これからのこと
ことはコロコロと運ぶものだ。
あのあと、東雲さんと四乃宮円さんがお互いに会ってそれぞれの意見を言い合いながら盛り上がったらしい。
私にはさっぱりだった。
途中退席したから、あの後どうなったのかはわからない。
でも、終わった後、円さんの表情は晴れやかだったから悪い方向にはいっていないはずだ。
そして、日が明けてから再度、東雲さんに会うと彼女も晴れやかな表情をしていた。
「そ、その紅葉ちゃん。私、軍学校を辞めるね」
驚きの返答だった。
「昨日、四乃宮さんとお話して、これから四乃宮家が管理している生産工場に一時就業して学んでみてって。その後年齢が18まで生産工程を学んでからオリジナルの魔法工学理論をテストするから、それに合格できれば研究機関に入れてもらえるって」
そういったやりとりをしたのか。
………そういえば、補助具の開発や軍服の生産は、四乃宮家が担当していた。
もしかして、それが狙いだった、とか?
「え、紅葉ちゃんの苗字は甲斐田でしょ? 四乃宮家との交流があるなんて初めて知ったよ」
素で私に会いに来たのか………。
どこまでも運がいい人だ。
………で、だ。
「ハハハ! いいじゃないか。ことはうまく運んだようだし! 一件落着じゃないか!」
あのやかましい女がここにいた。
「………、どうして、関係ないあなたがここに?」
「うん? あたしか? なんか面白そうな雰囲気があったから来てみたぞ!」
なんて傍迷惑な。
「あ、あの紅葉ちゃん。その人、キルギスのご令嬢だよ?」
「キルギス? 何それ?」
「四乃宮家、剣崎家と並ぶ御用家の人!」
「………、この馬鹿が?」
「も、紅葉ちゃん!」
そのやりとりのどこが気に入ったのか、さらに笑い始めた。
「ハハハ! さすが、私の嗅覚! 面白いやつを見つけたぞ!」
私も面倒ごとの嗅覚を嗅ぎ分けた気がしたわ。
「こいつの用事が終わったのなら、今度はわた———」
お転婆娘に向けて拳を顔面に決めてしまった。
そのまま吹き飛んで、壁にめり込んだ。
うん、知らない。
見なかったことにしよう。
「それで、これから工場の下見にいくの?」
「う、うん。」
「なら、早くいこう」
「え、でも、あの人———」
「面倒ごとはもう嫌だから」
そういって、私は、東雲アズサの手を取って走り出した。




