、私は和室で横になる。
これを繰り返して……佳に私の体質のことを伝える。陽に弱いこと、そして佳の陽が特に強いこと。それを黙っていたのは佳を傷つけてしまうかもしれないから。
冷静になって考えれば、これで本当に佳を傷つけずに済むのか分からないけど、試してみる価値はある。
「大丈夫?」
佳を運んでくれた先輩が和室に戻ってきて、なんか自然流れで膝枕をしてくれる。
「…………………………………………大丈夫です」
「どうしたの?」
「先輩相手だと、なんかまあ色々と相殺されるのかなと」
普通の人相手なら、超絶美人バリア的なものがあるから余裕を保っていられるけど、先輩は私と同じ超絶美人。つまり、先輩も超絶美人バリア的なものを持っている。そして超絶美人バリア的なもの同士がぶつかった時、それは相殺されて私は純粋に年上の包容力に包まれることとなる。
「そうなんだ。鳴月は一人っ子?」
「はい」
「ふふっ、じゃあ妹だ」
ほんの僅か、口角の上がった先輩は、その細く綺麗な手で私の綺麗な白い髪を梳いてくれる。頭を直接撫でられるより、こう髪の毛を触られる方がなんかこう大切にされているというような——あっ。今頭撫でられた……。やっぱりこっちの方が——。
「鳴月、だらしない顔してる」
「ふぇ?」
「可愛い」
この私がだらしない顔をしているみたいで、まさかの言葉に思わず変な声を出してしまった。それに先輩が可愛いと。この可愛いは見た目云々じゃないから、少し恥ずかしい。
「顔赤くなりそうです」
「もうなってるよ」
マジか……。
「これが年上の包容力……‼ この私が、こんな骨抜きにされるなんて……」
「鳴月の心の声、ダダ漏れだよ」
「だって……口に出した方が、先輩も嬉しいと思うんで」
そうすればほら、先輩が笑ってくれますから。




