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Re:CALL 2  作者: 明上 廻
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救いのない選択肢

 「はい、というわけで僕の養子になってくれた紅葉ちゃんです。みんなよろしく、ね?」

 その言葉に、部署のみんながそれぞれ口を開いた。

 「結婚前に子供を引き取るとか、静さんも惚れる相手をミスチョイスしたわね」

 知里さん、毒舌。

 「それよりお前のケガだ。休職申請を再度出すか?」

 健吾君、過保護。

 「はあ」

 マキナさん、ため息つかないでよ。

 「? ???」

 石永君、もはや言葉になっていない疑問符が飛び交っているよ。

 でもまあ、いいじゃない。

 「ちなみに紅葉ちゃんは、この中で最も強いから」

 その言葉に、全員が驚愕の眼差しを向けた。

 「マジ?」

 「少なくとも、僕の腕一本とれるくらいに強いよ?」

 その言葉に、全員が戦慄した。

 このメンバーで、僕に傷をつけることができた人なんていなかったし。

 「そんなわけで、この『零』部隊のマスコットキャラとしてみんなと働くことになったからよろしくね?」

 僕の言葉からは、誰も何も言わなかった。

 あれ?

 マスコット嫌い?

 

 

 

 隊長が連れ来た子供が侮れない存在であることはわかった。

 もし隊長が言ったことが本当であれば、味方であれば頼もしいが………。

 いや、止そう。

 隊長がそれで言いと言っているんだ。

 俺たちはそれに従うだけだ。

 だが、それとは別に———。

 「なんだか昨日、コロニー内で変質者が現れたみたいだぞ?」

 「変質者?」

 「なんでも、二人組で一方が首輪に繋がれた状態だったらしい」

 「………そうなんだ」

 「その後の目撃談だと、首輪に繋がれた方は真っ裸でいたらしいぞ」

 「………ソウナンダ」

 「住所からして、四乃宮邸の近くらしいから気をつけろよ」

 本当に隊長はトラブルに巻き込まれる運命にあるのか、行く先々で何かしら起きる。

 「ウン、キヲツケル」

 なんだか、隊長の発言が片言になっていたので振り向くと、顔面に汗が浮き出ていた。

 「大丈夫か? また具合が悪いとかなら———」

 「モンダイナイヨ。キットキノセイ」

 ………なんか隊長の動きが不審になっていた。

 「あ、そうだ! まだ、東ブロックの仮設住宅の警備に急いでいかないと!」

 「あ、隊長!」

 声をかけるも瞬間的にいなくなった。

 「………どうしたんだ?」




 まさか、昨日の件がこんなことになるなんて………。

 他人の性癖にとやかく言うつもりはないけれど、自分にその被害がでるとは………。

 とにかく、最初に医務室だ。

 「失礼しまーす」

 「やっと来たわね、馬鹿とアホの称号をもつ勇者よ」

 「罵っているのか、敬意を込めているのかわからない肩書ですね」

 「罵っているだけよ。それ以外ないじゃない」

 「そこはせめて、誤魔化してよ」

 「肯定したら、あなたはすぐに同じことをするからいやよ」

 ばっさりと一刀両断された。

 「まさか、復帰して一年未満で今度は右腕をバッサリ切るわ、心臓を移植するわ、やりたい放題じゃない?」

 「昨日の件に関しては、反省する点はなかったと思うけれど?」

 「………だから、怒られんのよ、あなたは」

 「?」

 一体どこが問題なのだろうか?

 「私が何を言おうと無駄だろうけどね、………もう少しあなたを見ている他人の気持ちを知りなさい」

 難題を突き付けられた。

 他人の気持ちとかよくわからないんだよね。

 一回、妹の宿題で『著者の気持ちになって答えなさい』という問題があったので『著者ではないのでわかりません』と書いて、次の日、妹から怒られた。

 そんなの当の本人しかわからないのに。

 ………。

 「言ってみただけよ。………それよりも右腕出しなさい」

 言われたとおりに右腕を差し出す。

 「本当に器用なことするわね。切断面がキレイだったからくっついたけれど、本来ならすぐに細胞の壊死によって欠損するわよ」

 「今回は特別ですよ。きれいに切断面したことで時間が停止するから、壊死は起きません。後は体の本体に『魔力操作』で腕を形成するだけです」

 「そんなこと、普通できないわよ。腕を千切るなんて、狂気の沙汰でしかないのだから」

 「必要なら誰だってするでしょ?」

 「できないわよ」

 ため息とともに、あきれた目線を僕に向けてきた。

 そんな風に見られても。

 香織ちゃんが借りてくる映画よりは、現実的だと思ったけど。

 確か、映画だと罪と向き合うデスゲームが繰り広げられてた。

 うん、あれよりはためらいが起きないから決断も即決できる。

 痛いって、想像するよりも一つしか選択肢がないならそうするしかないって思えば体は動くものだ。

 「いっそのこと全てを諦めて、今からでも人間を目指してみた方が長生きするわよ?」

 その選択肢はない。

 「それは無理な相談ですよ。戦場でしか生きる意味を見出せない僕ですから」

 そこで肩をすくめて見せると、哀れみなのか悲しみなのかよくわからに表情を向けられた。

 「ホント、救いようのない馬鹿」

 そのあと、淡々と腕の様子を見てカルテに記録していった。

 その間、一言だけ呟かれた。

 「報われないわね、誰も」



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