混乱する状況
目が覚めると知らない天井があった。
一面の白。
その空間は、まるで色を忘れたかのような場所だった。
そして私が寝ているベッドの隣にはさっきの男がいた。
生きているのか疑問に思うほどの静けさ。
呼吸すらしていないのでは、と思うほど彼からは音を感じなかった。
だが、他にも疑問が残る。
あの時、私は確かに胸を貫かれた。
それなのにどうして私はここで横になっているのか。
何より生きているのはなぜか。
なぜか力が入らない体を起こそうとして違和感に気がついた。
「何これ」
今まで肌の色が白だったはずなのに、白色ではあるものの肌色に変わっていた。
何より、胸に開いていた穴がない。
驚いていると、この白色の空間に自分以外の声が響いた。
「まさかこんな現象を見るとは………」
「次世代の新種」
「めんどくさい」
どこからともなく声が届いた。
音の発生源をたどるようにベッドから覗き見ると黒装束の集団がいた。
正確には3人だが………。
見ていることがすぐにバレ、口々に会話を再開し始める。
「起きた」
「めんどくさい」
「麻酔は完璧」
「体質?」
「不明」
「めんどくさい」
「現に甲斐田殿は起きていない」
「めんどくさい」
「彼女の特異的体質が一番説明しやすい」
口々にいろいろいあっているが姦しい。
「こ、この体の鈍い感覚はあなたたちの仕業?」
声を振り絞って、疑問をぶつけてみる。
「麻酔条件でもしゃべれる?」
「効果はあるもののスパンが短いと見た」
「めんどくさい」
返答に対して回答がない。
そう思っていると一人が近寄ってきた。
必死で防御姿勢を取ろうとするが体が痺れて、うまく動かない。
そうやって、もたついていると、抱きかかえられた。
「は、はなして!」
必死に抵抗するものの体をばたつかせることしかできなかった。
「生きがいい」
「一本釣り、ププッ」
「めんどい」
馬鹿にされていることだけはわかるが、なぜか敵意は感じない。
そう思っていると、なぜか隣のベッドに寝ている男のところに連れていかれた。
そして、ベッドの掛布団の間に入れられた。
「は?」
頭の中が疑問譜だらけになった。
「依頼達成」
「あとは帰るのみ」
「めんどい」
そいって、三人組は去っていく。
その中の一人が私の方を振り向いてぼそっと呟いた。
「めんどくさくても、彼に感謝するといい」
そういって去っていった。
何が何だかわからない。
しばらくじっとしていたら再度の眠気に襲われた。
そうして眠りについた。
なぜか落ち着く感覚にとられながら自然と体を預けてしまう。
そんな中、不思議なことに気が付いた。
あれだけ渇望に似た食欲がなくなっていたこと。
そして自分のうちにかすかな鼓動を感じていたこと。




