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吸血鬼が憩える保健室  作者: 坂持


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すごろく作り

 佳の休憩が終わって、今からじゃんけんが始まる。


 ルールは、勝った人から好きな場所に自分の書いた指示を置ける。すごろくを作るのも勝負になった。


 正月遊戯というか、多分昔はこういう日常の些細なこともゲームにしたんだろうなと、それっぽく思うことにする。


「最初はグー!」


 そして佳の掛け声で勝負が始まる。


「じゃーんけーん、ポン」


 出した手は佳がパーで私と先輩がチョキだ。


「負けたー!」


 ということは先輩との一騎打ち。超絶美人同士のじゃんけん、運動スペックも学力スペックも多分同じ、正真正銘運での勝負になる。


「じゃ、いきますよ」

「ん」

「最初はグーッ、ジャンケンポン!」


 互いにグーであいこ。


「あいこでしょっ」


 互いにパー。


「あいこでしょっ」


 互いにグー。


「あいこでしょっ」


 互いにグー。


「あいこでしょっ」


 互いにチョキ。


 ……これは勝負がつかない。運での勝負を恐れて、まだ相手の手を見ているせいだ。


 覚悟を決め、私は目を閉じる。


「最初はグーッ、ジャンケンポン!」

「おー」


 目を開けると、私がチョキに対して先輩はグーだった。


「勝った。私の番」


 これで順番は永海先輩、私、佳だ。次以降は最初から目を閉じてじゃんけんの方が佳も楽しめるだろうか。


 それはそれとして、まず先輩は自分の考えた指示を書いた紙を真ん中辺りに置いた。


「語尾がニャンになるマスを書いたの」

「なっ……なんて凶悪なマス……‼」

「恥ずかしいマスだ~」


 私はすごろくの中で凶悪なマスを考えたけど、先輩はプレイヤーに対しての凶悪なマスを書いたということか。


「私が語尾にニャンを付けたら争いは止まるだろうけど、恥ずかしいな……」

「ん。私も、自分で書いておきながら、恥ずかしい」

「相変わらずなっちゃんの自己評価が高すぎる。無敵じゃん……」


 もし佳の語尾がニャンになれば、私は耐えられるだろうか? なんだかんだで佳って普通に可愛いと思うし、キャラ的にもできる人だ。そんな佳が――想像するのは止めておこう。


「次は私だね」


 私の考えた指示をまずどこへ置こうか。やっぱりより凶悪さを感じる配置は序盤だろう。スタートから四マス目に紙を置く。


「なにこれ、《時限爆弾》誰かと同じマスに止まればそのマスにいる全員スタートに戻る……?」

「鳴月はそのタイプなんだ」

「私はすごろく内で攻めようかと」

「ねーなっちゃん、これどーゆー意味?」

「例えば、佳がこのマスに止まります。そして次の番サイコロを振って、先にいる永海先輩と同じ場所に止まります。二人はスタートに戻る」


 説明を聞いた佳は、まるで恐ろしものを見たような表情で私を見る。


「なっちゃん……ヤバいよ……」

「褒めてもなにも出ないよ。次、佳の番」


 そのリアクションが見たかった。このリアクションなら、他の私の書いた指示も同じようなリアクションをとってくれるはず。


「なーんか二人の後だと弱いな~」


 そう言いつつも、佳はスタートからすぐ。一マス目に紙を置いた。


「これは一番酷いね」

「シンプル故に最悪じゃん」

「えー⁉ でもシンプルすぎるんだよ」


 まさか――いや、佳ならやりかねないか。私は書かなかったけど、五回休みしか書いていない。その倍の十回休みなんて、鬼畜にも程がある。


「私も思いついたんだけどさ、その時五回って書いたんだよ。結局採用しなかったけど」

「止まった瞬間ほぼ負けが確定するマスだね」

「えー……変えた方がいーですか……?」

「「変えなくても大丈夫」」


 しょんぼりしていた佳が可哀想だからじゃない。これぐらい振り切った方が面白いからだ。


 これで全員置いた。次のじゃんけん、私は目を閉じてじゃんけんすることにする。


「あれ、じゃーうちも目閉じるね。じゃーんけーん、ポン」


 再び佳の掛け声でのじゃんけん。目を開けると、今回も一発で勝負が決まっていた。私の負けで、佳と先輩の勝ちだ。そして再び二人は目を閉じてじゃんけんをする。そして勝ったのはまた先輩。


「二連勝。私はこれ」


 先輩が二つ目の指示を序盤に置いた。最初に置いた私の指示の二マス後ろに置いた紙には『右隣の人を抱きしめたままプレイする』と書いてある。これ、私死ぬんじゃないかな……?


「先輩……?」

「我ながらかなり凶悪にできたマスだよ」

「抱きしめたままプレイ……!」


 そう呟く佳を見ると、顔を真っ赤にしていた。どっからどう見ても陽の者なのになんで赤くなるのかと思ったけど、そりゃあそうか。佳は先輩のこと好きだろうし、それを抜いても私と先輩という超絶美人を抱きしめる、抱きしめられるのは緊張するはず。


「次、佳だよ」

「う~……」


 未だ照れながらも、佳は紙を置いた。二マス目に。『一マス戻る』という紙を。


「照れてるけど佳が一番ヤバいじゃん」


 ゲーム的に一番ヤバいのは佳だ。それは揺るぎない。私と多分だけど先輩も、最低限ゲームに参加できるようにはしている。でも佳は違う。ゲームそのものができなくなってしまうようなマス。これはあれか? 『二マス戻る』もあるのか? それとも止まった瞬間負けのマスとか?


 いやいや、考えても仕方ない。それも楽しみっちゃ楽しみだし。


 とりあえず次は私の番だから紙を置く。ゴール直前のマスに『いずれかの《時限爆弾》マスに行かなければならない。そしてそのマスの指示に従う』の紙をだ。これでマスを戻るの効果も生まれるという、我ながら凶悪なマス。佳のマスのせいで凶悪さが足りなくなりそうだけど。


「なっちゃんのマスのほーが酷いよー!」


 でも、佳のリアクションが気持ちいい……。


「ほらまあ、私だからね」


 ということで、じゃんけん三回戦が始まる。

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